脂漏性角化症は脂性肌の男性に圧倒的に多い疾患ですが、この方は比較的若い女性でした。
左コメカミに直径2cm以上の大きな隆起性のシミがある、という訴えで来院されました。
鑑別診断としては「表皮母斑」「脂腺母斑」「ウィルス性疣贅」などが挙げられます。
視診、触診、発症経過などから「脂漏性角化症」と判断して炭酸ガスレーザーでの治療を計画しました。
単独の脂漏性角化症としては大きな部類です
局所麻酔下に炭酸ガスレーザーで隆起部分を焼灼しました。
5分程度の所要時間です。
治療直後の状態
真皮に僅かに角化症を認めますが、皮膚の陥没の可能性があるのでそこまでは焼灼していません。
ステロイド軟膏を少量塗布して、ハイドロコロイド系の絆創膏を貼付します。
ハイドロコロイドとはガーゼ絆創膏ではなくキズパワーパッドに代表される血液や滲出液を吸収してカサブタを作らないで上皮化させる材料です。
価格的にはガーゼ絆創膏(カットバンなど)よりも高価となりますが、皮膚には優しい絆創膏です。
治療後10日目の状態
やっと上皮化して滲出液が出ない状態になりました。
このまま順調に治っていくものだとばかり思っていました。
治療後28日後
「えっ!」という状態です。
10日目で上皮化して安心していたら「瘢痕拘縮」が起きていました。
薄い表皮が擦れてしまったのかカサブタも形成されていました。
このままヒルドイドクリームで対応します。
10日目以降もハイドロコロイドの貼付を継続していれば良かったのかもしれません。
治療後5ヶ月後の状態
患者様がしばらく来なかったので来院をリクエストしました。
軽度の瘢痕(白っぽく光沢のある皮膚)形成が見られました。
患者様は気にならない、との事でした。
痛みや痒みなどの症状もありません。
原則、再発もありません。
手前味噌ですが、宇都宮院は各種レーザーが揃っているので皮膚科的な疾患の患者様が多いクリニックだと思います。