生存報告 6 | 九大柔道部のぽかぽかぶろぐ

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九州大学柔道部の部員の近況報告などをほっこり運営中。

ひとつとせー おおぐいとくいそうなかおをしてー ちゃんぽんのこすきゅうだいせい

そいつぁひかるだね そいつぁひかるだねー

 

ちいさいころから、たべることが、だいすきで、じゅうさんさいのなつやすみには、じゅっきろも、おもくなりました。たべることは、ぼくのじまんでした。

 

だけど、きょう、かなしいことが、ありました。

 

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2024/7/13、雲が夏の照り付ける日差しを隠していたからか、一週間前に試合をした名古屋よりもよほど過ごしやすい日だった。七大戦を経ての練習だったからか、人数はとても少ない。練習の内容も追い込み期間よりもよほど楽だった。練習終わりに師範がAZ食堂に行こうと部員に声をかけた。

 

「当然、ちゃんぽんだよな。」

私は減量すると誓った松永に至極当然といった風に言った。

「俺はラーメンを食べるからな。」

同期の松永はこれだけは譲れないと言い切った。だが私は、彼が場の雰囲気に流されやすいことを知っていたので、ちゃんぽんを食べることになると思っていた。

 

AZ食堂のちゃんぽんは一度に致死量に匹敵する塩分をとることのできる、群を抜いてうまい無類のちゃんぽんである。柔道部で大食いする機会は多いが、私は今日この日までこのちゃんぽんを得意としていた。

 

AZ食堂につくと普段よりも長い行列が見えた。駐車場も空いていない様子だったので、仕方なく激安スーパーDHの駐車場に車を止めた。練習で体が乾いていたので私はスーパーDHで清涼飲料SRを購入し、体に流し込んだ。この時、胃の中にはすでにプロテインと練習後にがぶ飲みした水およそ700ml程度が入っていることになるが、ちゃんぽんの大食いを自負していた私は多少の水分は問題ないと思っていた。

 

長い列の終わりが見えてきて、ちゃんぽんを食べる人の挙手が求められた。私、松永、清水の三年生と二年生の有川、一年生の剣見崎、廣田の6人がこの日の挑戦者であった。松永が挙手したのは予想通りだったが、一年生の剣見崎がこれを食べきれるのか、いささか不安であった。

 

AZ食堂に入り、着々と席にちゃんぽんが運ばれていく。まずは剣見崎の目前にちゃんぽんが運ばれた。遠目に見てもばかげている量のそのちゃんぽんは、私に胃の容量がすくなっていることを自覚させた。視界の隅に写っていたいた松永の顔は、思い出すことができない。

 

一年生たちは私の心配をよそに順調に食べ進んでいた。隣の有川にもちゃんぽんが運ばれ、いよいよ自分に回ってきた。目の前に横森がいるのかと錯覚した。なみなみと盛られた野菜の下には、麺がその存在をにおわせている。この店は物価高のこの時期にちゃんぽんの増量をしたのだろうか?九大柔道部員もぜひ見習ってほしいものである。

 

食べ進めるが一向に減らない。左を見れば有川が、右を見れば清水が、苦しむ私をよそに着実にちゃんぽんを攻略していく。「厳しいって。」、どこかのメンズコーチの声が私の頭と腹で木霊している。救いを求めて席を立ち、ほかの三人の様子を見た。一年生の様子を見に行くともう二人とも完食していた。末恐ろしい一年生である。剣見崎の胃袋はどうなっているのか見てみたい気持ちが一瞬よぎったが、メンズコーチが吹き飛ばしてしまった。毎度のことだが、松永はまだ食べ終わっていなかった。こいつだけには負けられない。

 

もうラーメン組は退席してしまった。ちゃんぽんにかけられる時間は限られている。私はどんぶりに残った野菜と、茶碗に取り分けた麺にもう抑え込みかけられていた。なんとかどんぶりは完食しそうなのだが、どうしてもめんをたべることができなそうだ。左を見る。恥を忍んで有川に助けを乞うた。

 

「俺は有川が来年、取役になることを期待している。このめんは、有川にぜひ食べてほしい。」

「先輩、もう食べられないんですか? そんな先輩、見たくないです。」

 

有川は私を見捨てた。こんなに苦しい顔をした先輩によくもそんな言葉を言えたものだ。

 

私はスープまで完飲した廣田にも救いの手を求めた。

 

「先輩、そんなんでいいんですか。」

 

人間不信に陥りながら、なんとかどんぶりを完食した。店員が、そんなに苦しいならたべなくてもいいですよと人間の言葉をかけてくれた。しかし、せっかく作ってい頂いたものを残すわけにはいかない。廣田の席に置き去りにしていためんを強奪し、一口、長い時間をかけて咀嚼した。

 

うっっっ、、、!!!!???

 

飲み込むと、すでに胃が限界を迎えていることが分かった。必死の表情で有川と清水に訴えかけ、一口ずつ食べてもらった。有川、お前は取役になれるぞ。

 

最後の一口、私を突き動かしたのは、松永の、

 

「鉄砲で食えよ」

 

だった。鉄砲をなめるな。なお、さんざん言ってきたが松永は完食している。おめでとう。

 

私のAZ食堂が終わった。そう思った。年のせいか、夏の暑さにばてたせいか、水を飲みすぎたせいか、どれが原因かわからない。ただ、もう二度とちゃんぽんを得意とは言わないと、心に誓った。

 

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いじょうが、ぼくの、きょうのかなしみです。

 

げんりょうしようかなああ(´;ω;`)