★二つでごめんさい。


合格にあたって運が良かったことは、法律を教えてくれる先生(3名)


に出会えたことです。


まず最初の先生は、「あだ名は兄貴」(兄貴以外はあだ名はありません。)


僕らの間では年上のため兄貴と呼ばれていました。


でも、その兄貴は、すべて法律学の基礎を教えてくれました。


あまりの教える上手さに、「途中から予備校の基礎講座はいらない」


と思ったので、実際、途中から予備校の基礎講座は受けませんでした。


おそらく最初の受験の際に、この兄貴に出会えていたら、旧司法試験もすんなり


受かっていただろうと思っています。


この先生に会えなかったらおそらく予備試験合格も出来ていないと思います。


もう一人の先生は、某Tロー出身の先生でした。


彼女には、学説や先生がどんなことを言っていたかなど、


最先端の議論を教えてもらいました。奥深さが備わったと思います。


もう一人の先生は、僕の論文の添削を徹底的にしてくれました。


先生の添削によってすっきり書けるようになりました。


人との出会いにも運があったのでないかと思いました。




私の再受験(予備試験合格に向けての受験)にあって


なぜ合格したかと言えば、素晴らしいゼミ仲間と法律を教えてくれる先生


との出会いであったと思います。


ゼミ仲間はお互いに切磋琢磨が出来る点とペースメーカーになってくれる


点の2点が有益だったと思います。


(仕事関係の)知り合いの元裁判官の先生に進められた勉強方法は、このゼミを組みことでした。


その際に言われたのが「耳勉」という言葉でした。


読んで字の通り、耳からの勉強というのがこの意味だったと思います。


また、女性もまぜた方がいいかというアドバイスも頂いたのと、


女性の方が多い又は同数だと男性が萎縮することもあるので


男女割合も考えた方がいいよとのアドバイスも貰いました。


結局、2箇所でゼミを組みことになったのですが、


片方は、女性もいるゼミでした。


司法試験受験までこのゼミは続けました。



私もいくつかの予備試験合格のブログを読んでみましたが、


総じて、「それほどレベルは高くない」というのが共通していました。


大げさに言うのではなく、私も結構失敗したけど、このぐらいで受かるんだ


という感覚があります。


それをこのブログを通じてお伝えしたいと思っています。


でわでわ。

今日は予備校選び(基礎講座)について書きます。


結論から言いますと、どこの予備校のどこの講座でも良いと思います。


基礎講座を受けたからといって、論文が書けるようになるわけでもありませんし、


択一が解けるようにもなるわけでもありません。


結局、問題を解く必要がありますので、


概念に触れる程度で良いかと思います。


私も最初、基礎講座を聞いたときは、まったくわかりませんでした・・・。


でも、なるべく早く基礎講座を聞くことをお勧めします。


その他は、他の方のブログを読んでください。結構詳しく


書いてあるのもありますので・・・・。


基礎講座自体も高額になるので、結構躊躇するとは思いますが・・・・。


ちなみに、私の場合は、途中から受けるのをやめました。


理由は、また次回・・・・。


でわでわ。


注意

以下の事項を一読頂けると幸いです。

・ご指摘・ご質問は、特に不要だと考えております。
・他への転載等は許可しておりません。
・他の掲示板(2ch等)で議論されることはまったく望んでいませんので、
私としてはご遠慮させて頂きます。
・いつ消すかわかりませんので、ご了承下さい


第1 設問1

1 捜査①について

(1)まず,捜査①は,ICレコーダーを使用して,乙の会話を録音しているため,捜査機関が五感の作用により行うものであって,検証令状(刑事訴訟法(以下,省略する)218条1項)が必要となる。そこで,本件捜査①は無令状で行われている点で,強制処分法定主義(197条1項但書)に反しないか。

  この点,強制処分とは,(a)人の意思に反し,(b)重要な権利利益を侵害するものをいう。

  仮に,ICレコーダーを使用して,乙の会話を録音していることを乙が知れば,乙は拒絶するため,乙の意思に反している(a)。次に,乙は,居室内と異なり,隣人から聞こえるベランダに出て会話している点と会話をすることで相手方に会話の内容を処分している点でプライバシーを放棄している。とすれば,重要な権利利益を侵害していない(b)。よって,強制処分にあたらない。

(2)もっとも,強制処分にあたらなくとも,捜査比例の原則により,任意処分として許されるためには,必要性,緊急性,相当性が必要となる。

  まず,逮捕された甲の携帯電話の通話記録を調べた結果,甲と乙とが頻繁に通話していること,逮捕後も乙から頻繁に着信があったことが判明した。また,乙は,仕事はしていないにもかかわらず,Fマンション5階501号室に一人で居住している。そして,最近外出を控え周囲を警戒して生活をしていることが判明している。とすれば,乙が甲の共犯者として犯罪に関与している嫌疑が高まっている。その上で,オレオレ詐欺は,密行性・計画性をもって行われている。よって,捜査の必要性もある。

  そして,オレオレ詐欺は,アジトを簡単に変更,証拠廃棄等が容易であり,会話を録音する緊急性もある。さらに,上記の通り,乙がベランダに出たところを隣室のベランダから録音しており,時間も3分間という短い時間である。さらに,会話を他人に処分しているためプライバシーを放棄している。その上で,会話は,相手方の声は入っておらず,乙自身の会話のみである。

  よって,手段としては,必要最小限であり,相当性を満たす。

  以上により,捜査①は適法である。

2 捜査②について

(1)捜査②においても,乙の会話等を音声に録音しており,強制処分にあたり,197条但書に反するか。

   この点,前述と同様の規範を使う。

   捜査②についても,乙がその録音している事実を知れば拒絶するため,乙の意思には反している(a)。また,捜査①と異なり,居室内という最もプライバシーが重視される空間における生活音を含む乙の会話を録音している。そして,本件機器を壁に付け音を増幅させ,鮮明に聞き取ることができるため(b),乙の生活すべてが手に取るようにわかってしまう。その上で,約10時間という乙が起床している時間のほぼ一日中,プライバシーを侵害している。よって,乙のプライバシーを著しく侵害しており,重要な権利利益を侵害している(b)。

