「犬神家の一族」「人間の証明」「野生の証明」と連続してカドカワ映画を見た後、しばらく同社の映画を見るのを止めていた。
原作の赤川次郎も数冊本を読んだだけだし、薬師丸ひろ子のファンだった訳でもない。何故見たかと聞かれると、きっと大学卒業前で凄く時間に余裕があったからだと思う。見た後の感想は、ストーリーはほとんど覚えていないが、おもしろい映画だと思った。
今回、BSで再視聴して思うことは、「全体的に画面が暗い。」「長回しやロングでの撮影が多い。」ことだった。とてもアイドル映画とは思えない。内容も予告編で繰り返し出たラストの渡瀬恒彦にキスをするシーンや子分に「お母さんの匂いがする。」と抱きつかれたり、クレーンで吊るされてコンクリに漬けられたり、むしろアイドルにはやらせない演出だと思った。
私は、「セーラー服と機関銃」が薬師丸ひろ子の初主演作だと思っていたが、「野生の証明」の後、「翔んだカップル」(相米慎二監督)と「ねらわれた学園」(大林宣彦監督)と2本連続主演作を撮っており、この作品が3本目だった。
ストーリーは、女子高生がヤクザの親分になるという、そもそもがリアリティの無い内容で、それに本人のお父さんの事故死も絡んできます。しかし、推理小説らしいひねりもほとんどありません。
それなのに、引き付けれたのは、相米慎二監督と薬師丸ひろ子の熱意だったと思う。ラストの機関銃でヘロインの入ったローションの瓶を割って「快感!」とつぶやくのは、薬師丸のアドリブと言われたが監督の指示だったとのこと。
薬師丸自身が歌った来生たかおの主題歌もヒットし、意外なところで彼女は歌う銀幕スターとなった。
今では、すっかり母親役が板についた薬師丸ひろ子ですが、息が長いスターになったことは、多くの監督に鍛えられたことと、本人も真面目でしっかりした人物だったからだと思う。