ラツーダ、2020年6月発売見込み | kyupinの日記 気が向けば更新

ラツーダ、2020年6月発売見込み

いよいよ、ラツーダが2020年6月に発売される見込みである。ラツーダは過去ログにもアップしているルラシドンの商品名で、錐体外路症状が少ない非定型精神病薬の1つである。大日本住友製薬の創薬で、なんと北米だけで1900億円を売り上げている。これは大日本住友製薬の連結売上高の4割に及ぶ。

 

ラツーダは、ドパミンD2受容体、セロトニン5-HT2A受容体、セロトニン5-HT7受容体を遮断し、セロトニン5-HT1A受容体には部分作動性を持つ。一方、ヒスタミン受容体とムスカリン受容体に対しては作用しない。この作用機序だと、統合失調症だけなくうつ状態にも良さそうである。

 

僕はこの薬の治験などに関わっておらずその時の治験成績などは知らないが、ラツーダの大きなメリットは双極性障害のうつ状態に有効なことだと思う。この度、日本で発売の際にも、統合失調症に加え双極性障害のうつ状態も適応があり、発売されてすぐに双極性障害のうつ状態の人にも投与できる。未だかつて非定型抗精神病薬で発売時から統合失調症と双極性障害に適応が取れているものはなかった。

 

マニュアル的には双極性障害のうつには抗うつ剤はかなり処方し辛い。一般的には、双極性障害のうつ状態には気分安定化薬か非定型抗精神病薬の中で抗うつ作用も持つものが良いといったところである。なぜ抗うつ剤ではなく非定型精神病薬なのかというと、ブレーキをかける要素が非定型抗精神病薬には内包されているからだと思う。

 

エビデンス的には、双極性障害のうつ状態は次の3剤が推奨される。

 

1、リーマス

2、セロクエル(ビプレッソ)

3、ラツーダ

 

この3剤では最も良いのはセロクエル(クエチアピン、ビプレッソ)である。特にセロクエルは双極2型に良いが、1型、2型の両方に良い。これは臨床的実感にも一致している。

 

この中に、ラミクタール(ラモトリギン)が入っていないじゃない?と思うかもしれないが、ラミクタールも良いが、3つ挙げるとここに入らない。ラミクタールは、重いうつでハミルトンで25以上には使う価値があると言われる。(HAM-D)。

 

今日の記事のポイントは、双極性障害のうつに悩んでいる人たちは、1度はラツーダを試みた方が良いといったところである。

 

参考

ルラシドン

クエチアピンの徐放剤ビプレッソ徐放錠が2017年秋、発売見込

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