安楽椅子探偵もの。

はっきりしない殺人事件のうわさと思い出を元に、犯人と被害者を推理する。

7人のキャラクタ造形は見事。最初に載っている家系図も自然と頭に入ってくる。

しかし、300ページ以上もスキャンダラスな家族内愛憎劇が続いてサスペンスを感じられない。読み疲れてしまった。
七人のおば (創元推理文庫)/大村 美根子
¥840
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様々な寓意が飛び交う世界で、登場人物が何かを見つけ、決断していく。それぞれのエピソードの意味ははっきりとは分からないが、平易な文体を読み進めるうちになぜか引き込まれてしまう。

現代的な自己発見物語か。
図書館、サンドウィッチ、森などは定番。
海辺のカフカ (上) (新潮文庫)/村上 春樹
¥740
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海辺のカフカ (下) (新潮文庫)/村上 春樹
¥780
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ターン・アラウンド・スペシャリストとして中小企業再生を手がけている筆者による、債務問題解決による事業再生手法を解説した本。

日本のこれまでの経済政策は大企業中心だが、中小企業こそ救済しなければならないという信念に基づく。そのためには債務に関する意識を改革し、しぶとく「守り」を固めることが重要である。また、中小企業の再生は金融機関の再生にもつながると考える。

第1章で、デフレスパイラルに苦しんだ後「産業再生機構」が誕生したことで、「日本型社会主義システム」が終了した、と考える。「事業再生こそが国是である」という政策の流れを解説する。

そのほか事業再生のための法律としてサービサー法、民事再生法、産業活力再生特別措置法、中小企業挑戦支援法、産業再生法、会社分割法、特別調停法と、様々な法整備がなされてきたことを紹介する。

第2章で、事業再生のためには再生対象の詳細な分析と共に、金融機関との交渉が重要であるとする。金融機関から受けている評価を元に本音を引き出す。

再生するにはその経営者の資質や環境が十分に整っていなければならない。

中小企業の場合、V字回復ではなくL字回復を目指して事業継続を重視すべきであるとする。

第3章で、いくつかの事例を紹介する。成功例も失敗例もある。中小企業の再生案件は事例ごとに対応策がまったく異なってくる。

第4章で、日本経済をデフレ対応にするために、「再保障制度の充実」「連帯保証人制度の廃止」「マイホームファンドの設立」の三つを提言する。
アメリカでは再保障制度が充実しているため、新事業を始めやすいらしい。

第5章で、回収業務に携わっていた筆者が、事業再生を始めるに至った半生を書く。

目次
 第1章 これが日本の中小企業再生スキームだ
 第2章 復活を可能にする心得とテクニック
 第3章 具体的な再生のケースに学ぶ
 第4章 「敗者復活アリ」の社会を創るための三つの提言
 第5章 なぜ私はターンアラウンド・スペシャリストになったのか

経済をマクロから見るわけではなく、現場の問題点にエネルギッシュに対応していく筆者の活動が良く分かる。

法制度が準備されても、これまでの慣習からか活用が進まないようだが、筆者のようにその法律をとことん使って事業を再生する取り組みは心強く感じる。

「日本の中小企業は、経営者の人生そのものが事業であり、人格そのものがビジネスモデル」という言葉からは、現場と人を良く見ていることが伺える。


事業再生と敗者復活 (講談社現代新書)
正直者とうそつき者のクイズから始めて論理学を解説し、ゲーデルの不完全性定理の紹介まで進む。

まず論理クイズの解説から始めて、真偽表や逆・対偶を解説する。

機械的手続きによって論理的推論を行うツールとして「論理尺」を紹介する。これは真偽の組み合わせを用意しておき、条件文にしたがって組み合わせを消去していくもの。矛盾についても定義される。

次に「すべて」や「ある」による全称命題や特殊命題の紹介。ジェヴォンズの論理アルファベットやヴェン図を使って論理的に推論する方法を解説する。

論理的パラドックスや意味論的パラドックスを解説し、証明論やモデル理論を紹介する。

最後にゲーデルの不完全性定理の解説までたどり着く。

目次
 ロンリー警視の事件帳Ⅰ
 「ならば」の周辺
 ロンリー警視の事件帳Ⅱ
 すべてか有か
 パラドックスから真理

かなり昔に学習した覚えがあるが、ほとんど忘れていた。論理アルファベットなどは懐かしい。

多くのクイズ例題と解説をのせているため、理解のための手がかりに役立つ。ただ解答・解説をはしょっているところもあるし、条件文の番号を数ページ後で参照したりするので、推論を追いかけるのに苦労した。

全般としては論理学の基礎とその歴史が分かりやすく紹介されていると思う。
うそとパラドックス―ゲーデル論理学への道 (講談社現代新書)/内井 惣七
¥735
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エコノミストはどのような理論に基づいて議論を交わしているのかを解説する本。経済学の「教科書」的常識は現在でも十分通用するものであり、その常識を無視して奇をてらった新理論を展開すべきではないと主張する。著者は「リフレ派」の立場であり、構造改革論者を批判する。

