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九大昆虫班のブログ

九州大学生物研究部昆虫班です。班員が交代して更新します。

 ブログを読んでくださっているみなさま、初めまして。生物研究部昆虫班の西谷と申します。ハチとアリが好きです。昆虫採集は昨年から本格的に始めたというへっぽこ部員ですが、よろしくお願いいたします。

ここまでブログを書いてくれた徳升くんに代わって少しだけ遠征の記録を書かせていただきます。更新が遅くなって申し訳ありません。

 

 それでは、西表島2日目の始まりです。

 

 317日の朝は7時ころに日の出とともに目が覚めました。前日は移動日で大変疲れたため、早く寝てしまったためです。

 

徳升くんの言う「移動日のいろいろ」には思い出(恨み?) があるので少し書きます。16日の移動日にはフェリーが出る離島ターミナルで荷物と荷物番3(西谷、トンボ屋のIくん、カメムシ屋のTくん) をレンタカーから降ろし、4人でレンタカーを返却に行くという計画でした。しかし、私たち3人が7人分の荷物とともに降ろされたのは「離島ターミナル」から1㎞程離れた「石垣港ターミナル」だったのです。7人分の荷物(1人分が12㎏くらい) を前に途方に暮れる3人……。車を返しに行った先輩たちに「戻ってきて車で荷物を離島ターミナルまで運んでほしいのですが……」と電話するも「時間がないから無理」とのお言葉。結局3人で2往復して(最後の1往復はK先輩も来てくれました)7人分の荷物を運びました。

 

 (愚痴を書いてすっきりしたので)17日に戻ります。

 朝起きてすぐに麦を炊いて食べました。そして徳升くんとN先輩のインスタントラーメンのお湯を沸かします(西谷だけがガスを持ってきているため。「麦~ラーメン」の流れは西表で毎朝繰り返されます。18日からは省略します)

 

 ご飯を食べたところで出発です。

 昼の部はキャンプ場の近くの山の下見をしました。メンバーは甲虫屋のN先輩とHくん、カメムシ屋のTくん、西谷です。

 

 登山道に入ると、初めから道がありません。よく見ると川が道になっていました (「道が川のようになっている」のではなく、細い川が道として機能しているのです)。ヌマエビやアメンボたちを見ながら川を進みました。すぐに道は陸に上がりましたが、そこからハードな道を突き進みます。ハードすぎて登山中は昆虫採集が全くできませんでした。

 

 しばらく進んで皆が疲れてきたところで自然に採集開始です。この山は鬱蒼とした原生林に覆われていて、落葉層や倒木がかなり豊富でした。登山のメンバーは甲虫屋が多いので、皆で落ち葉をふるったり、倒木を叩いたりしました。私もザルで落ち葉をふるっていると、ひとふるいでたくさんの小さな甲虫たちを見つけられました。アリヅカムシやコケムシやハネカクシやムクゲキノコムシや正体不明の虫……。これほど多くの甲虫をひとふるいで出せたことに驚きました。小さすぎて写真に残せていないのが残念です。採集した甲虫はその場でN先輩やHくんにすべて託しました。

 

 満足したところで登山を再開し、マダニまみれの藪を抜け、山頂までの3分の2くらいの地点に着きました。すると何か大きな動物のいる物音が聞こえました。ここで皆のやる気が失せ、引き返しました。正直なところ、福岡で1000m級の山に登った時よりきつかったです。

 

 この後は登りで目星をつけておいたポイントで採集しながら下山しました。

 するとなんと、N先輩がピッカピカの昆虫を落ち葉ふるいで採集しました。

 なんと緑色のオオヒゲブトハナムグリが捕れました。長竿を使って捕るイメージの昆虫ですが、ふるいでも捕れるのですね。

 この後はN先輩が黒いクモバチを捕獲してくださいました。まだ同定できておりませんが、クモバチはかっこいいと思います。

 

 夕方に下山した後は疲れたのでキャンプ場に戻って夜まで休憩しました。

 

 夜になりましたら再び同じ山に挑戦します。夜の部ではスジダカヤセヒラタゴミムシを探しに行きました。スジダカヤセヒラタゴミムシは西表島のみから見つかっているゴミムシなのだそうです。メンバーはゴミムシ屋のK先輩、甲虫屋のHくんと私西谷の3人です。また、登山している間、徳升くんに登山口でのライトトラップの番をお願いしました。

 目的のポイントに行く間は、枯れ木を丹念に眺めてゴミムシダマシなどを探していきます。

 しばらくすると私は枯れ木に飽きてきたので、サキシマキノボリトカゲやらバッタやらナナフシやらを見ながら葉の上を眺めていました。すると、きれいなシリアゲムシがいました。

 後日調べてみたところ、どうやらイシガキシリアゲのようでした。しっかりと同定したわけではありませんが、翅の模様が特徴的だと思います。

 また私たちのヘッドライトにつられて来たのか、大型のガと出くわし、K先輩が大喜びで採集していました。ルリオビクチバの仲間だそうです。

 このようにいろいろあって目的地に23時ころに着きました。ゴミムシ捜索開始です。

 ……開始5分。岩の上でのんびり食パンをほおばっていた私が見つけてしまいました。

 「いた――――!!!

