一言もデンマーク語は話せないけれど、コペンハーゲンで暮らしてみる

一言もデンマーク語は話せないけれど、コペンハーゲンで暮らしてみる

デンマークのコペンハーゲンにある旧王立図書館に惹かれてコペンハーゲンで暮らすことに。
コペンハーゲンでの日々の暮らしと街で出会った人々の話。
ヨーロッバの旅行についての話も。

Amebaでブログを始めよう!
以前、本当にコペンハーゲンに住めそうか下見を兼ねて来た時、
一度はファンシーなレストランで食事がしてみたいと思って、
金、土だけランチタイムにオープンしているRadioを選んで行ってみることにした
(ランチなら安いかと思って)。
noma出身のスタッフが独立してオープンしたレストランだ。


店名の由来は、向かいにある建物が昔ラジオ局だったからだという。
(現在は音楽学校として利用されている)

店内に入るとメニューはなく(後にディナーで再訪したら夜はメニューがあった)、
お兄さんが口頭でメニューについて説明してくれる。

「今日のメニューは、ホタテのなんとかにサイダー(りんごの発泡酒)ソースがけ、
魚のなんとか、メインはラム肉のロースト
デザートはアイスではないけれど冷たいクリームのなんとかをご用意しております」

うまく聞き取れず、そしてシステムがよくわからないので適当にうなずく。

しばらくすると再びお兄さんがやって来て、私に聞く。
「どちらになさいますか?」と。
どちらも何もさっきメニュー説明してくれたじゃん、と思って
「ホタテ?」と言うと、
「それだけ?」と言われる。

まださっぱりシステムが理解できないので
「他のも」(ラムは苦手なんだけどなー)と適当に答える。
お兄さんも、こいつわかってないなという優しい微笑みを浮かべながら
「お飲物は?」と聞いてくれる。
お酒は飲めないというと、いくつかジュースを薦めてくれたので、
きゅうりとディルのジュースを試してみることにする。
(きゅうりってジュースになるの!?)


しばらくすると前菜がやって来る。
ローストラディッシュにスモークしたクリームチーズのムース添え。


ラディッシュも瑞々しいけれど、
このクリームチーズに風味づけられたスモークの香りがたまらず、先が楽しみになる。

パンに添えられてきたキャラメライズド・オニオンバター。
バターをきちんと練ってあるらしく柔らかくてクリームみたい。

次にやって来たのが一品目のホタテのサイダーソースがけ。


ホタテとあえられた野菜はなんだかよくわからないんだけど、
シャキシャキとしたメンマのような食感。
ホタテも野菜も甘ずっぱいサイダーのソースとよく合う。

二品目はルックスが不思議。
魚がふわふわとした泡のようなものに包まれている。
まるで食器洗剤で魚を洗っている最中みたいな感じ。


お魚は鱈の一種で、柔らかい身と薄くスライスしてマリネした大根の食感とが対照的。
結局泡の正体は何だかよくわからず。
不思議な一品だった。

続いて登場したのはメインで、ラム肉のロースト。


正直、私はラムの臭みが苦手だから好んでラムは食べないんだけど、
このラムは臭みがほとんどない。全くないわけではないんだけど、
肉を噛み締めているうちに徐々にわき上がってくるような感じ。
逆にラムの力強い風味が好きなんだという人には物足りないくらいかも。
これはハーブのソースをからめていただく。

この後、薦められるがままにチーズを食べる。


ハードタイプで、ワインを飲んでいればよく合うんだろうけど、
お酒を飲んでいない私にはちょっと重たすぎた。

最後はデザート。



コーヒーカップが日本の湯呑みみたい。

…と非常にボリュームたっぷりなランチ。

ところが、最後に大きな落とし穴がやって来る。

お会計を見せられて驚愕。
ランチで総額500クローネ(約10,000円)

ここに来てやっと、最初に彼が100クローネがどうとか言っていたことを思い出す。
てっきり全部含めてコースで100クローネだと思っていたから
たくさん食べた方が得じゃんと思っていたけど、
1品あたり100クローネ(約2,000円)だということを後から知る。

知ったところでもう全部食べちゃったし、後の祭りなんだけど。

動揺を悟られないようにさっとカードを出して、
10,000円のランチの会計を済ませる。(辛かった…)
最初から知っていたらもっとセーブしたのに。

でも、もし貧乏旅行でなければ一度は訪れる価値のあるお店だと思う。
コペンハーゲンはミシュランで星を獲得しているお店が多いと聞いているけど、
星がついてなくてもこんなにレベルが高いんだと知ることができるので。