(2)よって,捜査②は,197条1項但書の強制処分にあたり違法である。

第2 設問2

1 証拠収集上の問題点について

(1)まず,本件文書及び本件メモは,甲の自白(以下「第1自白」とする)(319条1項)によって,乙が通常逮捕(199条1項・3項)され,乙が自白した調書(以下「第2自白」)(319条1項)を疎明資料(規則156条1項)として,捜索差押許可状(218条1項)によって捜索差押えされている。仮に,甲の自白から捜索差押えの手続に違法性があった場合,違法収集証拠排除されるため,以下検討する。

(2)まず,甲の自白は,約束自白と言え,任意性が欠け(319条1項)違法となるか。

   この点,319条1項の趣旨は,虚偽のおそれがある供述は任意性が欠ける点と,黙秘権を中心とした(憲法38条1項)人権保障を図ることにある。とすれば,主体・態様等を加味して,供述の自由を侵害したか否かで任意性を判断する。

   まず,Gは,検察官Rの指揮命令下にあり,検察官は,起訴・不起訴を決める(248条)ことの権限を有するものである。また,取り調べの辛さから起訴猶予処分,すなわち,身柄の解放という捜査機関に有利な自白をすることが考えられる。

   とすれば,甲の第1自白は,甲の供述の自由が侵害されており,任意性を欠く違法な自白である。

(3)次に,乙は,通常逮捕後,自白しており,乙の自白も任意性を欠くか問題となる(319条1項)。

   この点,乙の自白は,甲の自白と自白の主体が異なるものの,乙の犯罪立証のために必要不可欠となる自白を得る目的で行われており,いわゆる反復自白類似の関係にある。とすれば,第1自白と第2自白が同一の趣旨であって,因果性が遮断されなければ,第2自白も任意性を欠き違法となる。

   まず,甲の自白は,この種の詐欺である上位者を処罰する趣旨で約束自白として行われており共犯者乙の有罪に向けて行われている。とすれば,第1自白ないし第2自白は同一の趣旨で行われている。次に,因果性につき,検討する。

   本件では,逮捕後に裁判官の司法審査を得ている。また,乙は,逮捕後の取調べにおいて,甲の供述内容を知らされていない。しかし,乙は,共犯者甲が逮捕されたことを知っており,自らの罪を免れたい趣旨で,主犯格は乙であるとの供述したことを察する立場にある。さらに,乙の通常逮捕は,甲の自白を疎明資料(規則143条)としており,甲の自白と通常逮捕は,乙有罪に向けた同一の目的に向けられており,違法な逮捕に基づくものである(違法性の承継)。

   よって,甲の第1自白と乙の第2自白の因果性は遮断されず,乙の自白も任意性を欠くため違法である(319条1項)。

(4)では,乙の第2自白を疎明資料として,本件文書及び本件メモを捜索差押えしており,違法収集証拠排除されないか。本件では,自白調書という証拠から証拠を差押さえており,毒樹の果実が問題となる。

   この点,違法収集証拠排除の原則は,明文はないものの,司法の廉潔性・将来における違法捜査抑止の見地,適正手続(31条)から,令状主義の精神を没却する①重大な違法と,違法捜査抑止の見地より②排除相当性によって,違法収集証拠が排除され,証拠能力が否定される。その上で,毒樹の果実も違法収集証拠排除原則の一内容であるため,③重大な違法性,④因果性が遮断されないか否かで判断する。仮に,③④が満たされた場合,上記①②の要件が欠け証拠能力が否定される。

   そもそも本件差押えは,甲に対する約束自白による違法な自白に基づいている。また,その約束自白を指示したのは検察官である。とすれば,重大な違法は自白が最初の原因となっている。さらに,違法な逮捕手続,乙の違法な自白を疎明資料としており,重大な違法性(③)がある。

   その上で,④因果性について検討する。

   確かに,通常逮捕時,捜索差押許可状の発付時という二度の裁判官の司法審査を受けており,違法性は希釈化されているとも考えられる。

しかし,本件文書及び本件メモの捜索差押えは,その自白以外を疎明資料としていない(独立入手源の法理)

   また,上記の通り,そもそも本件文書が差押えされた経緯の発端は,検察官たるRが起訴猶予処分にしてやるという捜査機関が絶対用いてはならない捜査手法を行ったことによる。とすれば,重大な違法性の因果性は遮断していない。

   したがって,④が欠ける結果,上記①②が欠け,証拠能力が否定される。

2 320条1項について

仮に,本件文書及び本件メモが違法収集証拠排除されない場合,320条1項により証拠能力が否定されないか。

 この点,320条1項は「公判期間における供述に代えた書面」として証拠禁止される趣旨は,知覚・記憶・叙述の各過程に誤りが混入しやくすく反対尋問により内容の真実性をチェックする必要があるからである。その上で,内容の真実性は要証事実との関係で相対的に決する。

(1)本件文書の要証事実について

ア 本件文書の立証趣旨は,丙と乙との共謀の立証にある。そして,本件文書は乙の手書きの電話番号が記載されているものの文書はパソコンで作成されており,誰によって作成されたかわからない。また,受取役である甲が供述した内容と資料1の内容が客観的に一致している。もっとも,本件文書からは丙の指紋が検出されているものの,かかる事情から分かるのは,丙が本件文書を手にした事実のみである。とすれば,本件要証事実は,丙と乙の共謀の存在に対する間接事実であり,内容の真実性は問題にならない。

イ よって,本件文書は非伝聞証拠であり,証拠能力を満たす。

(2)本件メモの要証事実について

ア まず,乙との関係で要証事実を検討する。この点,本件メモは,乙の筆跡で書かれている。また,内容も丙からtelと書かれており,内容も乙からの指示である。

  とすれば,要証事実は,丙と乙との共謀の内容となる。とすれば,内容の真実性が問題となる。

  次に,伝聞例外(321条1項2号)につき検討する。まず,乙の署名・押印がある。その上で,乙は,丙について一切供述しておらず,321条1項2号の供述不能にあたる。なぜなら,同条2号は例示列挙であるためである。よって,321条1項2号の要件を満たす。

