人口戦略会議、2050年にかけて全国4割超の自治体が消滅の可能性と公表
「消滅可能性自治体」佐賀県太良町 永淵孝幸町長が「生き残れる」と語る理由
2024.4.30 (西日本新聞) - Yahoo!ニュース
民間組織「人口戦略会議」が 24日に公表した報告書で「消滅可能性自治体」に含まれた 佐賀県
太良町は 2014年、別の民間組織が発表して波紋を呼んだ「消滅可能性都市」リストにも入り、
県内最悪の若年女性人口(20~39歳)減少率だった。 あれから 10年、再び「消滅」を突きつけ
られた 永淵孝幸町長(75)が取材に応じた。 (聞き手は川合秀紀)
≪ 14年5月に「日本創生会議」が公表した通称「増田リポート」で、太良町は 10年から40年までに
若年女性人口が 最大64.8%減る推計だった。当時、永淵氏は 副町長だった ≫
「 やっぱりショックだった。でも 役場では悲観せずやろう という雰囲気にもなった。ただ 今回も
そうだが、『消滅』という言葉は 大嫌い。これだけ懸命に地域を守ろうと 職員も町民も頑張って
いるんですから 」
≪ 今回の報告書の推計で 町の若年女性人口は 20年から50年に 最大 62.4%減と、
「増田リポート」からやや改善した。だが 50年の総人口は 4035人になるとされ、3月時点の人口
(約7600人)から 半分近くに減る計算だ ≫
「 県内最悪の減少率じゃなくなっても、厳しいことに変わりはない。少しでも 減少スピードを
遅くして 推計通りにならないよう、何とか踏ん張っている、というのが本音。15年に策定した
『人口ビジョン』の人口目標は 下回っているが、他の市町がやっていない 先進的な人口減対策を
取っている効果はある 」
「 例えば 子育て支援策。学校の補助教材費を全額助成したり、町内外に通う高校生までを対象に
交通費以外にも使える 就学支援金を支給したり-。 地味だが 他市町では 例がない支援策で、
移住者も喜んでいる。町の取り組みを知ってさえもらえれば、選んでくれる人が増えると思う。
今後も これでもか、これでもかと 政策を続けるしかない 」
≪ ただ中長期的には 人口減は止まらないため、町単独で インフラや行政サービスを早晩維持
できなくなる懸念は残る ≫
「 他の自治体と、観光振興などの事業面で連携することは ありえるだろう。ただ 水道や交通などの
インフラは 今後も維持したい。新しい町営住宅は造れないが、民間に 賃貸住宅の建設費を補助する
事業は好調。今後は 宅地分譲のための造成費にも拡大することを検討している。町が 自前でやらず
民間の力もうまく使いたい 」
「 ただ 結局は 交通の便の良さが鍵を握る。結果的に 人口の奪い合いになっているし、いくら
頑張っても そう簡単じゃない。国に対しても、例えば 有明海の状況を調査する出先機関を なぜ
太良町などに設置しないのか。もっと地方に目を向けてほしい 」
≪ 04年6月、隣接する鹿島市との合併是非を問う住民投票で 反対が上回り、当時の町長は 合併を
断念した。20年後の今、鹿島市も 人口減が続く中、再び 合併議論の必要はないのか ≫
「 今は 全く考えていない。最近、よく町民に『合併した方が良かったと思う?』と尋ねる。
予想以上に『せんで良かった』という声が多い。仮に 今、合併に関する住民投票をしたら 20年前
より反対が増える気がする。もし 人口が 4000人になったとしても、小さくても、小さいからこそ
小回りが利く対策を打てるし、生き残れると考えている 」