「なぜ消費税を上げるの?」
シンプルな質問です。
さて
いま現在、自分はどのように理解をし
どのような答えを持っているでしょうか。
「日本の財政が悪化しているから、消費税増税は不可避なのだと思う。」
こんな風にざっくりとイメージしている人は少なくないでしょう。大多数がそうかもしれません。
それもそのはずです。
いま国の方向性をリードしようとしてお展開されいるキャンペーンの内容は
「日本は大きな借金を抱えていて
このまま次の世代に借金を持ち越すのはいかにも無責任だし
高齢化で社会保障にかかる費用もどんどん増えていくから
ここは我慢して消費税増税を受け入れてもらいたい。」
というものですから。
わかったようなわからないような雰囲気の中で
なんとなく
「そうだよなぁ~、そうなのかもしれないよなぁ~」という
気分になっていたりもします。
さてさて
これには
大きな前提というものが存在しなければ
その主張も
その主張から派生する質問すらも
さらに
その答えも
実は成り立たないのです。
その大前提とは何でしょう。
「消費税増税によって日本国の収入は増える。」
ということです。
ですからおのずと最初の質問を変えなくてはなりません。
「消費税増税で、本当に、日本国の収入は増えるのでしょうか?」
ってことにです。
本当に増えるんでしょうか?
前回の消費税増税(3%→5%)で経験したことを思い出し
検証するための重要なデータの一つとして
比較できる出来事として
ものさしに使わなければなりません。
もちろん外的要因、内的要因、世界や日本を取り囲む経済環境の変化というものも加味しなければなりませんから
一概にそっくりそのまま「同じこと」とするのは乱暴な気もしますが
実際のところどうだったのかというと
消費税増税は景気を
冷やす要因
になったことは明白でしょう。
したがって
景気を回復させる施策ではなかったと言えるわけです。
経験してきたことから導き出されるべき
ひとつの結論は
「日本国の収入は増えなかった。」という事実です。
そうなると
現状では
なんらかの方法で「収入が増える。」という結果にたどり着けないのか
というと
ある条件が揃えば可能性は大きいです。
その条件とは
1.景気回復とともに
2.デフレからインフレに転じる
3.その結果、日本のGDPが成長局面に転じる
3については
1および2が達成された結果ですから
一つ目の
「景気回復策」を大いに論じ、具体化しなくては次の段階に進めるはずがありません。
現状はというと
まったく見えも聞こえもしません。
具体的な案はどこにあるのでしょうか。
つい最近まで、達成数字や時期に異様なまでのこだわりをもって
身内で足の引っ張り合いみたいなことが繰り広げられてきましたが
論点はそこではないことは
ほとんどの有権者が気づいています。
国務大臣の問責決議案を提出して
自らの職責を放棄する(議員さんが議会で審議拒否をするということ)行動をとっている
野党のみなさんからも
何ら具体的な景気回復策は示されていません。
国会を空転させることを
「寝る」というらしいですが
そのような方々のお昼寝に
たいせつな血税が使われていることに不満を持っている有権者は
次の選挙では
そのような人たちを選ぶはずがないでしょう。
それなのに
ことあるごとに
「解散総選挙だ!信を問え!」
ひたすら空しく響くばかりです。
話を戻しましょう。
もう一つの
「デフレからインフレに転じる。」
これは、景気が回復しなくても可能性があると言われています。
インフレターゲットという手法です。
日本は、国が抱える借金に関する数値や指標が悪いにもかかわらず
金融破たんしする可能性が高くないというような扱われ方をしています。
その大きな理由の一つが
「国債」という
莫大なお金を生み出す
良くない表現で言うとドラッグみたいな借金方法なのだと言われています。
その国債を
日本国民がこぞって買っているからというものです。
ここでいうところの「日本国民」は一般市民を含みますが
メインとなるのは日本のあらゆる金融機関(銀行、保険会社、年金基金などなど)と一部の富裕層だとイメージすると良いと思います。
