陸上、野球、バスケットボールなど様々なスポーツの動きに古武術を取り入れることで、より効率的な体の動かし方を実現できることを解説。

体の骨を意識して、「井桁崩し」「膝抜き」「肋骨潰し」などを取り入れることで、体に負担が少なく素早い動作を可能とする。対人スポーツにおいては動きを読まれにくくなる。

「体への優しさ」のために「踏ん張らず」「ためず」「うねらず」「捻らず」ことが大切である。

目次
 第一章 投げる
 第二章 走る
 第三章 打つ
 第四章 殴る、抜く
 第五章 あたる、とる、ターンする
 第六章 跳ぶ
 第七章 立つ、座る

多くのスポーツ選手の写真や、見本の動きの分解写真が多数掲載されている。ストレッチ方法も載っている。本書の1/3以上が写真ページかもしれない。

江戸時代までの庶民には「走る」習慣がなく、火事などの災害時には両手を盆踊りのように挙げなければバランスが取れなかった、という説の紹介は面白い。
ナンバ走り (光文社新書)/矢野 龍彦
¥735
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少年ハンスがエリート教育を受け将来を期待されながらも、その期待に押しつぶされて挫折し、悲しい最後を迎える一生を描く。

「車輪」とは少年の栄光と挫折の軌跡だろうか、「社会の歯車」の暗喩だろうか、少年が巻き込まれた世間だろうか。

かなり昔に翻案もので読んだ覚えがある。いい年で読み直しても、自分の少年時代の感情がかすかに呼び覚まされる気がする。

挫折するまでの描写が妙に淡々としている。田舎に戻ってからの生活の方が活き活きとしている。
車輪の下 (新潮文庫)/ヘッセ
¥340
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バブル崩壊などの経済問題をマネー戦略の観点から読み解く。

世界最大の債権国である日本が経済危機に陥ったのは、基軸通貨のドルがアメリカの経済と連動しているという国際通貨システムの矛盾に、根本的の原因があると観ている。

第一章では、世界最大の債権国がイギリス、アメリカ、日本と移り変わる歴史をたどる。アメリカが経常赤字により債務国となってからも、日本からの資本流入を元に世界へ債権国として振舞っていた。

しかも日本からの資本がドル建てであったことが、後の問題を引き起こしている。

第二章では、「世界経済のシンボル化」を背景に、日本が対米貿易で蓄積した黒字でアメリカ債権を買い続けて大債権国となった流れを説明する。そのためドル高の流れとなる。

アメリカにとっては経常赤字を埋める手段であり、流入した資本を元にさらに日本製品を買う。

第三章では、為替はプラザ合意によりドル安へ動く。期待に反してアメリカの産業は活性化せず、貿易収支は改善されない。一方日本の資産価値は半減してしまう。にもかかわらず大蔵省の指導やバブル経済による余力でドルを買い続けてしまう。

為替相場がシンボル経済化しアメリカが為替市場に影響を与える情況で、ドル建てで資本を凍結したことを「取り返しのつかない失策」と指摘する。

第四章では、ジャパン・マネーを脅威に感じたアメリカがバブル潰しへの圧力をかけ、日本の世論とも共鳴する。予算編成にまで踏み込まれて財政破綻につなが る。為替は円高に進んで日本は打撃を受け、ジャパン・マネーの代わりにアジア・中南米からの資本がアメリカへ流れるようになる。

アメリカでは製造業が復活し、金融緩和によって景気回復する。

第五章では、産油国の動向もあってドル安の時期は終わるが、日本経済は復活できない。銀行を救済するための低金利政策が不況を長引かせる。低金利のため再びドルを買い始める。

「ウォール街スタンダード」がアジア全域に広まり、通貨危機も引き起こす。

第六章では、大蔵省と金融機関が既得権益を守るために、金融市場の規制緩和とインフラ整備が進まなかった経緯を語る。円建て資本輸出が進まず、為替相場や海外格付け機関に右往左往する状態が続く。

