独り言ちの山暦

独り言ちの山暦

「風の又三郎、又三郎、早く此さ飛んで来!」「この頂で赤道から北極までの大循環の自慢話を聴かせてくれ。」

 

2024.4.15。

気温がドンドン上がった。

旭川の午後2時の気温23.8度を記録した。

壁際や立ち樹の根本の陽だまりには、もうだいぶん前から春がきていたが、

こうした陽気にスキーを履くとその実感が手に取るようにわかるのだ。

安部公房的に表現するなら、春は日一日と数を増し、今日は昨日の二倍、明日には

今日の二倍・・・と倍々ゲームのように近づいてくる。

冬に愛着の名残もあってバックカントリーのメッカと言える三段山に出かけた。

久し振りとなるMIYOKさん。そしてKAWAさんに同行いただいた。

朝9時13分に吹上温泉をスタートしたが雪はすでに溶け出していた。

強い日差し、照り返し、無風と気温の上昇。間を置くことなく汗が流れた。

半袖でも充分であろうが日焼けを警戒し長袖のまま登った。

すでに何組かが先行している。

富良野岳、表大雪、芦別岳方面への眺望は素晴らしい。

そんなロケーションを楽しみながらスキーを運ぶ。

スキーに適した雪質とは言えないがこれで充分だと思った。

ターンも何とかなるあとは自分の技量範囲を滑るだけだ。

MIYOKさんが少し遅れた。

当初から頂上は諦めていた。2段目で折り返す計画だ。

2段目手前から振り返るとMIYOKさんが1段目を越え登て来た。

頑張った姿に手を振り応えた。

ここで折り返すのには勿体ないほどの条件ではあるが今日のリーダー

KAWAさんは冷静に判断した。

相も変わらずのヘッピリ腰のスキーだけれども、気持ちは最高で恥知らずながら

誰よりも上手だと言い聞かせ滑り下りた。

名手KAWAさんには物足りないだろう、と申し訳なく思った。

でも楽しそうだ。

春を迎える山スキー。楽しくないはずがないではないか。

滑る降りるのはアッという間ではあるが、楽しい時間と言うものは乗数で

考えなければならないのだ。

久し振りのMIYOKさんも滑ってきた。

慎重ではあるが確かに以前より腕前を上げたようだ。

常に前向きに活動的な姿。同い年ではあるが触発されるし元気を貰えた

と感謝である。

活動時間は2時間10分。

久し振りに全身に汗をかいた。

余り口にすることない水分も200mlほど摂った。

この雪も瞬く間に消えていくだろう。

春の訪れは愉しみ一つではあろうが、齢を重ねるに毎に「冬」への愛着が

深まってきたのも確かな刻みとしてある。

今年のスキーはこれでお仕舞になるだろうが、シーズンの最期に楽しい

山スキーをたのしめたことを同行のお二人に感謝したい。