イ さらに,丙との関係で要証事実について検討する。

  まず,本件メモには,丙の指紋が付いている。また,丙の存在について認めるものの,丙について供述しておらず,丙も否認しているため,証拠がない状況である。とすれば,丙との関係では,丙が乙に指示を出した事実ないし,指示の内容が要証事実となる。とすれば,内容の真実性が問題となり伝聞証拠である。

  そして,丙の指示は,再伝聞(324条1項,322条1項)にあたる。本件では,丙が自ら犯罪に関与した事実であり,「不利益な事実」にあたる。再伝聞であり,丙の署名・押印は不要である。さらに,特段,任意性を否定する事情はない。

  よって,324条1項,322条1項を満たし,本件メモは証拠能力が肯定される。

                                        以上

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第1 甲の罪責

1 まず、A社は互いに他の部から独立した部屋で業務を行っている。とすれば、甲が同月15日、新薬開発部の部屋に窃盗(刑法(以下、省略する。)235条)目的で立入った行為は、A社たる管理権者A社の意思に反し、建造物侵入罪(130条前段)が成立する。

2 次に、新薬の書類を自己のカバンに入れた行為につき窃盗罪の共同正犯(60条)が成立するか。

 この点、新薬開発という情報としての価値の高い上が化体した10枚の書類は、「財物」にあたる。

 次に、窃取とは、他人の財物につき占有者の意思に反し、占有者の占有を侵害し、自己または第三者の占有に移すことをいう。そして、占有とは事実上の占有それ自体(242条)をいう。また、その判断は、地位・保管状況・態様・意思等から決する。

 確かに、新薬開発当時、甲は部長であったものの、現在、財務部経理課に所属しているにすぎない。また、すでに、新薬開発部の後任の部長に引き継ぎを行っており、また、金庫の暗証番号を伝えている点で、事実上の占有につき放棄したものと評価できる。さらに、新薬開発情報が記載された書類は、価値が高く、会社の金庫にて厳重に管理されている。とすれば、甲には事実上の占有はないものと言える。

 そして、甲は、自己所有のかばん(時価約2万円)という厳重に保管できるかばんに書類を入れたことはA社の財物につき、A社たる占有者の意思に反し、甲自身の占有に移している。

 よって、窃取したと言える。さらに、甲自身はA社の占有侵害につき認識認容があり、故意(38条1項)が認められる。

 なお、誰もいない部屋で、A3サイズの書類が入る大きさで、かつ、持ち運びやすい持ち手が付いた甲所有のかばんにA3サイズの10枚の書類を入れた時点で甲自身の占有に確定的に移したといえる。よって、かかる時点で既遂となる。

 以上により、甲はA社に対して窃盗罪が成立し、後述の通り、乙と共同正犯となる。

3 次に、甲は乙から300万円を得ているものの、自己が経理部所属になったという重要な事実につき伝えているため、詐欺罪(246条1項)は成立しない。

4 甲が、CからCが持っていたC所有のかばんを取り上げた行為につき強盗罪(236条1項)が成立するか。

(1)ア.この点、強盗罪の暴行とは、恐喝罪(249条)と異なり、人の反抗を抑圧するに至る程度で足りる。そして、その判断は、一般人を基準に、年齢・体格・性別・場所・被害者の対応等から社会通念上客観的に判断する。

イ.加害者甲は、53歳というCよりも(35歳)随分、上の年齢である。その一方で、Cは35歳という体力もある若者である。しかし、53歳という年齢は、一般的に見ても体力が劣っているとも言えない。さらに、甲・Cとも男性であり、体格も甲が身長170cm、体重75キログラムであって、Cは身長175センチメートル体重65キログラムというほぼ同一の体格である。

 その一方で、Cは甲の存在にまったく気付いておらず、甲は力の入りやすい持ち手をでしっかりつかんでいる。その一方で、Cはかばんの持ちにくい他の部分をつかんでいる。その上で、本件甲とCがもみあった場所は、狭い電車の往来があるホームである。仮に、甲が力の入れ具体を変えたりして、Cがホームに落ちる危険もある場所である。かかる場所での甲とCのやり取りを一般人がそばから見れば、Cがホームに転落し、命を落とす危険がある行為である。よって、甲が持ち手を手でつかんで引っ張ってそのかばんを取り上げる行為は、Cの反抗を抑圧するに至る程度、すなわち、暴行にあたる。

(2)次に、強盗罪には反抗抑圧状態にあたり、処分行為は不要である。

(3)また、強取とは、人の反抗を抑圧して、事実上の占有を自己に移すことにある。本件甲は、出発間際の電車に飛び乗った時点でCは取り戻すことが不可能となり、確定的に自己の占有に移したといえる。

(4)さらに、甲は、Cに対する暴行ないし占有奪取につき認識認容があり故意が認められる。

(5)以上により、甲には、Cに対して強盗罪が成立する。

5(1)次に、Cは甲からかばんを引っ張られた弾みで通路に手をつき手の平を擦りむく人の生理的機能を害する加療1週間を要する傷害を負わせている。そこで、強盗の機会により、強盗致傷罪(240条前段)が成立するか。

ア.この点、強盗罪において刑事学的に見て、人に傷害を負わせることは顕著である。とすれば、強盗の機会が必要である。もっとも、処罰適正化の見地より、強盗手段と密接関連性が必要である。

 本件では、甲がCからかばんを引っ張ったという暴行行為によって手をつき傷害を負っている。とすれば、密接関連性があり、強盗の機会と言える。

 そして、暴行行為と傷害には因果関係が認められる。なぜなら、甲の暴行が直接原因となっており、危険の現実化が認められるからである。

 さらに、暴行につき故意がある委譲、結果的加重犯である傷害結果には故意は不要である。

イ.したがって、強盗致傷罪が成立する。

(2)なお、甲は、自己のカバンを取り返そうとしており、自救行為として違法性阻却されるか問題となる。しかし、強取ないし暴行という社会的相当性を逸脱する行為を行っている以上、違法性阻却されない。また、過剰性に認識があるため、責任故意は阻却されず、故意犯が成立する。

