横山中岳(南日高 724m) | 独り言ちの山暦

独り言ちの山暦

「風の又三郎、又三郎、早く此さ飛んで来!」「この頂で赤道から北極までの大循環の自慢話を聴かせてくれ。」

 

2024.5.19。

久し振りに午前2時過ぎに起床。

この齢になると何時間寝れば満足ということもなければ、かと言って

不足と言うことも無い。

久し振りに遠出して日高の山を目指すこととなった。

旭川から凡そ250kmほどのドライブである。旭川を朝4時に出た。

途中で富良野でTOKUさんと合流。

この春に購入したというTOKUさんのSUV車で日高の三石に位置する横山中岳を

目指した。

これは、と思わず膝を打つくらいに順調に走り登山口に着いた。

登山口には我々以外の車はない。これは貸し切りの登山ね、と語り合う。

8時28分、スタートした。気温は高めで18度位であろうか。

晴れてはいるが青空は広がっておらず視界は遠くへと及ばない。

間もなく汗が流れてきたが、広葉樹林歩きは何とも気持ちが和むものだ。

森があれば広葉樹に親和性を感じる。

長谷川四郎の「シベリア物語」を読み返したばかりであるが針葉樹にはどうしても

陰鬱さを感じてしまうのだ。

路傍に躑躅が鮮やかに咲き誇っていた。

それはそれで素敵なことと心躍らす効果はあるのだが、その後の演出がいけない。

目の前に長いものが横たわっていた。

思わず5mは後へと飛び逃げさせられた。ヘビが長々と横たわっているではないか。

ヘビとの出遭いのあとは急に消沈した。運ぶ一歩も恐るおそる、こんな時の

ためではあるまい念仏を唱えさせてもらった。

何度かの急登に耐え1時間32分で頂上を踏んだ。

頂上は初夏を思わせる佇まいの中にあった。

ここで20分程は寛ごう、と思っていたが。

眺望が利かない。南日高の山々、中日高の山々が望めると期待していたが

全く望むことができなかった。

加えて足許からゾロゾロとダニが攀じ登ってくるではないか。

これは堪らん。

早々に下山を開始した。

下りはロープ場などを慎重に下山した。

途中でS町登山会に参加された20数名のグループとスライドした。

この山は地元の方々に大切に、そして愛されている山なんだと再認識

した。

下山は1時間ほどで終了した。

下山後はダニを丹念に点検した。そして5匹ほどを駆除した。殺生はいけないけど

その時に罪悪感は湧かなかった。

帰路、太平洋を眺めた。

山はもちろん良いけど海は底知れない誘惑性がある。

カモメは飛んでいなかった。

海は青くなかったし光ってもいなかった。でも絶対的な無限があった。

無限が有限を上回るとは思わないが、人には無限は欠かせない憧憬

なんだろう。

今度は海か、と呟いてみた。

でも俺には山しかないかもね、と呟いてみた。

長谷川四郎の「シベリア物語」にも海への憧憬があった。

「叶えられない夢」が海の彼方にあるかのように。

旭川には4時過ぎに戻ってきた。

まる一日かけて日高に行ってきた。段々と遠出が億劫になってきたが

TOKUさんたちの若い人のエネルギーを頼りにもう一歩でも進むこと

しようか。

総行程距離5.0km。 総行動時間 2時間37分。