 明らかに見たことのないゴミムシです。全くの素人の私にもわかりました。

 この発見のため、K先輩の心の導火線に火が付きました。先輩曰く「捕るまで帰らないからね」とのことでした。が、30分後くらいにHくんが1頭、さらにその30分後にK先輩も1頭採集し、ポイントで夜明かしという事態は免れました。

 帰りには巨大なゲジ類や多彩なゴキブリを見られました。また、途中で道を間違えるというアクシデントもありましたが、2時ころには無事下山できました。駐車場に戻るとライトトラップの電池はとっくに切れており、徳升くんは眠っていました。聞くと、ライトトラップは微妙だったそうです。

 この後は速攻で眠りました。

 この日は、同じ山に2回登るのはとても疲れるけれど山の違う顔が見られて面白いということを初めて知りました。

 採集があまりに忙しく、写真を撮っていませんでした......。

 

(文責 西谷)

さあいきましょう3日目(3/16)。

この日は移動日。
午前中に西表に着く予定となっておりましたが、まあその、いろいろありまして…

バタバタでしたが無事フェリーに乗船。

天気は雲多め、時折晴れ間が覗く、とまあ可もなく不可もなくといったところでしょうか。

予定通り午前中に西表に到着。
レンタカーを借り、いざキャンプ場へ。

道中で思うのは、石垣との違いです。なにかがちがう。
まず道路がほぼ海沿いにしかない。さらに40キロ制限つき。そしてマングローブや森林の規模がでかい。
同じ八重山でもこんなに違うんだなあ。

昼頃キャンプ場に着き、軽く昼を食べいざ採集。
ゴミムシを採りたい先輩についていき湿地へ。
といっても僕は周辺で蝶を採っていただけなのですが…ここがまたいい環境なんですよ。

とりあえず個人的に一番の成果を。

この子は何アゲハでしょうか?
そう、クロアゲハです。

なにかがちがう。日本本土や石垣で見てきたそれと。

そう、尾状突起がないのです。まるでナガサキアゲハ。

↑こちらは九州某所で採集したクロアゲハ♀
通常クロアゲハはこの写真のように、尾状突起というしっぽのようなものが後翅にあります。

このように尾状突起が消失する変異は国内では八重山、特に与那国など西の方でよく見られるようです。いやあ、いいもの見ました。さすが西表ですね。

このクロアゲハもたくさんの成果のほんのひとつで、移動日にもかかわらずこの日は素晴らしい成果に恵まれました。
この湿地では他大学の虫屋さんともお会いできて、情報共有やお話もできました。班を代表して御礼申し上げます。

やがて日も暮れて、スーパーのお惣菜を食べたのちにまた別な湿地に向かいました。

画質はよくないですが、トンボの羽化を見ることができました。昆虫の羽化シーンっていいですよね。セミもまた然り。


西表初日は、個人的には素晴らしい一日になりました。ここで一旦、徳升の記事は終わりです。
ということで今後の西表の鱗翅・セミの成果を簡単にまとめます。

17日はアオタテハモドキやタテハモドキなど、
18日はタイワンキマダラやオオゴマダラなど、
19日はリュウキュウムラサキやベニモンアゲハ、そしてコノハチョウの観察ができました。この日は副部長がイワサキクサゼミを採ってきてびっくりした日でもありますね。

サイズはこれくらい、日本最小のセミです。
ちなみにこれを書いてる今もご存命です。セミは7日の命なんかじゃないんですね。

蛾の記録がない?すみません、蛾はまだ駆け出しなもので同定が…いいものが採れていたら後日報告ということでどうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m

次回からは他の班員にバトンタッチです。
違う視点での採集記、どうぞお楽しみに!
前回に引き続き徳升です。
今回参加の班員たちはジャンルの多様な虫屋たちなので、いろいろな面からみた八重山が今後このブログに綴られていくことと思います。乞うご期待!