6 以上により、甲には、A社に対して建造物侵入罪・窃盗罪の共同正犯が成立し、けん連犯(54条後段)となり、Cに対する強盗致傷罪と併合罪(45条)となる。

第2 丙の罪責

1 丙が同ベンチに置いてあったかばんを待合室の外に持ち出した行為について窃盗罪が成立するか。

 この点、窃取とは前述の通り、占有者の意思に反し自己の占有に移すことをいい、占有とは事実上の占有をいうところ、かかる占有は占有の事実と占有の意思によって判断する。その判断は、時間的場所的近接性・場所・見通し状況・被害者の意思等を考慮して決する。

 確かに、待合室は常時開放されており、誰でも利用できる開かれた空間とも思える。また、待合室は、四方がガラス張りであるが自販機からは見通し状況が悪い。しかし、甲がかばんをベンチに置いた時刻は同日午前11時15分であり、丙が持ち去った時刻は、1分後の同日午前11時16分である。また、自動券売機は待合室の隣に(20メート)にある。とすれば、時間的場所的近接性が認められる。

 そして、ベンチは待合室の出入り口を入って、すぐ近くにあり、おかれている。その上で、待合室には、丙が持ち去った時点で丙のみがおり、多数人の人がいた訳ではない。また、甲はかばんがなくなった後、心配になってベンチを見ており、また、必死に探している。なお、書類は甲の2万円相当の頑丈なかばんに入れられており、かかる事実も補強する事実となる。

 したがって、かばんには甲の占有の事実と占有の意思が及んでおり、丙が待合室の外に持ち出したことは窃取にあたる。また、丙には故意もある。

2 もっとも、丙は逮捕され寒さをしのぐ意思で行っており、不法領得の意思のうち経済的利用意思が欠けるか。

 この点、毀棄罪との区別をするため、経済的利用意思は必要であるもの、毀棄罪の裏返しを意味しており、何らかの利用意思があれば足りる。本件では、ホームレスの人にとって冬の寒さはきびしいものであり、暖をとれる留置施設ですごすことも利用意思が認められる。

 したがって、不法領得の意思が認められる。

3 なお、待合室を一歩出れば、B駅には多数の人がおり、丙を発見することが困難であり、かかる時点で、窃盗罪は既遂となる。

第3 乙の罪責

1 乙には、甲との間で業務上横領罪(253条)の共謀共同正犯(60条)が成立する。以下、理由を述べる。

2 まず、共謀共同正犯には、謀議・正犯意思が必要である。本件では書類を手に入れることに甲乙間で謀議している。また、乙は、営業部長であり、出世するために行っており、正犯意思が認められる。

3 次に、窃盗罪が成立しており、主観的には、業務上横領罪の故意で行っている。しかし、行為は奪取するという同一の行為、財産を害するという法益侵害の点でかさなりあいが認められる。よって、故意は阻却されない。

以上


注意

以下の事項を一読頂けると幸いです。

・ご指摘・ご質問は、特に不要だと考えております。
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第1 設問1

1 平成3年判決について

(1)平成3年事案は,被告が現在控訴審で審理されている売買代金支払請求権を「別訴」において,自動債権として本訴請求権と対当額において相殺する旨の抗弁を本訴の控訴審で提出したものである。その上で,相殺の抗弁は,民事訴訟法(以下,省略する)142条の「訴えの提起」にはあたらないものの,114条2項により,既判力が生じるため,訴えの提起と同様に,矛盾判断,訴訟不経済,応訴の煩いが生じるという二重起訴禁止の原則(142条)の趣旨があてはまる。とすれば,相殺の禁止を別訴で提出する場合,142条が類推適用される。

(2)また,仮に,別訴で提出された相殺の抗弁について,本訴・別訴とも控訴審で併合審理された(152条1項)としても,上記142条の趣旨が及ぶこととなり,相殺の抗弁提出は許されない。なぜなら,152条1項の併合審理は,裁判所の職権でなされるところ,裁判所の裁量でいつ分離されるかわからないためである。

(3)以上を前提に,平成18年判決について検討する。

2 平成18年判決について

(1)平成18年判決の事案は,本訴被告(反訴原告)が「反訴」請求債権を自動債権として,本訴請求債権と相殺する旨の抗弁を提出している事案である。ここで,「反訴」(146条1項本文)がなされた場合,口頭弁論の終結に至るまで強制的に弁論が併合され,同一の審判で行われる。とすれば,平成3年判決と異なり(「別訴」)同一の口頭弁論で行われる。また,平成3年判決と異なり,途中で分離されることもない。

(2)さらに,平成18年判決の事案は,本訴原告の請求が認容されたことを前提として,その同額で相殺の抗弁を提出することになる。仮に相殺の抗弁が認められた場合は,反訴は,予備的反訴とされ,反訴について,審理がなされないこととなり,矛盾判断の危険は生じない。その上で,相殺の抗弁には,その相殺した額の不存在につき既判力が生じるため,後日,本訴被告は,別訴について予備的反訴とされた訴えを提起することはできない。

(3)以上が平成3年判決とは異なることとなる。

3 本件事案について

(1)既判力の矛盾抵触が生じないことについて

 ア 本訴原告たるXが本訴被告たるYに対し,損害賠償として300万円の訴えを提起している。その一方で,本訴被告Yは,本訴原告Xに対し,未払代金300万円の反訴を提起している。

 イ 本件事案は,平成18年判決と同様に反訴であって,同一の口頭弁論で行われるものであり,別訴たる平成3年判決と異なる。そして,Yとしては,反訴で請求している債権をもって相殺の抗弁として提出した場合,裁判所は,平成18年判決と同様に予備的反訴と解することとなる。