その占有率は95%を上回っています。
世界各国でも同様に国債が発行され資金を生み出しているのですが
その買い手がほぼ自国内で寡占、独占されていることは珍しく、ある意味異様です。
しかしこの異様さが
安心感を生み出している摩訶不思議なリアルだったりします。
まやかし、まぼろしのような気もしますが
これが
この国債の価値と
密接に関係してくるのが
インフレターゲット(調整インフレ)です。
インフレターゲットとは
物価上昇の目標を定めて、それを達成すべく政府や中央銀行が行動を共にする政策です。
複雑な仕組みなど必要ないです。
基本的には日銀が大量に通貨を発行して
国内の資産(特に日本国債)を大量に購入する
だけという単純かつ明快なアクションです。
日銀が通貨供給量(マネタリーベース)を良い意味でドラマチックに増やせば
円の価値が下落するので、間違いなく物価上昇=インフレが起こります。
円の価値が下落する、すなわち円安が起こりますから
日本経済の命綱である輸出産業の競争力が復活します。(もちろん貿易収支の黒字化は国際的に様々な軋轢を生みますから簡単ではないですが。)
また、円安で海外との人件費の差が縮小するので、産業の空洞化を回避することが可能になったりもします。
過去の経済成長期の再現、とまではいきませんが
輸出企業の成長は、国内での雇用が増加することになります。
さらに円安になれば、海外からの外国人観光客の増加にもつながってくるはずです。
このインフレターゲットという手法は、国債を発行している世界各国ですでに実施されているもので
特別な秘策とかいう類のものではありません。
さてさて
インフレターゲットの話をすると
必ず
反対する人が出てきます。もちろん悪いことではないです。
それぞれの主義主張、考えがあってイイんです。
その反対をする立場の人たちの意見は大きく二つです。
ひとつは「金融緩和策を続けてもインフレは起こらない。」というもの
もう一つは 「ハイパーインフレを招く恐れがある。」というものです。
ひとつめの反論は、ゼロ金利政策という金融緩和措置を長いこと続けてきたにもかかわらず
インフレにはならなかったという意見のようですが
突きつめれば、インフレターゲットをやったことが無いからわからないというのが本音でしょう。
もうひとつの「ハイパーインフレを招く。」というのは
たぶんイギリスで物価上昇を2%と定めてはじめたインフレターゲットが4%を超えてしまったことや
98年のアジア通貨危機(韓国やタイ)および記憶に新しい2010年のギリシャ危機のときに
ヘッジファンドの投機によって国債価格や為替レートが大暴落となったことなどを危惧しているのでしょう。
この意見は、日本を侮っています。
日本は世界第二~三位の経済大国です。
また、世界第二位の約1兆ドルの外貨準備を持っています。
さらに国債の市場規模に至っては世界最大です。
アジア通貨危機時の国債の市場規模はタイで100億ドル前後ですが
日本の国債市場は現在約9兆ドルもあります。
よほどの独裁者でも出現しない限り
インフレが強まれば金融引き締め策が講じられますから
やはりハイパーインフレになる可能性は極めて低いと言えます。
さてさて
ではなぜ、このインフレターゲットがチョイスされない、機運が高まらないかというと
不都合な真実が大きな影を落としているからです。
インフレになると国債の価値も下落します。これは当然です。
そうすると見た目には国の借金も減ることになります。
そうなんです、国債の価値が下がるのです。
これによって損をするのは誰なのかってことです。
「日本のあらゆる金融機関(銀行、保険会社、年金基金などなど)と一部の富裕層」です。
質問をします。
「消費税増税で、本当に、日本国の収入は増えるのでしょうか?」
自分がこれまでに見聞きしてきた
「常識らしいもの」
について
政治家さんの説明不足だけにしないで
もう一歩踏み込んで
違う観点から眺めてみて
検証する必要があるでしょう。
ただただ疑い深くなってもしょうがないです。
深くするのは
本質に向かって掘り下げることです。
This is HASHIMOTO☆QUALITY