この状態を脱却するために、円がユーロの傘下に入ることを提案して終わる。

目次
 第一章 マネー大国の興亡
 第二章 日米共同幻想(1980~1985)
 第三章 国際政策協調の病理(1985~1990)
 第四章 日米再逆転(1990~1995)
 第五章 マネー敗戦・アジアへ(1995~)
 第六章 鎖国の代償

多方面にわたる盛りだくさんの内容が詰め込まれている。理解し切れなかった部分も多いので再読したいし、2000年以降の状況を盛り込んだものも読んでみたい。

盛り込みすぎて話が飛んでいるように感じられるところもあるが、ページ数と内容からすれば仕方ないのだろう。

10年前に書かれた本であるが、日本の金融政策はあまり変わっていないのではないか。サブプライムにはじまる金融不安への対応をみると今後のドル安は避けられないのだろうが、対応する政策が練られていると信じたい。

世界は10年前よりも密接に結びついているためドルと離れることは不可能だろうが、円独自の経済圏を構築したり、ユーロとの連携を進める構想には未来を感じる。こうした国家戦略を唱える政治家が出てこないものだろうか。

「終わりに」に、アメリカのベビー・ブーマーが引退して資産を取り崩す立場に回ると株式需給が一変する、という指摘がある。そのピークが2010年という。すると今回の金融不安問題が一段落した後で、株とドルの暴落がもう一度来るということだろうか。
マネー敗戦 (文春新書)/吉川 元忠
¥693
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社会心理学の成果を元に、これから日本は「安心」社会から「信頼」社会へ移行する必要性を説き、その方法を提言する。

第一章では「信頼」と「安心」の違いを説明する。「信頼」は社会的不確実性が存在する中で、相手が自分を害する意図が無いと考えることである。「安心」とは社会的不確実性が存在していないと感じることである。

第二章では「一般的信頼尺度」を使って日米で行った実験結果を紹介する。アメリカ人は日本人よりも他者を信頼するという結果が出ており、アメリカ人のほう がドライという常識とは逆になっている。日本人の集団主義文化は、心の性質ではなく社会の構造の中に存在していると主張している。

第三章では社会的環境の中に不確実性が存在すると、人は互いにコミットメント関係を結ぶようになるが、現在の日本ではそのために多額の「機会費用」がかかるようになってしまっていることを説明する。それを改善するためには一般的信頼を情勢すべきだと主張している。

第四章では様々な実験結果を元に、一般的信頼の高い人は騙されやすいお人よしではなく、信頼できる他人であるかどうかを敏感に見抜くことが出来き、優れた社会的知性を持っていることを示す。

第五章では人類がこれまでの進化と適応によって「人間性検知能力」と「関係性検知能力」の二種類の社会的知性を発達させてきたことを解説する。そして実験 結果を元に「関係性検知能力」に優れた人は「社会的びくびく人間」であり、集団主義社会に適応したものであることを示す。

第六章では人々の適応行動が適応すべき環境そのものを生み出していることを、就職差別問題などを例に挙げて解説する。
一般的信頼は育成可能であること、そのための社会的環境を用意する必要があることを主張し、公的活動に関する情報開示と意思決定過程の透明化が社会的不確実性を低下させる、と提言する。

目次
 第一章 安心社会と信頼社会
 第二章 安心の日本と信頼のアメリカ
 第三章 信頼の解き放ち理論
 第四章 信じる者はだまされる?
 第五章 社会的知性と社会的適応
 第六章 開かれた社会と社会的知性

集団主義文化が心の問題ではなく社会の構造が生み出していること、またそれに適応することが構造を強化していくことの論証が興味深い。

今の日本のように年金問題などの社会的不確実性が増してきてコミットメントが維持できなくなってきた状況では、ますます一般的信頼を醸成して「信頼」できる社会に変革する必要性が高まっているだろう。
安心社会から信頼社会へ―日本型システムの行方 (中公新書)/山岸 俊男
¥798
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安楽椅子探偵モノの定番。表題作が有名。

しかし「九マイルは遠すぎる」は短すぎるし、後半の事件との結び付け方はかなり強引で不満が残る。逆に最後の「梯子の上の男」は逆に冗長で複雑すぎるように思える。

中の六篇はバランスよく楽しめた。魅力的な謎の提示と論理展開、意外な解決が、短編推理小説の見本のように小気味よくまとまっている。隅の老人や、安楽椅子ではないがブラウン神父に匹敵すると思う。

