前回、スーツの良し悪しは採寸よりも縫製工場が重要という話をしました。
であれば、店員さんに「どこの縫製工場で仕立てるのですか?」と聞けばいいじゃん!と思われるかもしれませんが、以下の理由で絶対に聞くべきではありません!
 
理由1
まず教えてくれないから。
→教えてもらえたとしても、せいぜい、国内か外国かでしょう。
企業秘密の部分もあるでしょうから正直に教えてもらえることはまずないでしょう。
 
理由2
仮に詳細に工場を教えてもらえたとしても、テーラーさんと工場間での契約内容でテーラーごとに差があるから
→同じ工場=同じ仕立てとは限りませんので、パターンオーダーやイージーオーダーであればゲージ品を着た方が早いです。
 
理由3
地雷系のお客さんと警戒される虞があるから。
→店員さんも人の子です。店員さんにイヤな客とか面倒な客と警戒されて良いことは何もありません。
 
理由4
工場を聞かずとも、ゲージ品や標準仕様のクオリティで工場の質をだいたい推測できるから。
→よい工場と契約しているのに粗悪なゲージ品を用意したり、標準仕様をチープにするテーラーさんはまずいません。
 
パターンオーダーやイージーオーダーであれば、ゲージ品を着れば一発で分かります。
ゲージ品を試着した際に「買いたい!」と唸ってしまうほどのものであれば、よい工場で仕立ててもらえるでしょう。ただし、「良い」という価値判断は良いものを着たことがあって初めてできるものですから、例えばですが、ゼルビーノのゲージ品やリングヂャケット/TOMORROWLANDあたりの吊しを着て、自分の中に基準を作っておきましょう。
 
フルオーダーについては、そもそも変な工場や人に仕立てられることはまずないと思いますが、標準仕様やテーラーさんの想い(お店のコンセプト等)から推し量れるかと思います。
ただ、フルオーダーの注意点としては、どちらかと言うとイージーオーダーでは?というものがフルオーダーと謳われていることがありますので15万円以下の場合は注意した方がよいかもしれません。フェアとかでもない限り、フルオーダーであれば20万円くらいはするかと思います。
 
とにかく、冷やかしになってもいいので、たくさんのテーラーさんや百貨店の良店にお邪魔し、スーツを試着するのが一番です。
気が引けるという方は、本命はスーツやジャケットだとしても、シャツを買うついでにスーツやジャケットを試着することをおすすめします。
シャツは単価が安く、工場被りがスーツよりも多い印象な上、スーツよりもポイントが少なく採寸と生地で着心地が決まる印象なので、テーラーさんの実力を知る一材料になるかと思いますし、仮に残念だったとしてもダメージが少ないかと思います(つまり、仮に残念だったとしても、金額的にも相対的に小さいですし、シャツであればスーツと違い着れたもんじゃないというレベルにはまずならないかと思います)。
 
これまでに試着または購入したシャツやスーツはこちらです(一部です)。