父と病院 | 怒涛の3ヶ月~2年目

怒涛の3ヶ月~2年目

旦那のアルコール依存症→精神科外来→離脱せん妄→借金地獄→断酒→スリップ→精神科入院→現在



父は亡くなる一年前からよく家の中で転んでいた。

後になって分かったが、恐らく脳腫瘍が原因だったらしい。

一度、ガラス戸付きの本棚の前でよろけて、頭からガラス戸に突っ込み、流血した。

血が飛び散り、かなり頭を切ってしまったようだ。

母は当然病院へ連れて行こうとしたが、父は頑として

『行かない』と言った。

母とは反対に病院も治療も大嫌いな父。
ただでさえ長年病気で通院や治療を行っているのに、それ以外で病院へ行くのはまっぴらだったのだろう。分かる。


しかし中々傷口が治らなかった為に母は、

『自分で縫ってやろうかと思って』

と張り切って言っていたので、

『えっ?どうやって?』

『針と糸で』

いやいやいや、そんなぬいぐるみじゃあるまいし!滝汗

『ちゃんと消毒してやるから大丈夫よ』

と言ったが全力で止めた(笑)

だって私なら絶対嫌だもの。。

結局無事、縫われなかった父。
歳が歳なので治るまでは結構時間は掛かったが、なんとか自力で治す父。

その後もよく父は家の中で転び、あちこちに傷を作っていた。

何故病気を疑わなかったかと言えば、
やはり年齢的な物と(あと数年で90歳)、
持病を持っている事、

あと、一番の理由として、
父が転ぶ時間帯は夕方~夜にかけて、すなわち母は
『どうせ酔っ払って転んでいる』

と思い込んでいたからである。

まあ、酔いも手伝っていたのだろう。

前にも記述したが父は

焼酎を、9%のストロング系の缶チューハイで割っていたからである。

考えただけでも不味そうで、オェッとなる、
考えただけで酔っ払いそうだ。


父が倒れて救急車を呼んだ時。
その時も母は酔っ払って転んだのかと勘違いをしたのだが、
片手脚が動かなくなっていた事により、異変に気付き救急車を呼んだのだが。

その時に私が聞いた救急隊員の方とのやり取りが、

『お父さん、お酒飲んでる!?』

『ああ~ちょっとだけ』

『何飲んでたの?』

そこで母は、
『この焼酎を、缶チューハイで割ったやつです』

私はこの時に初めて知った、父がこんなもんを飲んでいるのだと…

『焼酎をこれで割ってるの!?お父さん強いんだねえ~』

半ば呆れながらも関心する救急隊員の方々…


父は酒に関しては強かった。
若い頃は飲み終わった日本酒のとっくりをズラッと並べていたそうだ。日本酒日本酒日本酒

母が夜勤で昼間寝ている時は一時
暇だからと言う理由で昼から飲んでいたそうだ。

幸い飲むのにも飽きて、すぐに昼間飲むのは止めたそうだが、危うく旦那のように依存症になってしまう所であった。

そんな事もあり、
父が転ぶのは酔っ払っているからだ、という思い込みから病院で診てもらわなかったのだ。

まあ病院に伝えた所で病気が見つかっていたとしても、治療は出来なかったかもしれないし、
父にとっては治療も入院もしなくて済んで
ラッキー!と思ったかもしれない。

父にとってはまさに

お酒様様だったのかもしれない。