 ウ 仮に,XYに対する本訴請求が認容されないこととなれば,わざわざ相殺の抗弁は提出する必要もなく反訴のみ認容される。その一方で,仮に,Yが本訴請求につき,十分攻撃防御方法を尽くしたとしても本訴請求が認容されれば,やむなく,Yとしては相殺することとなる。その際,反訴は,予備的なものとされるため,裁判所の判断はなされないこととなる。

 エ したがって,相殺の抗弁が認められる場合には,その対抗した額の不存在について既判力が生じる一方で,反訴には,審判判断がなされないため既判力自体が生じない。また,同一の口頭弁論でなされる。以上により。既判力の矛盾抵触は生じない。

(2)2つの利益を享受することにはならない理由

 ア 上記の通り,相殺の抗弁が認められることの前提として,本訴原告の請求が認められることとなる。かかる場合は,反訴は,予備的なものとして判断されない以上,反訴について債務名義(民事執行法22条)を得ることとならない。

 イ その一方で,仮に,相殺の抗弁が認められない前提として,本訴原告の請求がYの攻撃防御によって認められなかったことになる。その場合,相殺として対抗する額はないこととなり,反訴は予備的なものではなく,本来的に請求できることとなる。仮に,反訴が裁判所によって認容されれば債務名義を得て強制執行することとなる。

 ウ 以上により,2つの利益を享受することとならない。

(3)処分権主義(246条)

 ア まず,処分権主義とは,訴えの提起,訴訟物の設定,訴えの終了につき,当事者の権能かつ責任とする原則をいう。そして,処分権主義の趣旨とは,私的自治の訴訟法的反映ないし防御の範囲を示すことにある。とすれば,処分権主義に反しないかは,(a)原告の合理的意思の範囲内であって,(b)被告にとって不意打ちとならない場合をいう。

 イ そこで,反訴被告にとって不意打ちとならないか検討する。

 ウ まず,予備的反訴とされた場合,反訴被告の請求が認められることとなり,相殺の抗弁によって対抗した300万円の不存在につき,既判力が生じることとなる。その上で,300万円の不存在については既判力が生じる以上,仮に反訴について既判力が生じなくても後日別訴で行うことはできない。なぜなら,300万円の不存在について既判力が生じるためである。したがって,本来判決を得なくとも,反訴被告の利益を害すること(不意打ち)とならない。以上により,246条に反しない。

第2 設問2

1 控訴審の判決をするにあたっては,不利益変更(利益変更)の禁止(304条)に反してはならない。そこで,以下304条に反しないか検討する。

2 この点,不利益変更禁止の原則の根底には,処分権主義(246条)があることとなる。そして,控訴においても妥当する。そこで,控訴したXの合理的意思に反しないか。

3(1)第1審判決取消し・請求棄却という結論の場合

    Xの合理的意思とすれば,第1審のXの本訴請求があることは前提として反訴たる債権の不存在について争う意思である。仮に,反訴たる債権があったことになった場合は,相殺の抗弁によってXの本訴請求が棄却される。

    とすれば,控訴審としては,少なくとも,Xの本訴請求が認められることを判決理由中の判断として述べることが必要であり、かかる結論はとりえない。

 (2)その一方で,第1審判決が控訴棄却された場合,Xの請求なしYの請求が認められることとなり,Xの合理的意思に反しない。とすれば,かかる結論は取りえる。

→設問2再現不可能でした。。。。。

第3 設問3

1 既判力(114条1項)とは,前訴における後訴への通用力をいう。その上で,既判力の根拠は,法的安定性ないし,当事者が攻撃防御方法を尽くしたことを前提とした手続保障における自己責任にある。

  また,既判力の作用には,消極的作用と積極的作用がある。消極的作用とは,前訴の判断に後訴が矛盾してはならないことをいう。また,積極的作用とは,後訴の判断は,前訴の判断を前提とすることをいう。

  とすれば,既判力の客観的範囲は,訴訟物が同一,矛盾関係,先決関係に生じることとなる。そして,既判力の客観的範囲(114条1項)が及ぶ基準時は,当事者が攻撃防御方法を十分に尽くした前訴における口頭弁論終了時(民事執行法35条2項参照)となる。仮に,前訴における口頭弁論終了時に新事由が生じない場合,後訴は,前訴の既判力が及ぶこととなり,請求棄却となる。

2 次に,114条2項の相殺の抗弁は,訴えにあたらないため,原則とすれば,既判力は生じないが,後日,相殺の抗弁として提出した債権をもって別訴を提起することを防止する政策的理由として例外的に判決理由中の判断についても既判力が生じることとした。

3 本件事案のYの別訴の訴訟物は,民法703条に基づく300万円の不当利得返還請求権である。前訴においては,XYに対する300万円の損害賠償請求権の不存在,及び,YXに対する相殺によって対抗した300万円の不存在について既判力が生じることとなる。もっとも,Yの後訴の訴訟物と前訴におけるXYに対する訴訟物となることと,Yの請負代金債権という訴訟物と異なるため,既判力が生じないようにも思える。この点,不当利得返還請求権の要件事実は,①法律上の原因を欠くこと,②利得・損失,③因果関係である。

  その上で,相殺の抗弁における既判力は,政策的に認めたものであって,広く既判力を認めるべきである。また,相殺の抗弁の不存在という判断と,上記①~③の要件は,先決関係にある。なねなら,相殺によって,請負代金が消滅したことで①法律上の原因があったことにならないからである。

  したがって,Yは,後訴の請求において,前訴における口頭弁論終了時の新事由がなければ,既判力の先決関係により,Yの後訴は請求棄却となる。

以上

注意

以下の事項を一読頂けると幸いです。

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第1 設問1

1 Bは甲社に対して会社法(以下、省略する。)423条1項に基づき損害賠償責任を負うか。

2 423条1項の要件は、①役員等、②任務懈怠、③故意・過失、④損害、⑤因果関係、となる。

 まず、Bは甲社の取締役であり、①にあたる。

 次に、任務懈怠とは、法令違反、善管注意義務違反(330条、民法644条)、忠実義務違反(355条)をいう。以下、検討する。

(1)Eの引き抜きについて

ア.Eを甲社から引き抜いて乙社に入社させたことは、忠実義務違反に反するか。

 この点、取締役と言えども、営業の自由(憲法22条1項)を有し、引き抜かれた従業員にも職業選択の自由(憲法22条1項)を有するため、社会通念上著しく不相当な方法で引き抜いた場合は、忠実義務違反となる。また、その判断は、従業員の立場・地位・時期・目的・引き継ぎの有無等を考慮して決する。