料理のジャンルは何て分類したらいいかよくわからないんだけど
(モダン?フュージョン?)
デンマークのモダンスタイルレストランとでも言ったらいいのかな。

ちなみに厨房はガラス張りになっているので、
イケメンシェフが働く姿を堪能しながら食事もできます。


地下鉄のForum駅から徒歩1分。中央駅から徒歩で約15分。
「やっぱり愛が大事だよ」とフランス人のベルナールは語る。

「デンマークでは、夫婦関係はもっと友達みたいな感じだっていうんだよ。信じられる?」

「ここでは男性は女性化し、女性は男性化している。
 どっちに優位があるとかじゃなく、男性には男性の、女性には女性の魅力があるのに、
 スカンジナビア系の人々はその垣根が薄れている。
 だからもっと友達みたいな感じでいいんだって言い切っちゃうんだ」

彼のトークはさらに白熱する。

「もっと言えば、コペンハーゲンでは独身が増えている。
 奴らは一人でいるのが好きなんだ。
 誰かに自分の時間を邪魔されるのが許せないから、
 彼女や彼氏と関係を築くのを嫌がっているんだ」

「でも」と彼はブラッックベリージュースを飲みながら続ける。

「夫婦関係には愛による関係(セクシャルリレーションシップ)がなくちゃならない。
 そうだろ? 
 それともそう考える俺っておかしいか?」

そういう発想っていかにもフランス人らしくて私は思わず笑ってしまう。
そんな私を見てベルナールは両手を大きく広げる。

「やっぱりおかしいか?」

アルゼンチン人のグスタフが答える。
「ちょっと過剰かもな」

愛の国、フランス。

そんな言葉が私の頭をよぎった。
ギリシャから帰って来た時、
日本にいる家族に「やっぱりコペンハーゲンがいいね!」と連絡すると
「さすが住みやすい都市世界No.1」と言われる。

本当にコペンハーゲンが住みやすい都市ランキング世界1位?

住んでみないとわからない意外な盲点だってあるんだけどなー…というわけで、私なりに(簡単に)検証してみる。

—メリット—
①街のサイズが手ごろ
コペンハーゲンと聞くと大きな都市を思い浮かべる人も多いかもしれないけど、
実際、街の主要な場所は半径3km圏内に収まる(はず)。
自転車があればどこへでも5~10分で行くことができる。
東京みたいに移動に30分~1時間みて…なんて必要がなくって移動が楽。
だから時間も有意義に使える(気がする)

②素敵な独立系カフェが多い!
小さいけれど居心地のいい独立系のカフェが多いのが
私がコペンハーゲンを気に入っている理由のひとつ。
オーナーの趣味が色濃く出た個性的なカフェがたくさんあって
どこに入ろうか悩んでしまうくらい。
WiFiがつながるお店も多いのでついつい長居したくなってしまう。

③街がフラット
東京と違って街中がまったく起伏に富んでいないので、
自転車さえあればほぼどこにでも行けるコペンハーゲン。
したがって市民の40%は自転車通勤or通学。
列車内には自転車スペースも確保されているので自転車ごと電車に乗ることも可能。

④公共交通機関はほぼ24時間営業
すべてのバスかどうかわからないんだけど、
少なくとも家の前からセントラルへ向かうバスは24時間営業。
昼間は6分間隔、夜でも10分間隔で運行しているので、どんなに夜遊びしても大丈夫!?
ちなみに、ロンドンと違って昼と夜とで路線が変わる心配もない。
メトロもほぼ終夜営業。

⑤医療費が無料
税金が高いだけあって市民の医療費は無料(歯科は除く)。
じゃあ私たちのような外国人は…?
それが、CPRナンバーという、いわゆる市民IDが発行されれば
留学生や外国人在留者も医療費が無料に。
その代わり、住民登録の可能な住宅(又借りはNG)に住んでいるという証明が必要。

⑥育児しやすい環境
コペンハーゲンでは子供を連れたお母さんの姿を東京よりもずっとよく見かける。
それも1人じゃなくて大抵2、3人
(うちのお隣さんも男の子と双子ちゃんの3人)。
クリスチャニアバイクと呼ばれるリヤカーのような箱を
前輪につけた自転車に子供を乗せたお父さん、お母さんの姿も。
バスや電車には必ずベビーカーを置くためのスペースが設けられている。

⑦女性が働きやすい環境
電車の車掌、バスの運転手…日本ではあまり見かけないような職場でも
女性が活躍しているデンマーク。
女性の男性化が進んだ国なんだよ、と冗談に言われるほど。
それも若い女性だけじゃなく、50代くらいの女性も多いのが特徴的。

