私たちは「容器包装リサイクル法」に基づいて分別収集を行っていますが、この法律の中にも3Rの推進が謳われています。3つのRにも優先順位があります。
Reduce > Reuse > Recycle ( 削減 > 再利用 > リサイクル )
プラスチックによる汚染削減にも当てはまり、私たちもプラスチック、特にレジ袋、ペットボトル、パック容器など使い捨ての物を極力避ける必要があります。ペットボトルのデポジット制度について考えてみましょう。
1.デポジット制度とは
デポジットとは預かり金のことです。 製品の販売時に預かり金(デポジット)を上乗せしておき、消費された際それを返却すれば預かり金が戻される制度を言います。使い捨ての飲料容器(缶やビン)などの環境に悪影響を与える製品の回収を促進することが目的です。 例えば、自動販売機で売っている缶ジュースを、1個150円で買って、飲み終わった後、その缶を返却すれば50円が戻ってくるというシステムです。
日本で、法規制はないが、昔からビール瓶や酒瓶を酒屋に持っていけば1本に付き5円返却されるという制度があり、業者で洗浄、再利用しています。ビール酒造組合によると、ビール瓶の回収率は95%以上とのことです。現在は、ビールはアルミ缶、酒は紙パックの物が多くなり、ビール瓶や酒瓶は居酒屋といった飲食店での販売が主です。
2.ペットボトルとデポジット制度
ペットボトルのデポジットはプラスチックの使用量を減らすためというよりはポイ捨てをなくすという意味合いが強く、高い回収率が見込まれます。回収されたペットボトルはリターナブル容器を含む広い意味でのリサイクルが行われています。リサイクルできるからと、それを免罪符としてペットボトルの使用量を増やすと言うのは本末転倒です。
世界中で毎分100万本ものペットボトルが購入され,製造量は2016年には4,800億本に達しました. 2021年にはペットボトルの製造量は5,833億本になると予想されています(the Gurdian Jun 28 2017)。現状、この膨大な数のペットボトルの半分以下が回収され、そのうち僅か7%しか新しいボトルに生まれ変わっていません(Green Peace 2017)。つまり、ほとんどのペットボトルはごみ投棄場に捨てられ、一部は海へたどり着きます。
年間に800万トン以上のプラスチックごみが海洋に流れ込んでおり,その8割以上は陸由来のごみです(Jambeck et al. 2015)。イギリスのシンクタンクの調査では、海洋のプラスチックごみの33%は飲料用のペットボトルに起因すると言われており(Green Alliance)、見方を変えれば、ペットボトルに起因するごみをなくせば、海洋プラスチックごみの1/3を抹消できることになります。
ペットボトルがごみとして捨てられることなく、リサイクル用に回収されるのを飛躍的に高める効果的な方法の1つが、「デポジット制度」を導入することです。例えば、デポジット制度を2003年から実施しているドイツでは、90%以上(最高98.5%)のペットボトルが返却されています(Bottle Bill Resource Guide)。
3.ドイツのデポジット制度
デポジット制度の具体例について、デポジット制度が最も進んでいるドイツのデポジット制度を取り上げて説明しましょう。ドイツではリターナブルボトルが普及しています。瓶ビールやペットボトルを購入すると11円から34円ほどのPfand(デポジット)を支払っていることになります。使用後、消費者は販売店に空ボトルを持ち込み、デポジット料金を返却して貰います。一方、回収された容器は工場へと運ばれ、リユースされます(ガラス瓶は40~50回、ペットボトルは15~30回再利用)。なお、使い捨て飲料容器の大部分については、デュアルシステムを通して、回収・リサイクルされます。
デポジットを支払っているかは、レシートを確認してみれば分かります。「Pfand」という項目で追加されている金額が、デポジット料金です。
以下にドイツでペットボトル・缶・瓶の飲料を購入するときに支払い義務が生じる『デポジット』 (Pfand/プファンド)について述べます。
●ドリンク購入時にレジにて保証金も併せて支払う
スーパーで水を買ってレシートを見ると、購入品とは別のPFANDという金額が表示されています。ドイツでは飲料物の容器は再利用(リサイクル・リユース)の対象のため、返品率を上げるためにデポジット(Pfand/プファンド)制度があります!(一部除く)。つまり、ペットボトルの水や缶ビールなど飲み物を購入するときには、レジで商品代とは別に容器の保証金を支払わなければなりません。
デポジットなので、飲み終えたあと容器を返品すればデポジット代は返金されます。
●デポジット (Pfand/プファンド) の金額
デポジットの金額は容器によって異なります。
ペットボトル・缶=1本25セント(約34円 ※1ユーロ136円計算)
ビール瓶=1本8セント(約11円)
●デポジット(Pfand/プファンド)の返金方法
返金をしてもらう貰うためには、対象の容器をスーパーの回収機に入れます。特に購入した店でなくてもOK。ドイツ国内のどの店でも返金して貰えます。 回収機はほぼすべてのスーパーにあります。
下は缶とペットボトルを一本ずつ入れたときなので、25セント×2本で50セント分の返金用レシートです。
このデポジット代の返金用レシートをレジで渡すと、その分の金額が返金されます。または他の買い物があれば、品物にこのレシートを付ければ、買い物の合計からレシート分を引いて貰えます。
4.ドイツの飲料容器のリターナブルシステムが普及している要因
●規格統一された瓶の使用
飲料業界でドイチェ・ブルネンと呼ばれる業界団体を作り、そこで決めた統一規格の瓶を国内のほとんどの企業が1967年から使用しています。そのため、生産者が再利用のための余分なコストを削減できることはもちろんのこと、消費者にも分別などで大きな負担がかからない。
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ペットボトルのリターナブル瓶の使用
様々な研究開発の結果、ペットボトルのリターナブルを実施している。その材質は、耐久性を持たせるため大変硬い。
次回は世界中でどの様な国がペットボトルのデポジット制度を採用しているのか、また、日本はデポジット制度を何故導入しないのか、導入できないかを考えてみたいと思います。引き続きご愛読をお願い致します。
(by umi-bugyou)