イ.甲社は、洋菓子事業を主力商品としている。そして、その事業の中心となる洋菓子工場の工場長という部門のトップを、乙社にノウハウを得させるという不当な目的をもって、他の従業員に引き継ぎもさせず、突然、退社させている。かかる引き抜きは、甲社に著しく不利益をあたる方法で行っており、社会通念上、著しく、不当な方法を用いて行っている。とすれば、Bには、忠実義務違反が認められる。

(2)Bの競業取引(365条1項、356条1項1号)について

ア.Bは乙社の90%の株式を取得し、乙社の事業に携わっている点で、競業取引にあたるか。仮に、あたった場合には、取締役会決議が必要となることから問題となる。

(ア)この点、競業取引を規制する趣旨は、取締役がその地位を利用し、会社に損害を与えることを防止することになる。

 とすれば、「事業の部類に属する」とは、実際の取引において市場が競合し、取締役に利益となる一方で、会社に不利益が生じるおそれのあるものをいう。また、上記趣旨から、会社が近い将来、蓋然性をもって進出する地域における市場も含まれる。その上で、「市場」とは、取引先、仕入れ先、顧客が同一のものをいう。

(イ)甲社は、平成22年1月、関西地方への進出を企図してマーケティング調査会社に市場調査を委託し、委託料として、すでに、500万円という出損をして、準備している以上、近い将来蓋然性をもって、進出する地域であったと言える。その一方で、乙社は、関西地方においてチョコレートという洋菓子製造販売という甲社と同様な事業を行っている。とすれば、原材料の仕入れ先、売り先等の顧客は同一である。

 したがって、甲社と乙社とは、実際の取引において、市場が競合しているといえる。

(ウ)次に、B取締役に利益となり、甲社にとって不利益になるおそれ(利害の衝突)がああたといえるか。

 この点、Bと乙社が一体かどうかが問題となる。

 まず、Bは乙社の顧問という取締役以外の役職についているものの、連日、乙社の洋菓子事業の陣頭指揮をとっている。また、同年4月以後、月100万円の顧問料という多額の報酬を得ている。さらに、Bは乙社の90%という大株主であり、乙社の運命を決することのできる立場にある。したがって、Bと乙社は一体であったと評価できる。

 その一方で、Bは甲社の洋菓子事情部門の業務の執行を担当しており、洋菓子に関する情報等を自由に得ることのできる立場であった。

 とすれば、Bは乙社を通じて、甲社と利害の衝突するおそれがあったといえる。

(エ)したがって、Bが乙社の顧問に就任し、事業を行ったことは、「事業の部類に属する取引」にあたる。

(オ)なお、365条1項1号の「ために」とは、同条の趣旨から、経済的利益が帰属するという計算で行うところ、乙社を通じて、Bは自己の経済的利益を図っている。よって、「自己のために」と言える。

イ.では、Bは、「重要な事実を開示」し、「取締役の承認を得ていた」と言えるか。

 まず、Bが乙社株式の取得に際して、A及びCに対し、「今後、乙社の事情に携わる。」と述べた際に、特段の意義を述べなかった(369条5項)。また、甲社は、A・B・Cが取締役善意であるため、かかるBの提案にあたり、全員出席取締役会が成立した上で、賛成したとも考えられる。

 もっとも、「重要な事実の開示」とは、取締役が競業取引において判断する上で、基礎となる事実を具体的に開示することが必要である。しかし、本件Bは乙社の90%の株式取得した事実を伝えただけで、乙社がどのような規模で、どのような事業・地域等で活動しているかを伝えておらず、基礎となる事実を具体的に開示していない。よって、「重要な事実の開示」はなされておらず、取締役会決議が形式にあったとしても、実質的にはなされておらず、356条1項本文に反する。

ウ.したがって、Bは、365条1項、356条1項1号に反する。

(3)Bには、忠実義務違反と法令違反があり、上記②を満たす。

3 さらに、Bは、忠実義務違反、法令違反につき認識できる立場にあり、故意ないし、少なくとも注意義務違反という過失がある(③)。

4(1)次に、Bは、Eの引き抜きにより、甲社は3日間受注できず、1日あたり、100万円、合計300万円の損害を与えている。

(2)また、上記の通り、Bと乙社は一体であるころ、顧問料100万円(Bが得た報酬)が423条2項により利益として得た額すなわち、損害であったと推定される。

(3)さらに、甲社が調査料として支払った500万円は無駄となっており、損害となる。

 以上が損害となる。

5 最後に、仮に、Bの忠実義務・法令違反がなければ、甲社には上記損害は発生せず、因果関係がある(⑤)。

6 以上により、Bは甲社に対し、上記損害賠償責任を負う。

第2 設問2

1 仮に、第1取引及び第2取引が事情譲渡(467条1項2号)にあたる場合、株主総会の特別決議(309条2項11号)が必要であり、本件では、総会決議がなされていない。そこで、第1及び第2取引が事業譲渡にあたるか。

2(1)この点、基準の明確性と会社法21条と同様に考え、事業譲渡とは(a)有機的一体性、(b)事業営業の継続性、(c)競業避止義務を法律上当然に負うことを要件とする見解もある。しかし、上記(c)は、効果であって要件ではないと考える。

 よって、私は、事業譲渡とは、(a(b)のみを要件と考える。

(2)まず、洋菓子の製造販売に必要不可欠な建物・土地・商標権という財産的な価値があるものを売却している。また、その際、甲社の洋菓子事業部門の全従業員という人的財産を丙社に引き継がせている。とすれば、丙社が事業開始を支障なく行うことができ(a)がある。

