会長が、
「チェンマイ出発は朝5時な。」と、いつものように思いつきで、突拍子もない事を言った。
会長は、会長で、タイ🇹🇭最北端の大学、メーファールアン大学にいる娘に、何か持って行くつもりで、その時間から逆算して言ったのだが、現実離れしていた。
何故なら、そんな時間に出発したら、空手少年Kが行く予定の場所、つまり、女の子が通っている学校は、まだ、開いていない。
そう、自分の計画では、空手少年Kを女の子の通っている学校に連れて行って、そこで、空手少年がその女の子にした約束、日本🇯🇵の美味しいお菓子を持って行く、と言う約束を果たしてもらおうと、考えていた。
で、結局、チェンマイ出発は、朝7時前位になった。
向かうは、チェンマイの隣、タイ🇹🇭最北端のチェンライ県である。
先ずは、ミッション① 空手少年Kが女の子にお土産物を渡す事。
会長が、女の子のおばあちゃんに電話し、女の子が、今日、学校に行くかどうか確認する所からミッションは始まる。
目的地は、チェンマイから北東へ車で2時間半程行った所にあるメースワイの小学校である。
朝の朝礼の時間などを避けて、学校に行く事にした。
その為、学校の近くの店で、朝食を食べて時間調整した。
日本🇯🇵だと、部外者は簡単に学校には入れない。ましてや、外国人がふらっと、学校に入って来たら、直ぐに不審者対応マニュアル発動だろう。
実は、自分達は、それを敢えて期待した。
不審者対応で職員が出て来た所を、事情を話して、女の子を呼び出してもらおうと考えたのである。
悪い事をしているわけではないのだから、正面から堂々と行く。
そしたら、対応してくれた職員が、何と校長先生だった。
来意を告げると校長先生は、任せといて、とばかりに笑顔で対応してくれて、女の子の名前と学年を自分達から聞いた上で、他の先生に、その子を呼びに行くように言ってくれた。
そして、空手少年Kに、
「君、良かったらウチに転校して来ないか?」と、笑顔で言ってくれたのである。
こう言う懐の深さを持っている校長先生の学校って、何かええな、と、思うのである。
一方、
「校長先生が呼んでいるからおいで。」と、他の先生から呼ばれた女の子は、会長の話によると、その時は、
校長先生に呼ばれるなんて、私、何か悪い事したのかな?と、考えながら来たそうである。
すると、空手少年Kがいたのでビックリしたと。
この動画の曲、長渕剛さんの『My self』、空手少年Kが女の子の学校に行くまでに、車の中で彼が選んでかけていた曲で、この動画の曲にしたのも彼のリクエストだった。
🎵だから、真っ直ぐ、真っ直ぐ、もっと真っ直ぐ生きて。恥ずかしそうにしているお前が好きだ。だから、真っ直ぐ、真っ直ぐ、もっと真っ直ぐ生きて、寂しさに涙するのはお前だけじゃねぇ🎵
これは、空手少年Kの複雑な家庭環境にあるその女の子へのメッセージだった。自分は、アプリでタイ語に翻訳して、会長から、その女の子に、空手少年Kから女の子へのメッセージだと言って、後で送ってもらった。
国、民族、言葉を超えた、子供通しのこころの交流だった。
空手少年Kは、まだ子供だけど、立派な漢である。
子供は、いつの時代も、どこの国でも、どの民族でも同じ、子供は子供。それを取り巻く大人の環境が違うだけ。
と、言うのが自分の持論である。
国を超え、民族を超えて知り合った友達が、お土産物にお菓子を直接持って来た。
それだけの事であるけど、その裏には、複雑な家庭環境の中で寂しい思いをしている友達を心配し、励まそうと言う空手少年Kの心意気があるのである。
お菓子を持って来てくれた。行為だけで見たら、たったそれだけの事である。
でも、それだけが、少女に取ってどれだけの励みになるか。
心配してくれている人がいる、と、言う事が。
空手少年K、よくぞやってくれた。
ありがとう。何度も言う、君は立派な漢である、と。
空手少年Kへのミッション①コンプリートであった。