第1章はマクロ経済学の復習。GDP、ケインズ経済学、景気循環、財政政策、金融政策、「流動性の罠」、IS-LM分析など。現在(2004年当時)の経済的停滞を解決するにはデフレを解消して総需要を増やすことであると主張する。

第2章は構造改革主義についての説明。生産性可能曲線を足がかりに構造改革の中身について解説する。筆者の立場からは、構造改革によってもデフレギャップは埋まらない。不良債権問題や貸し渋り問題よりも、投資を通した総需要不足を解消すべきであるとする。「中国発デフレ説」も否定する。

第3章で、この10年(2004年当時)のマクロ経済政策の失敗は、恒常的な需給ギャップの放置であるとする。長期失業増加問題や原油価格高等問題についても触れる。

第4章では日本が財政破綻する可能性について考察する。ドーマーの公債定理「公債利子率が名目経済成長率よりも低ければ財政は破綻しない」を元に、デフレが継続すれば財政危機の可能性が高まるとする。破綻回避のためにインフレ課税政策を取ることを提唱する。ハイパーインフレーションは起こらないと説明する。

第5章では道路公団民営化と年金制度について。年金制度の問題についてもリフレ政策が有効であるとする。

目次
 第1章 「実践マクロ経済学」のコア
  1 日本経済を読み解く基本的な考え方
  2 「流動性の罠」に陥った日本経済
 第2章 経済論戦の見取り図―構造改革とマクロ経済政策
  1 「構造改革主義」という幻想
  2 「一九四〇年体制テーゼ」の呪縛
 第3章 日本経済の「新しい局面」の見方
  1 「失敗の枠組み」はいまだに健在
  2 経済が回復する場合、失速する場合
 第4章 日本の財政破綻はありうるのか
  1 財政の維持可能性を考える
  2 間違いだらけのハイパーインフレ論
 第5章 ポピュリズムと不幸な構造改革
  1 なぜ民営化が必要なのか
  2年金制度の本当の問題

著者の強い信念に基づいて論を展開し、構造改革主義が間違いであるという激しい主張を展開している。経済書のレビューも10冊ほど載せているが、どれも相手著者の主張を強く否定している。小気味よさすら感じる。

多数のマクロ経済の専門用語が短いページの中で次々と導入される。予備知識があったほうが筆者の主張を楽しめるのだろう。

昨今の金融不安では実態経済を超えて巨大な信用創造がなされたという問題点が指摘されているが、これは著者からはどのように見えるのだろうか。あくまで誤差の範囲内なのだろうか。それとも新たに資産経済を組み込まなければならないと感じているのだろうか。

経済論戦の読み方 (講談社現代新書)
偽悪的なファースミステリはイギリスの伝統なのだろう。悪趣味になる寸前の下品さが面白い。何しろ開始早々主人公フロストが「浣腸」を披露する。

解説によると「力を抜いている」とあるが、ワーカホリックぶりを見るとそうは思えない。評価はされなくとも高いモラルを持って仕事に全力でぶつかる市井の人、という印象を受ける。

日本では地味な社会派ミステリとなるのだろうが、登場キャラクタをカリカチュアライズしているのがイギリス風なのだろう。それでも決してリアリティは失っていない。

相棒役の存在感が薄くて、登場した意味があまり無いように感じた。
クリスマスのフロスト (創元推理文庫)/R.D ウィングフィールド
¥987
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日本で大量消費されているエビについて、その生産現場から消費までの現場と流通を丹念にたどって解説する。
筆者のチームが実際に現地へ赴き、インタビューした成果が詰まっている。

1では、インドネシアの漁民の声を拾い、日本資本に組み込まれている様子を描く。トロール船は現地に何も残さずに商品としてのエビを収穫していく。乱獲によって資源が枯渇し、養殖ブームが起こっている。

2では、エビの生物学的解説や、伝統的漁法から現在の漁法まで紹介する。日本で消費するエビの八割以上が外国産であるという。

3では、養殖漁民の仕事と生活や、輸出するまでの流通の仕組みについて紹介する。エビの養殖方法を確立したのは日本である。

4では、エビを加工する工場の女工さんたちの労働状況について紹介する。日本の商社や水産会社が深く関わっていることも指摘される。

5では、日本のエビ消費動向について。エビが身近なものになったのはごく最近であり、業者と政府が一体となって冷凍食品を普及させた成果であると指摘する。1986年にはすべての食料品の中で輸入額1位になったそうだ。

目次
 1 エビを獲る人びと―トロール漁の現場
 2 エビという生き物―生態・種類・獲られ方
 3 エビを育てる人びと―養殖をインドネシア・台湾に見る
 4 エビを加工する人びと―調味料づくり・殻剥き・箱詰め
 5 エビを売る人、食べる人―この四半世紀に何が起きたか?