探偵役のニッキイ・ウェルト教授のキャラクターも面白い。

目次
 九マイルは遠すぎる
 わらの男
 10時の学者
 エンド・プレイ
 時計を二つ持つ男
 おしゃべり湯沸かし
 ありふれた事件
 梯子の上の男

九マイルは遠すぎる (ハヤカワ・ミステリ文庫 19-2)/ハリイ・ケメルマン
¥672
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以下ネタバレ。








叙述ものであるということ、年齢錯誤が仕掛けられているということは事前情報で知っていた。にもかかわらず素直に引っかかってしまった。この点は作者の筆に感心した。

しかしその驚きがストーリー自体とあまり絡んでこないためか、カタルシスが感じられない。「登場人物は実はみな○○○でした」と明かされても、それによって物語の構造に影響があるわけではない。

むしろ、それに付け加えられている主人公とヒロインが○○○○をしていた、というネタだけで作りこんだ方が良かったのではないだろうか。

この叙述トリックを成立させるために描写を詳細に出来なかったためなのだろうか、それまでの私立探偵ストーリーを薄く感じてしまう。この叙述トリックの伏線的描写が多いと良かったのだが、ミスリーディングのための描写ばかりになってしまっている印象が残る。
葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫 う 20-1)/歌野 晶午
¥660
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世界の国旗デザインや、その成立背景にある社会情勢や歴史などを紹介する。

同じ地域にある国旗が互いに影響を与えあっていたり、同じ文化を共有する国々に同じ色やモチーフが使われていることがわかる。

・バングラディシュ以東の国旗には赤があって緑がない
・赤黄緑はアフリカの三原色
・ヨーロッパの国旗には星がない
・緑赤白黒はイスラムの色

などのトリビアが語られる。

巻末には各国国連加盟の歴史、世界地図、各国データ、国旗一覧(カラー)が付いている。

目次
序章 国旗を覚えるための一〇の原則
第1部 デザインから読む
 第1章 なぜ近代国家は「青白赤」にこだわるのか
 第2章 国旗で見る世界遺産
 第3章 人類の運命が託された青と緑
 第4章 分離と統合の狭間
 第5章 国旗は変わる
第2部 地域・国別に読む
 第6章 「星条旗」は永遠か
 第7章 なぜ欧州の国旗には星がないのか
 第8章 「赤黄緑」に託すアフリカ統一の理想
 第9章 国連旗が描く理想と現実
 第10章 二一世紀の「日の丸」

国旗そのものというよりは、国旗を紹介してその国の社会情勢、歴史、環境問題、社会問題を筆者が自由に語っている。床屋政談に近い。したがって国旗にまつわる話はあまり入っていない。

話を思うがままに展開しているためか、説明がおかしなところもある。たとえば200ページに「さらに翌年、」と始まる段落があるが、何年のことなのか前後を見ても記述されていない。

巻末付録は70ページほどにもなるので、本文は220ページほどしかない。この中で世界中の国々の問題に言及するため広く浅くなってしまっている。
国旗で読む世界地図 (光文社新書 (102))/吹浦 忠正
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以下ネタバレ。








有名すぎるためか、「キチガイ」のネタだけ他から事前情報で知っていた。しかしそれがメインではなっていない。
見立て殺人、アリバイトリック、外部からの闖入者、裏に隠れた殺人計画者、などが短いページ数の中に小気味よくまとまっている。逆にキーポイントがはっきりしていないかもしれない。

月代殺人の萩の花はどこから持ってきたのか、計画・実行がずさんではないか、推理の道筋がロジカルに語られないので物足りない、など不満点もあるが、作者の世界に浸るとあまり気にならなくなる。

孤立した共同体の因習やおどろおどろしい人間模様も定番。

エピローグのプロポーズは唐突すぎ。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)/横溝 正史
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IT技術によって世界が結びついたことにより、何が起こったのかを様々な面から調査・考察した本。