 また、甲社の全部の取引先についてお新たに丙社との間で行うこととされており、営業の継続が行われている(b)。なお、甲社の競業が禁止されていないが、(c)は要件とならず、関係はない。

 したがって、事業の譲渡にあたる。

(3)もっとも、甲社は、他に乳製品事業部門を行っており、洋菓子事業部門は、一部の事業譲渡にすぎない。そこで、「重要な一部」にあたるか。

 この点、重要な一部とは、資産の帳簿価格が総資産(規則137条1号~8号)の5分の1以上のものをいう(467条1項2号括弧書き)。

 そこで、資産の帳簿価格は、第1及び第2取引を別々に取締役会決議の対象とされているが、一体として考えるか問題となる。 

 この点、上記の通り、有期的一体の判断において、建物・土地・商標権を一体として判断しており、第1及び第2取引は一体として考える。よって、第1及び第2取引をあわせて帳簿価格となり、2億5千万円となる。

 その一方で、総資産額は、7億円引く2億円の合計5億円である。したがって、5分の1以上となり、「重要な一部」にあたる。

3 本件では、467条1項2号にあたる。もっとも、事業譲渡は、会社資産に多大な影響があり、株主総会決議が不存在であったことは、絶対的無効となる。

第3 設問3

1 甲社株式の効力は、828条1項2号の無効事由にあたるか。

 この点、「無効」事由とは、多数の利害関係人に影響があるため、重大な法令・定款違反に限る。なお、非公開会社は株主相互お信頼関係が重要となり、「無効」事由の判断は、厳格に判断する。

2 まず、甲社の新株予約権は、株主総会決議がなされている(238条2項・240条、甲社は非公開会社)。

 その上で、株主総会は、取締役会に委任(239条1項以下)している。また、239条1項1号~3号にはあたらなくとも、細目事項は取締役会決議で決定できるが、会社の帰趨を決する重要な事項にあたっては、委任の趣旨に反して取締役決議ではできない。

 Gは新株予約権とは別に報酬を得ているコンサルタントである。そして、新株予約権を与えた趣旨は、上場の成功報酬、すなわち、業績向上につきインセンティブ与える趣旨で取締役会に行使条件を一任している。

 とすれば、上場条件を廃止したことは、重要な事項にあたり、取締役会ではできず、239条1項に反する。かかる法令違反は、甲社という小規模非公開会社にとって重大な法令違反といえる。

3 よって、甲社株式の効力は、無効である。

以上

以下の事項を一読頂けると幸いです。

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第1 設問1

1 小問(1)

(1)AはCに対して材木①の所有権に基づき返還請求をする。かかるAの請求は、Aの所有権、Cに占有があることが要件となる。

 まず、売主Aは買主BとAの代金債権を担保するため丸太の所有権移転の時期について代金の支払時としており、代金支払いがされるまでBは丸太の処分等をしないことを特約している。とすれば、丸太の所有権は、所有権留保とされている。よって、Aの所有権は認められる。

(2)Cの反論

 これに対し、まず、Cは、以下の通り、占有があることを認めるもののAの所有権はCが即時取得(民法(以下省略する)192条)したことより所有権喪失の抗弁を主張・立証する。以下、検討する。

 192条の即時取得の要件は、①取引行為、②平穏、公然③動産の占有開始(基づく引渡し)④善意・無過失が必要となる。

 次に、Cは同月18日、Bと20本の丸太を製材して、これらの材木を1本あたり20万円の価格で、売買契約(555条)が成立している主張する(①)。また、CはBから同月25日、20本の材木という動産をCの倉庫に搬入させる現実の引渡し(182条1項)を受けている。とすれば③を満たす。その上で、占有者は186条1項により所有の意思をもって善意・平穏・公然であったことが推定される。なお、②・4の基準時は、即時取得が動産の占有に対する信頼を保護することにあるから、あくまでも、占有開始に必要とされる。

 さらに、前主が適正な占有を信頼することは動産については通常であるため、無過失は188条により推定される。

(3)Aの再反論

 これに対し、善意とは動産に対する適法な占有を信頼することが192条の趣旨であるため、積極的に信頼したこと、すなわち、「半信半疑」は含まない。さらに「無過失」とは、善意が半信半疑を含まないため、調査義務違反がなかったことを指す。また、無過失は、上記の通り推定されるため、Aが無過失の評価根拠事実を主張立証することとなる。

(4)私見

 本件において、Cは取引の経験から、Aが丸太を売却するときには、その所有権移転の時期を代金支払い時とするのが通常であり、最近も、AB間でトラブルが生じていたことを知っていた。とすれば、CはBが代金支払いについて済んでいないことで、所有権者でないことに半信半疑であった、すなわち、悪意であったと言える。仮に、善意であったとしても、安易に、上記20本の丸太についてAB間で代金の支払が既にされているものと即断し、特に、A及びBに対する支払の有無・状況等を確認しなかったので、調査義務違反、すなわち、過失があったといえる。

 したがって、上記Cの抗弁は認められず、Aの請求が認められる。

2 小問(2)

(1)AはDに対して材木②の価格の償還を248条に基づく償金請求をする。かかる請求の要件は、(a)動産が従物(87条1項)であること、(b)付合したこと(242条但書が適用されていないことも含む。)(c)利得(d)損失(e)法律上の原因がないこと(f)(c)(d)の因果関係が必要となる。

(2)まず、従物とは、物の常用に供すること、独立していることが必要である(87条1項)。本件では、材木②はリフォーム工事にあたり、不動産の基礎部分となっており、常用に供している。また、製材することで別個独立のものとなっている。よって、従物にあたる。

  次に、付合とは、一体となって、社会的に分離することが著しく困難な強い付合をいう。また、強い付合の場合、242条但書の適用は排除される。

 材木②は、乙建物の柱として使用され、不動産の一体構成物となっている。柱に使用された場合、建物自体を取り壊さない限り、分離できず、強い付合といえる。

 その上で、Aは丸太の代金の支払を受けることができず、「損失」、それに対し、Dは自己の建物に材木②をリフォーム工事により得ている「利得」がある。また、因果関係は、広く解し、社会通念上の因果関係で足りる。本件では、請負人Cの工事という介在事情があるものの、材木②がなければ、リフォーム工事はできなかったといえるため、社会通念上の因果関係がある。