1988年発行と古くなった本なので現時点とは異なる点もあるだろうが面白く読めた。

かつての水産ニッポンが水産物大輸入国になったということは、食料自給率の問題につながってくる。

貿易データ、取引相場などの経済指標が数多く紹介されているし、現地の人々の声もリアリティがあって面白い。漁港、工場などの描写は旅行記のような趣もあり、現地の風景をうまく表現している。

国際資本に飲み込まれる第三世界という問題指摘も、変な押しつけがましさがなく、共感が持てる。
エビと日本人 (岩波新書)/村井 吉敬
¥777
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ビジネスばかりでなく就職、結婚など人生のあらゆる局面を「プロジェクト」であると考える。「人生これプロジェクトなり」が筆者の持論である。そうしたプロジェクトを適切に進めるために考慮・実行しなければならない点を解説する。

1章では「ものづくり」だけでは区「ことづくり」が重要であるとし、プロジェクトを「ものごとの見方、考え方、進め方」であると広義に定義する。

2章では環境に適応することが主体的活動のために必要であるとする。ここでの「環境」とは自然、社会、人間、経済、情報化などである。

3章では「発想はものごとの価値を決める源泉として、もっとも重要」する。創造のために制約条件の付け外しや異質なものの組み合わせを勧める。

4章では他人に説明・説得する企画書を書き組織を構成する際の要点を説明する。考えをまとめるための筆者独自の「ボックス・アプローチ手法」を紹介する。これは実践の軸とアカデミックスの軸の組み合わせでプロジェクト・プランニングする。

5章ではフレームワークを設定するために全体を俯瞰する能力が必要であるとし、問題提起、テーマ設定、現状分析、方向制定時、代替案提示と進める。

6章では作業計画、組織運営、役割分担、日程計画、予算計画、費用対効果分析、リスク対応について解説する。

7章ではプロジェクトの開始から終了までの流れを解説する。組織の手続き、キックオフ、情報共有、危機管理、納品など。

8章ではプロジェクト終了時の報告と評価について。報告書は見栄えも重要であるとする。

9章と10章では筆者が関わった2つのプロジェクトについて、立ち上げから進捗経緯について紹介する。

目次
 1章 プロジェクトとは何か
 2章 プロジェクトを取り巻く環境を認識する
 3章 プロジェクトは発想からはじまる
 4章 プロジェクトの企画の立て方
 5章 フレームワークの設定
 6章 プロジェクトの実施計画の立て方
 7章 プロジェクトの実施
 8章 プロジェクトの報告と評価
 9章 プロジェクトを実践する(1)-地域計画策定プロセス
 10章 プロジェクトを実践する(2)-SFCの挑戦)

全般としてキーワードの紹介にとどまっている。さまざまなフェーズの局面を網羅しているので、「プロジェクト」の概念に最初に触れる場合に参考になるだろう。

紹介される事例は大学内での研究や公共事業などが多い。
プロジェクト発想法―物・事・人のつくり方 (中公新書)/金安 岩男
¥777
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非常に読みやすかった。社会派推理小説の代名詞的作品だろうか。地道な捜査で手がかりを追っていく描写は面白かった。

しかし、あまりにも偶然や御都合主義が多すぎる気がする。そのため唐突に次の展開や手がかりに移ってしまい、捜査の進み方が頭に入ってこない。

最後になってあまりにも非現実的なトリックが登場する。これは本格推理小説のフォーマットに無理やり合わせようとしたのだろうか。
砂の器〈上〉 (新潮文庫)/松本 清張
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砂の器〈下〉 (新潮文庫)/松本 清張
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情報操作が起こりうる様々なケースを網羅的に紹介する。

第一章では情報操作の定義と、「説得」における様々な意見変化要因を紹介する。洗脳やサブリミナルについても言及する。

第二章では政治権力が情報操作してきた歴史を紹介する。シーザー、日本、キリスト教、ナポレオン、ナチスなど。

第三章では政治とマスメディア・報道との関係を議論する。選挙や戦争における報道のあり方や影響について。

第四章ではマスメディアの「やらせ」や人権侵害について。新興宗教へも話が及ぶ。

第五章では広告とその内容について。

目次
 第一章 情報を操作する、情報で操作する
 第二章 情報操作の歴史
 第三章 政治と情報操作
 第四章 日常生活に忍び寄る情報操作
 第五章 経済情報の操作

様々な面から情報操作を捉えている。あらゆるコミュニケーションは何らかの情報操作を含んでいるといえるだろう。

一般的なトピックやキーワードを紹介するに留まっているのが惜しい。もっと掘り下げて、どのように意図して情報操作を行うのか、どのように見破るべきなのか、などを展開してほしいところだ。
情報操作のトリック―その歴史と方法 (講談社現代新書)/川上 和久
¥756
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