近距離恋愛 -4ページ目

早雲

午前中は学校。
数学も漫画を片手に難無く乗り越えて、

午後はデート。

ホームルームが長引いて
予定していたバスに乗れなかった私たち(´・ω・`)
20分に一本のペースで来るから
すぐに来るよ、とお兄ちゃんを宥めて。
でもなかなか来ないバスに明らかに苛立つお兄ちゃん。
最終的にバスが来たのは
一本抜かした40分後で。

いつもより会話が少なすぎて
旅行が少しフラッシュバックしたけど
精一杯笑顔になって。
滅多にない二人きり
楽しみたい
楽しまなくちゃ。

それにしても二人になると
口数が少なくなるのは気のせいなのかな。
普段から聞き役の多い私だから
気まずくない沈黙でも多少焦る。
つまらなくないかな。
大丈夫かな。
杞憂だといいな。

ぐるぐる

バスのせいでお昼を食べる時間がなくて
映画のファーストフードをちょっと多めに買った。
今日見に来たのは「容疑者Xの献身」。
私はあんまりドラマが好きじゃないけど
ガリレオは何度か見たことがあって。
お兄ちゃんもREBORNしか見てないはずだけど
見たがってたのはお兄ちゃんだし
二人ともそれなりにそわそわしてた。


そのうちすぐに上映時間になって
二人分のファーストフードをお兄ちゃんに持ってもらうと
私が二人分のチケットを館員さんに渡した。
返ってきた半券をお兄ちゃんに「いる?」と聞くと

「いらない、捨てちゃって。」

ごく普通の返答なのに、すごく悲しくなって。
言い方とかそういうものじゃなくて
価値観の相違なのかな。
もしかしたら私が変なだけかもしれないし
単に一人祭なのかもしれないけど。
私は二人で初めて行った映画の半券を
大事にしまった。

私たちの入った第三館内は
平日の昼というだっけあってガラガラで
私たちを含めて5人しかいなかった。
映画中は特に何もなくて
自分でも気付かないうちに少し期待してたみたいで
その分だけ寂しくなった。
終わった後、ドラマでもやれそうな映画の内容に
ちょっと不満げなお兄ちゃんを宥めながらシネマを後にした。

イオンシネマだからもちろんショッピングモール内で。
見終わった後は少しお買い物をしようと思ってたけど
お母様が帰るまでに帰らなくちゃいけないお兄ちゃんは
私に何度もごめんと言って。
今日は映画だけ見て帰りのバスに乗った。

帰りのバスで二人用の席に荷物を隣にして座ったお兄ちゃんに
また悲しくなったけど
今日はこういう日なんだって
自分に言い聞かせて。
行きのバスのように
私にとって、長い長い沈黙が続いた。


駅前の停留所で下車して
今日初めて私が溜息をついたら
今日初めてお兄ちゃんが私に問いかけてくれた。

「ふぁ」
「どうした?」
「楽しかった!」

お兄ちゃんにはどんな風に見えたのか分からないけど
私としては精一杯の笑顔で。
そしたらまた

「本当に映画だけ見て終わっちゃったね。ごめんね。」

なんて言うから
私は一生懸命否定した。

「遊べるだけで嬉しいから。」

これも貴方にどう受け止めてもらったか分からないけど
私の本当の気持ちだから。
もうそんな風に言わないで。

駅から少し離れた駐輪場まで行くと

「桃ちゃん送ってく」

なんて。
本当にすぐそこなのに(笑)
駐輪場から50m先の駅の前にまで出て

「ここで平気?危なくないかな…」

ここもう駅だよお兄ちゃん(笑)
そう言うと苦笑いしたお兄ちゃんに今度こそバイバイした。
いつか言おうと思ってる
帰り際の「ちょっと待って」を今日も言えずに。

私の手を擦り抜けた貴方に

「また遊ぼうね!」

と精一杯の言葉を告げて。


楽しい思い出になるはずが
隙間だらけの寂しい記憶
やっぱり貴方とっては
手のかかる妹でしかないのかな…

分かりたい
分かれない
分からない

相談なんて誰にすればいいの?
相談したら誰か教えてくれるの?
私はどうしたらいい?

