今年度、社会福祉士養成校で非常勤講師をしています。年間を通して援助技術論を学生さんに教えていくのですが、毎回の講義でどんなことを話して、どんなことを学んでもらうのか。学んでいただく形は、講義、動画視聴、ロールプレイ、グループディスカッションなどどの形が最適か、など一生懸命考えて作りこんでいきます。しかし、年間通しての講義となると、行き詰ることがあります。
まさに、先日そのような状況になった時、私が医療ソーシャルワーカーとして駆け出しのころから様々な研修で講師をし、大学院の先輩でもある元医療ソーシャルワーカー協会会長に偶然再会しました。非常勤講師をしていて行き詰っていることをお話ししたら、その先輩が様々な場所で講義をしたスライドやデータを提供してくれました。その内容はとても重厚で、私が講義をするものの何倍も価値のあるものでした。
今回私が最も心を動かされたのは、そのデータの中のいくつかに、私がまだまだ未熟であった時に講義していただいたものがあり、懐かしさとともに、こうやって成長を促してくれていたんだという実感でした。どちらかというと、スマートな医療ソーシャルワーカーではなかった私はこの先輩の講義を幾度となく聴き、この先輩が協会の会長となった時には部長や理事に引き上げて頂きながら、本当に数えきれないほど様々な経験を積ませてもらいました。それなのに、いつの間にか自力で成長したような勘違いをしていたようにも思います。
改めて、今回、先輩から頂いたこの懐かしいデータを見ながら感じたのは、まったくもって一人で成長したのではなく、様々な場面で気に掛けていただき、惜しみなく知識を提供していただき、未熟な感情の起伏まで受け止めてもらい、そして、あきらめずに成長を促し、待ってくれた先輩がいたんだということでした。しかも、それは、一人ではなく、所属組織の内外を問わず、多くの方々がそのように接してくれていたのだと、強く深く感じました。
医療ソーシャルワーカーは、たった一人で成長することはとても困難です。もちろん、核には成長を望む自分自身の信念が大切ではありますが、先輩方、同僚や仲間、そしてクライエント、他職種から育ててもらう職種なのだと思います。
思えば、100年以上の歴史が積み上げられてきたソーシャルワークの理論、技術、知識も先輩方から引き継がれた意思であり愛であり優しさだといえます。私たちはその意思や愛や優しさを引継ぎ、感謝し、そして後輩たちに繋いでいかなければなりません。
その役割や使命を今一度、心に留めておこうと思います。
その先輩から頂いたデータには、小さな手紙が添えられていました。
『みんなの役に立てたら嬉しいよ』と。
通常の三倍