 では、「法律上の原因」がないことについて、Aに主張立証責任があるか。

 この点、248条によって付合した場合は、政策的に償金請求権を認めた規定である。とすれば、法律上の原因がなかったことが推定される。

 以上がAの主張である。

(3)Dの反論

 これに対し、248条の規定は、本来703条の不当利得返還請求権になるところ、注意的に定めた規定にすぎない。そこで、248条の準用は、「法律上の原因」がないことを推定する規定ではない。仮に、Aの主張通り推定されるとしても、「法律上の原因」とは、形式的な財産の移転を全体としてみて、対価関係なく利得を得た場合をいう。なぜなら、703条は、当事者の公平の観点から定めたものであるからである。

 Dはすでに、請負代金の報酬額600万円を支払っており、対価関係があり、法律上の原因がある。よって、Aの主張は認められない。

(4)私見

 私は、法律上の原因がないことは実質的に判断する。この点、公平の見地より、受益者が支払い時に悪意・重過失があれば、法律上の原因がなかったことになる。本件では、Aは同月5日、C、Dに事情を伝えているが、その前にDはすでに、代金を支払っており、悪意・重過失とは言えない。よって、上記Aの請求は認められない。

第2 設問2

1 小問(1)

(1)GはEの土地所有権の対抗要件具備に基づく所有権喪失の抗弁を援用する。

 この点、上記抗弁は、(ⅰ)177条の第三者にあたること、(ⅱ)土地所有権登記の具備、(ⅲ)援用、(ⅳ)権利主張(権利抗弁であるため)となる。なお、Gは、Eが177条の第三者でないこと、及び、対抗要件(明認方法)がないことは、主張立証責任を負わない。なぜなら、公平の見地より、「ないこと」はEが主張立証責任を負う。また、明認方法の具備は、対抗要件であるからである。

(2)177条の第三者とは、当事者及び包括承継人以外のものであって登記ないし明認方法の欠缺を主張するにつき正当な利益を有するものをいう。本件Gは、保管者であった独自の法律上の利益は有しないが、Eは前主から売却を受けており、正当な利益を有する第三者である(ⅰ)。さらに、Eは甲土地の所有権登記を具備している(ⅱ)。Gは援用している(ⅲ)。GはEから保管を委託され、GとEは一体であって、GはEを通じて権利主張している。よって、上記Gの抗弁は認められる。

2 小問(2)

(1)GはEと丸太④につき委託契約(657条)を締結している。そこで、Gは保管料30万円を被担保債権として留置権(295条)を主張する。

(2)295条の留置権は(A)被担保債権の存在、(B)占有(C)物との牽連性、(D)権利主張(権利抗弁であるため)(E)占有が不法行為によって始まったことでないこと、である。

 本件では、30万円の保管料を支払うことがEG間で約束されており、支払い時たる同日9日が到来している。よって、(A)が確定的に発生している。また、Gは丸太④を保管、すなわち、現実の引渡に基づく占有をしている(B)。

 次に、「物との牽連性」とは、物を留置して、間接的に支払を受けるという事実上の優先弁済権を保障するためにある。とすれば、事実上間接的に留置の効力を主張する相手方との間に生じていることが必要である。

 本件は、Gが争わないことで、Eの所有権の対抗要件具備につき容認している。すなわち、177条の第三者との関係では、牽連性が否定されるとも思える。しかし、Gは保管料30万円を支払い時に確定的に発生されており、Eが代金30万円を支払うことで物の返還が促される関係にある。よって、(C)も認められる。

 さらに、Gは丸太④の支払いを受けるまで旨を権利主張している(D)。仮に、認められた場合、裁判所は引き換え給付判決となる。

 では、(E)は認められるか。この点、295条は、公平のけんちより認められる規定であり、占有時に、悪意・有過失であれば、295条但書の不法行為にあたらなくとも同条但書が類推適用される。

 丸太③は、Eの墨書が消えているものの、丸太④はEの墨書がなされている。とすれば、GはEに対して占有開始時にあたり、問い合わせ等すべきであったのにしなかったので、調査義務違反として、少なくとも過失があったといえる(E)。よって、上記Gの留置権の主張は認められない。

第3 設問3

1 小問(1)

(1)まず、Lは714条1項に基づく損害賠償請求をHの同居の親権者(820条)に主張する。もっとも、Hは満15歳であり、不法行為を負うべき責任能力が認められる。よって、714条1項は認められない。そこで、LはCに対し、709条により30万円相当の治療費等の逸失利益を請求する。

(2)この点、709条は(ア)故意・過失(イ)法律上保護される利益の侵害(ウ)損害(エ)因果関係が必要である。本件Cは、親として、監督する義務(820条)を負う。普段、Hが角材を持ち出した際、反抗的なHにどうように対応してよいかわからず、対策を講ずることはなかった。とすれば、監督義務に反しており、(ア)過失がある。また、Lは30万円の損害、右腕の骨折(イ)(ウ)があった。さらに、Cの監督義務がなされていれば、Lは骨折することはなく、因果関係がある(エ)。よって、Lは上記請求が認められる。

2 小問(2)

(1)CはLに対し、過失相殺(722条2項)を主張する。

 この点、同条は損害の公平な分担という公平の見地より定めたものである。とすれば、身分生活上一体ならば、「被害者側の過失」も含まれる。本件Kは、Cの親(820条)であり、身分生活上一体といえる。その上で、「過失」とは注意義務に反することをいう。本件では、自転車の運転中、携帯を使い、片手で運転する行為は、簡単にバランスを崩す状態であったといえる。また、道交法上、必要とされている前照灯の整備を怠るという整備義務を欠いている。よって、Kには、注意義務に反するという過失が認められる。

(2)したがって、Cの上記主張が認められる。

以上