一度、娘を私の教え子の卒業式に連れて行ったことがありました。私の教え子が娘の小学校の放課後プログラムの先生をしていて、その人が「卒業式に先生とお子さんに来てほしい」と言ったからです。それまでに数回、卒業式には参列していましたが、その年は娘もかわいいドレスを着て学部のパーティに出席して、私の学生と一緒に写真を撮りました。この時は夫も来て私が卒業式で壇上にいる間は娘と一緒に待っている予定でしたが、夫が急な仕事で来られなくなり、娘はまだひとりでいられないから、私は式の方には参列しないことにしました。けれど「娘さんは控え室にいていいですよ」と言ってくれた人がいて、急遽 参列したのですが、娘にとっては、この時のことが強烈に記憶に残っていたようです。
この控え室は、控えめに言っても本当に豪華で、娘にとっては憧れの憧れだったロサンゼルスバレエの公演を見た後、出待ちをした廊下の先にある部屋です。そして控え室には大きい鏡やメイクアップができるデスクもあって、まさに劇場の楽屋の豪華版です。サンドイッチやフルーツやプチケーキが豪華に盛り付けられていて、そんな大きい部屋に娘ともうひとりの人しかいなかったそうで、本当にわくわくしたのでしょう。
娘はその翌年から、ずっと私の卒業式に来たがっていたのですが、卒業式は土曜日にあり、日本語補習校に通っていた娘は最近(コロナ明け)まで卒業式にくることはほとんどできませんでした。
コロナ明けにおこなわれた卒業式は、まだ留学生の家族はアメリカに来にくい時期だったので、私は無理して参列し、カメラマンとして娘に同行してもらいました。それから3年連続、娘は卒業式に同行してくれて、文句も言わずに私と私の教え子の晴れの姿を写真に撮ってくれていました。
そして今度は娘自身の卒業式が同じキャンパス内でおこなわれました。私たち家族は一番に会場に行き、プレゼントをセットアップするために会場に入りました。その時、セキュリティのひとりが、娘に「まだ時間じゃないから控え室に入れないよ」と言いました。娘が英語で何かを聞いていて、セキュリティが無線で連絡して中で待っていいと言われました。私と夫はプレゼントを置いたら一回出て保護者の列に並ぼうと思っていたのですが、学校の先生に「ここ(入り口)に誰もいなくなるからちょっと見ていて」と言われてぼーっとロックがかかったドアの中側にいました。
次々と先生が入ってきて、卒業生がパラパラと入ってきました。娘は誰もいない時に到着したので、たくさんひとりの写真を撮りました。前の記事にも書いたように夫は早めに他の人の邪魔にならない遠くにカメラをセットアップしていました。
本当は仲良し4人組でキャンパスの中の有名な場所で写真を撮ろうと約束していたのですが、結局卒業式のあとは、みんな家族単位で行動するし、いろいろ事情があって、家族を待たせられなかったので、4人の写真は会場内でしか撮れませんでした。その代わりに2日後の私のお別れパーティに、また娘の仲良しグループが来てくれることになりました。結局、娘の友達3人中、1人しか来られなかったのですが、私の教え子で今年、卒業する学生と娘と娘の友人が卒業式のガウンを着て思い出の建物の中で記念撮影をすることができました。娘にとっては何度も「カメラマン」として参加していたこの場で自分がガウンを着て写真を撮れたことがとても嬉しかったようです。
昨日の卒業式の日は、娘の最後のバレエリサイタルの日でした。時間は重なっていなかったのですが、娘はメイクやリハがあるので、私がひとりで卒業式に行きました。そして「今日はカメラマン(=娘)がいないから、自撮り棒持ってきたけど『使用禁止』って書いてあるから使えない」と学生に言ったら、みんな「家族や友達が来ているから撮ってくれるので大丈夫」と言ってくれました。
卒業式が終わり、外に出たら、学生がたくさん集まってきてくれて、たくさん写真が撮れました。学生の1人の家族が「〇〇(娘の名前)のお母さん」と(もちろん英語で)呼びかけてくれました。
なんと娘の学校のセキュリテイの人が、私の学生の家族だったんです
そしてその人が娘の学校の卒業式の当日、誰よりも早く会場に着いて、控え室をきちんと整理してくれて、自分はしっかり準備して静かに待っていた様子を話してくれました。
そして
僕の親戚(私の学生)が「当日は(ホールの上にある)教室には入れなくても日曜日に写真撮ったから、大丈夫」と言って見せてくれた写真に〇〇(娘の名前)がいたからビックリしたんだよ
と言っていました。彼はなぜ娘が卒業式当日ではなく、2日後にキャンパスの別の場所で記念撮影をしたかという理由も理解していたので、とても思慮深い子だとほめてくれました。
娘がやりたかった仲良し4人組で噴水に飛び込む写真は撮れなかったけど、ずっと裏方(カメラマン)だった場所で自分が主役のひとりである写真を撮れて本当によかったと思いました。
今になって振り返り、卒業式に何度も参列したことは、自分自身や教え子の人だけでなく、自分の娘にもたくさんの思い出を作ってあげられていたんだと思いました。そしてセキュリティの人が教えてくれたように娘は自分にとっては慣れた場所で、落ち着いて卒業式の準備ができたのは本当によかったです。
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