ねぇ

終止符ってどうやってうつんだろう


また明日

買収

今日のお兄ちゃんと私


図書室に先に行ったお兄ちゃんを迎えに行って
後ろからぎゅむっと。
司書さんには変な目で見られたけど
寒いから、と言って。
いつの間にか当たり前になってたこれが
一年前は顔を知ってる程度だったなんて
考えられない。

そのまま危なっかしく階段を上って
教室の入り口をくぐって
お兄ちゃんの席に着くまで張り付いてた私に
お兄ちゃんは一緒になって笑ってた。
嫌われたくない私は
どこまでならお兄ちゃんが怒らないのかわからなくて
内心ビクビクしながらくっついてたけど
嫌な顔をされなくて安心した。


放課後。

延期された映画デートの話をしながら
自転車登校のお兄ちゃんに連れて
駐輪場へ歩いていると声がして。

「ラブラブだねー」

Oちゃんもとい9番とIちゃんもとい恭ちゃん。
9番は戦国好きで恭ちゃんはREBORNの恭弥さん好きのヲタク仲間。
冗談とわかってるから悪い気はしないけど
お兄がどう受け取るか少し不安で。
そんなお兄は私の心配をよそに

「おまえらもな(笑)」

残り少ない同じ帰り道が気まずくなるんじゃないかと
勝手に悲しくなってたら
出てきたのは肯定の言葉。
お兄ちゃんがどんな風に思って
そう言い返したのは分からないけど
少なくとも否定の言葉じゃなかったのが

嬉しくて嬉しくて。

ふと頭を過ぎった
随分と前に友人に言われたあの言葉を
あの時はお互いに否定したけど
今またあの問い掛けをしたら
貴方はなんて答えるんだろう。


そのままいつものように校門を出ると

「本屋寄るから」

と、私と同じ方向に歩き出すお兄に
にやけた顔がおさまらなくて。
他愛のない話の中で
手袋が欲しいと言った私に

「可愛いものじゃなくてちゃんと暖かいものにしてね。心配だから。」

なんて言うから
ほらまた、にやけちゃって。
これがただの妹愛のようなものなのか
そうじゃないのか
後からになってちょっと寂しくなったけど
この時はただ嬉しくて。

そのうちどんどん級友に追い越されて
初めてお兄ちゃんが私に歩調を合わせてくれてることに気付いた。
私がお兄ちゃんに合わせると言えば

「その靴じゃ転ぶし。心配」

やっぱり私はお荷物なのかな、なんて
勝手に悲しくなったり不安になったり
それからお兄ちゃんの笑った顔を見れば
嬉しくなって
自分でも馬鹿みたいだと思うけど
それが幸せなのも確かで。


本屋で滞納していた目盾21を大人買いした後、
本当に気をつけてねと何度か言われて別れた。


ちょっと待ってと言えたらいいのに。



明日は映画。
たった4時間くらいかもしれないけど二人きり。


また明日

混沌

最近お兄ちゃんにやたらベタベタしてるYちゃん。
あ、お兄ちゃんとイニシャル同じだ。
また一つ発見。

いらいら

苛々

Yちゃんはあの迷曲「蛇口」を作詞作曲した張本人で
クラスに一人はいる、所謂お調子者。
ちょっと図々しいところなんかも彼女らしさで
周りはすっかり慣れ親しんでる。
かくいう私も嫌いではなく、
自分から向かうのが苦手な私としては寧ろ好きな部類で。
でも

「愛してるって言って!」
「抱いてください(笑)」
「k村、Y希のこと好き?」

なんて。
ここが女子高だってそんなことわかってる…けど。
目に見える周りにとは違う接しかたと
その行き過ぎたスキンシップに苛々苛々…(´・ω・`)
まあ私が苛々していいポジションじゃないのも分かってるし
お兄は面白くて一緒にいたくなるのもわかる。
でもそれが余計に哀しくて

また苛々…


私がふざけて友達に言った「好き」がお兄に振られて
お兄の口からも同じように出た「ウチも好き」

耳に入った途端にすごく悲しくて顔にださないように必死になった。

あぁ

我が儘すぎるだろ私…


今日あんまり構ってもらえなかったのを寒さのせいにしたい。


帰り道が全く逆方向の私たち。
校門で別れを渋るのは
私だけじゃないのかな…
じゃないといいな

いつもより多めに私に「気をつけて」を言ったお兄ちゃん。


また明日