デメリット
①物価が高い
東京よりも物価の高いデンマーク。
例えば、コーヒーはブラックで約600円。
(スタバのフラペチーノは約1,000円!)
トイレットペーパーは8ロールで約700円。
ランチだって2,000円くらいざらにかかる。
でもフルーツはものによって東京よりも安かったりする。

②冬が寒い!
誰もが声を揃えて言うのが「冬のコペンハーゲンは最悪だ」。
真冬を過ごしたことがないからわからないけど、
以前11月中旬に来た時は、一日中曇り空で夕暮れは16時頃、11月でもダウンジャケットを着て歩き回っていた気がする。
4月末に来た時は明け方の気温が0℃。
おまけに海に近いせいで風が強くて体感温度はもっと低かった。
…ということは、冬の厳しさがちょっと想像できるのかな…おそろしい。
ちなみに、市庁舎の近くにある大きな温度計の最高気温は20℃、最低気温は…-20℃と表示されている。
表示があるってことはそれだけ下がるってことだよね!?

③デンマーク人はオープンマインドではない。
仲良くなると、あるいは話をすると皆いい人たちなんだけど、
イタリア人のように初対面の人に対してもぐいぐい来るようなキャラではないデンマーク人。
だから一見するとちょっと冷たく思えることも…。
最初この街に来た時、もの珍しそうに私の方を見るんだけど、
目が合うと視線を逸らされるということにいちいちショックを受けていたんだけど、
どうもこれは単なる国民性らしい。

④人々はみんな孤独(だと言っている)
コペンハーゲンのある美容師さんがお客さんからよく言われるそう。「自分はとても孤独だと思う」と。
たとえ住みやすい街に住んでいても都市に住む人々特有の悩みはあるみたい。

⑤独身率が高い
さっき子育てしやすい環境と書いたけど、コペンハーゲンでは独身の人も多く、
40近くになってから結婚する人も珍しくないそう。
特に独身の人は誰かが自分のパーソナルスペースに入ってくることを嫌う傾向があるとか。

⑥お店の閉店時間が早い
東京にいるせいでこんな文句が出てくるのかもしれないけど、
ショップやカフェは大体18時閉店。
特に夏は日が長いのでうっかりしていると既にお店が閉店していたりする。
日曜は欧州の多くの街と同じでほとんどのお店が定休日。
一体日曜日に何をしたらいいんだろう…といつも困ってしまう。


住みやすい都市ランキングNo.1のコペンハーゲンの光と影、いかがでしたでしょうか?
世界にはパーフェクトな街はないということですね。
自転車で街中を走っていたらベルを鳴らしながらクルマが走って来た。

ふと、焼き芋かなー(んなわけない)と思いながら振り返ったら、



アイス売りのクルマだった。



暖かい部屋でちょっとアイスが食べたくなったけど外は寒いしなー。
あ、アイス屋さんのベルの音が聞こえて来たよ。

なんていいながらお財布握りしめて買いに行くのかな、
なんて想像しながら走る曇り空のコペンハーゲン。

ちなみに、夏にはこんなクルマいなかったの。

コペンハーゲンの冬の風物詩、アイス売りのクルマ。

アトリエ・セプテンバーはここ最近オープンしたカフェの中で注目株なんだとか。
…とnomaのレネがschonemannをおすすめしていたのと同じ記事で一押ししていたので、行ってみることにする。

訪れてみて初めて気がつく。
「あ、ここ、気になっていたカフェだ」

そう、Atelier Septemberはまず外見がスタイリッシュ。


そしてカフェの中も素敵。


自転車に乗る人が多いせいか割とカジュアルな格好をする人が多いコペンハーゲン、
でもここに集うお客さんは皆、お洒落。
(ちょっと引け目すら感じるくらい)


あれ、KitKatじゃない?
よく見ると、抹茶バージョンのキットカット。
(京都限定?)


よく見ると日本の茶器や抹茶が並んでいる。

店員さんに「日本のものがたくさん飾ってあるね」と言うと、
「実は今年の年始にお店のスタッフで日本に行って来たんだよ」という。

よく見るとメニューにもMatchaと書いてある。
(でも1000円以上する)

レネがお勧めしていたミューズリーとヨーグルト。
ショウガのスライスが添えてあって、甘いというよりはちょっぴりスパイシー。


暖かい季節だったら自家製レモネードもおすすめ。


Atelier Septemberはニューハウンと城のちょうど間くらい。
ニューハウンを観光した後に一休みするのにちょうどいい距離かも。

お店を出たら、たまたま日本人の男の子の集団に出くわす。
「このカフェ、雰囲気よくない?」という男の子たちに
「今コペンハーゲンで話題なんだってー」と返事する(心の中でね)。