「ウェブ2.0」というバズワードに代表されるように、インターネットによる社会変革を唱えている本は多いが、本書のように包括的に分析し、世界各国の事情を丹念に広い集めているものは貴重だろう。

ITバブルの遺産としてインフラが整い、国家同士だけでなく個人レベルでもグローバリゼーション2.0、3.0が進んでいる。それによってビジネスの枠組みやルールが急速に変化していることが示される。

この流れに取り残されないために国家が行わなければならない施策、特に教育の重要性について強調されている。

さらにこうした流れから完全に取り残されそうなアフリカ諸国、イスラム諸国の問題やテロリズムについても考察は広がる。

フラット化の要因としては第2章の見出しをあげたほうが良いだろう。

目次
第1部 世界はいかにフラット化したか
 第1章 われわれが眠っているあいだに
 第2章 世界をフラット化した一〇の力
  フラット化の要因1 ベルリンの壁の崩壊と、想像性の新時代
  フラット化の要因2 インターネットの普及と、接続の新時代
  フラット化の要因3 共同作業を可能にした新しいソフトウェア
  フラット化の要因4 アップローディング:コミュニティの力を利用する
  フラット化の要因5 アウトソーシング:Y2Kとインドの目覚め
  フラット化の要因6 オフショアリング:中国のWTO加盟
  フラット化の要因7 サプライチェーン:ウォルマートはなぜ強いのか
  フラット化の要因8 インソーシング:UPSの新しいビジネス
  フラット化の要因9 インフォーミング:知りたいことはグーグルに聞け
  フラット化の要因10 ステロイド:新テクノロジーがさらに加速する
 第3章 三重の集束
 第4章 大規模な整理
第2部 アメリカとフラット化する世界
 第5章 アメリカと自由貿易―リカードはいまも正しいか?
 第6章 無敵の民―新しいミドルクラスの仕事
 第7章 理想の才能を求めて―教育と競争の問題
 第8章 静かな危機―科学教育に潜む恥ずかしい秘密
 第9章 これはテストではない
第3部 発展途上国とフラット化する世界
 第10章 メキシコの守護聖人の嘆き
第4部 企業とフラット化する世界
 第11章 企業はどう対処しているか
第5部 地政学とフラット化する世界
 第12章 フラットでない世界―銃と携帯電話の持込みは禁止です
 第13章 ローカルのグローバル化―新しい文化大革命が始まる
 第14章 デルの紛争回避理論―オールド・タイムvsカンバン方式
結論 イマジネーション
 第15章 二つの選択肢と人間の未来―11・9vs9・11

全体としてはビジネスルールの変化をフラット化のプラス面としてとらえ、その流れについていけない個人、国家が現れることをマイナス面としている。

しかし昨今の金融システム危機を見ると、ITインフラによるビジネスの進化も土台から覆されてしまう危険があるように思える。

あるいは証券化やデリバティブなどの金融工学もフラット化によって加速されたのだろうか。個人へのFXやデイトレードの普及もフラット化によってもたらされたとも考えられる。

そうするとフラット化によるグローバリゼーションには、それ自体の中に負の側面が潜んでいるのだろうか。

(読んだのは2006年版だが、下のリンクは2008年の増補改訂版)
フラット化する世界 [増補改訂版] (上)/トーマス フリードマン
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フラット化する世界 [増補改訂版] (下)/トーマス フリードマン
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暗号業務に従事する「計算士」を主人公とした「ハードボイルド・ワンダーランド」と、壁に囲まれた街で「夢読み」を行う主人公による「世界の終わり」。2つの世界と物語が平行して進み、やがて重なり合う。

どちらの物語りもどこか淡々としているが、一角獣の頭骨をはじめとした2つの世界をつなぐキーワードが明らかになるにつれ、この小説の構造解明によるカタルシスが生まれる。

しかしそうした仕掛けよりも、「僕」や「私」の描写の方が面白い。どちらの世界の主人公も受動的に周りの変化を受け入れていく。その過程で悩み、最後には決断を下す。それぞれの世界でのエピソードに様々な寓意が込められている気がする。

不思議な世界観と味わいに満ちている。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)/村上 春樹
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