2日目(3/15)

朝、目が覚めるとテント内に靴が入れてありました。
それも丁寧に袋に入れて。
昨日の記憶をたどったところ、朦朧とした意識の中雨音がしていたことを思い出しました。
(この場を借りて、靴を入れてくれたどなたかにお礼を申し上げます。)

僕が起きたときは雨は止んでましたが、全員目覚めた頃にはまぁまぁひどい雨が降ってました。
島とはいえ、石垣島は広い。このキャンプ場は東の端で、今日行く屋良部は西の端だ。きっとこの雨も…

止んでないんですよねえ。むしろこれ強くなってないか。
蝶を採りたい身としては半ば絶望しておりました。このまま何の成果も得られず西表に行くのか…

とここで雨の中弱々しく飛ぶヤエヤマカラスアゲハ♀を発見。網なしで採れました。よかったこれでボウズは回避だ。

こちらの個体は西表で採った♂ですが、参考までに。ヤエカラは緑みが強く、普通種ながら非常に美しいですね。メスはもっと紫がでて、艶やかな感じになります。

さらに進んだ待避所で車を停め、同行者がカメムシや甲虫などを探す中、僕はひとり林道を進んでいきました。
雨は幾分弱まり、蝶が姿を見せはじめます。

ヤエヤマイチモンジ、ナミエシロチョウ、リュウキュウヒメジャノメ、アサギマダラ…
今思えば普通種ばかりですが、ボウズを覚悟していた身としてはどれも嬉しい成果です。なにより蝶がそこにいてくれることが、とても嬉しい。

さらに進むとおもしろいものがいました。集合体ダメだという方はご注意ください。

カイガラムシというやつでしょうか。群れるとすごいですね。
さらに驚いたのはこれです。

でたなリュウキュウイノシシ!!

小型とはいえ、正直怖かったです。でも写真を撮るのを優先してしまいました。僕も現代の若者なんだな、と変な感慨を抱いてしまいました。

向こうが逃げてくれて助かりました。伊都キャンパスでもまだイノシシに遭ったことのない僕ですが、相手を変に刺激しなかったのがよかったようです。

やがて雨も止み、つきあたりのT字路へ到着。追っかけてたジャコウアゲハをネットインしたところで同行者たちと合流。右か?左か?

海に行きたかった我々は右へ行きました。しかし道は狭くなるばかり。対向車が来たらどうしよう。
無事対向車も来ず、いい感じに暗く湿った環境を発見。甲虫屋の皆さんは特に楽しそうでした。ツマグロスズメバチなんかもいましたね。
さあもうちょっと進もうか。おや道がない。おかしいな、カーナビにはあったのに…

どうやらナビの情報が古かったようです。どうりで対向車がないわけだ。じゃあこの狭い道を引き返さないといけないのか…

草むらに車体を突っ込みかけたり、泥で車輪が空回りしたり、いろいろありましたが無事転回。正しいルートに復帰しました。

正規ルートにはセンダングサが咲き乱れ、マダラやアゲハを中心に無数の蝶が乱舞していました。おや?なんだあの蝶は。
ツマムラサキマダラに似てるが、妙に羽が破れてる。
羽の丈夫なマダラチョウはああはならないはず…

採った!

↑展翅中

え?これヤエヤマムラサキ??

完全に予想外です。今の時期もいるんですね。
調べたところヤエヤマムラサキは年により発生数に差があり、ほぼいない年もあるとのこと。

すなわちこの子は、他の国からの迷子、いわゆる迷蝶の可能性があるようです。
(まだまだ勉強中のため、間違っていたらすみません(ーー;))

ついでにオオゴマダラやシロオビアゲハも採り、「遠征の目標8割は達成しました」などと調子に乗っておりました。長い遠征中、これからも目標は増え続けるのですがね…人間の欲というものは深いですね。

その後は予定通り浜辺に向かい、各自で採集です。
浜辺は数ヶ所巡りましたね。シジミチョウの楽園でした。ツチバチやカメムシも見かけました。

日も暮れてきたので街へ。

西表はコンビニがない田舎、ということを数人から聞いていたので、少し奮発して温玉ライスもつけちゃいました。担々麺の辛味とまろやかな温玉が絶妙に中和しあい、美味しかったです。

その後は野底でルッキング、いろいろいましたがお気に入りのカメムシをひとつ。

かわいいですね。アカホシカメムシというそうです。

その後はもうひとつの班のライトトラップに合流。風が強かったので、目立つ子はでかいカゲロウくらいでしたね。

さて、一旦ここで石垣島を離れます。
次なる舞台は西表、どんな虫がいるのかな。

長文となってしまいましたが、お付き合いありがとうございます。