人手不足と精神科病院
今日は社会的な話。
ここ数年で人手不足が深刻になりつつある。それも特別な資格や技術を要しない業務に人が足りないのである。さまざまな仕事に対し、日本は働ける人数の絶対値が足りなくなっている。
例えば、コンビニやファーストフードのアルバイトもそうである。近年でコンビニを夜間閉店するかどうかの議論も起こっている。そもそもここ数年でよく起こる「バイトテロ」も雇い主が人手不足のために人を選べなくなっているのも大きな要因である。
精神科病院では看護助手を募集しても容易に集まらなくなった。看護師も年中不足しているが、看護助手もそうなのである。
全般に看護師、看護助手が不足してくると、満床にできなくなる。そうでなくても、重い患者さんは入院させられない。特に内科など身体科で困っているような認知症患者さんの紹介入院は受けられない。業務が大変になると、すぐに辞めてしまうからである。
現在、長年通院中ならともかく、うちの病院に全く縁がない患者さんの入院は一切受け付けていない。かといって満床と言うわけではないのである。
医師・看護師・看護助手(これ以外に薬剤師、栄養士なども含まれる)が入院患者数などに対し不足する病院は標欠医療機関と呼ばれる。これは医療法に反するので、雇い入れることができないなら、入院患者数を平均して減らすほかない。都市部でさえ、こんな風なのである。
精神科病院は過疎地にも建っていることが多いため、今後、一層深刻な事態になるだろう。その病院の周囲にあまり人口がないのに大きな雇用を充足できるわけがない。
過去ログでは、精神科病院は昭和40年~50年代から長い期間入院している人たちが次第に亡くなっていくと、徐々に入院患者さんが減っていくと記載している。実際、日本国内の精神科の入院患者総数は次第に減っている。
ところが、今のように標欠状態が生じてベッド数が減っていくとは思わなかった。時代は変わったのである。
元々、精神科の診療報酬はとても手がかかる認知症や脳血管障害で身体麻痺の人が多く入院している状況を想定していない。ところが、それを考慮して人員を増やせるような診療報酬になったとしてもそれに見合う人員は雇える状況でもないのである。
これは将棋で例えると、詰んでいるとまでは言わないが、毎回厳しい詰めろをかけられている状況だと思う。
参考