千歳山(441m) 知遠別山(四等三角点 点名 知遠別 260.83m)  | 独り言ちの山暦

独り言ちの山暦

「風の又三郎、又三郎、早く此さ飛んで来!」「この頂で赤道から北極までの大循環の自慢話を聴かせてくれ。」

 

2024.2.10。

今日の日長が10時間15分。

太陽の斜度もどんどんと高くなってきた。

穏やかな日和に誘われるように鷹栖峠の千歳山を歩いてきた。

総行程距離2.5km。総活動時間1時間32分。

近くにありすぎて、尚且つこの山だけをターゲットにするには少しの抵抗感も

あり行かずの山だった。

かと言って適当の山が思いつかず電波塔が聳える塩狩山まで脚を伸ばすこと

も射程に入れて、いつもの3名でスタートした。

気温はマイナス9度。無風。

爽やかさを、つい誰かに伝えたくなるようだ。

「本当に気持ちが晴れるようだ」とKAKU先輩。

同調するKAWAさんの足取りも軽やかである。

KAKU先輩が巻くマフラーは新調したものらしい。

奥様からのXマスプレゼントだろうか。遠慮して訊きそびれた。

この静けさ。

自分たちの呼吸音だけが音波として空へと登る。

間違いなくこの風景に生かされている、と実感する場面だ。

豊穣とは静の中にこそあるものだと感じた。

あの林の向こうが頂上だ。

呆気ないほどだけれども充足感はあった。

雪と寒風に晒されながらも立ち続ける木々。

暫しの穏やかさを堪能しているように我々を頂上へと迎え入れてくれた。

この山には頂上を示ものは無かった。

多分に訪れる人は少ないのだろう。

遠くに塩狩山の電波塔が見えた。行くには問題はないけどいま一つ気持ちが

前向きにならない。

さあ、どうする。

そんな時は、流石のKAKU先輩である。

絶妙な代案を仕込んでいてくれた。

マイナー中のマイナーであるけど「ゴルフ場の近くの山(三角点)」はどうだろうと。

塩狩山は何年か前に登っている。

そうなれば「ニューピーク」を目指すほうに気持ちは傾く。

千歳山で下山し「ニューピーク」を目指すこととした。

深雪で滑らないスキーを騙し騙し下山した。

それでも到着地点手前で転倒した。

頑張って転倒するのを堪える、そんなことが面倒になってきている。

法則に従って転んだ。

起き上がるにはKAKU先輩の手助けを得た。

転んだら自力で起き上がれよ!

と自分の内面から叱責する声が大きく聞こえた。

 

次の山へと向かった。

鷹栖峠を戻りゴルフ場手前の駐車帯に車を入れた。

四等三角点 「点名 知遠別」。

知遠別山である。僅か260.83m。

総行程距離 1.8km。

総活動時間1時間7分。

ゴルフ場は冬季間閉鎖である。

除雪されていない取りつけ道を歩く。

このゴルフ場に訪れるのは何十年ぶりだろう。

ゴルフに熱中していたころが甦った。

そして今。

山を登るためにおとずれるとは。想像だにしなかったことだ。

日差しも暖かい。

春遠からじ、実感そして実感。

クラブハウスを横目に山へと向かう。

ここは1番ホールまたは10番ホール?

奥には噛伊尻山が望める。

小さな尾根を頂上へと進む。

想像していたよりは山らしく、想像していたとおり頂上は近かった。

三角点標石は見つけなかった。

でもここが頂上である。

三角点より少し高い場所があった。

でも高い所が三角点とは限らない、とKAWAさんに諭された。

なにかと高みを目指す性には閉口する時だ。

KAKU先輩がいざなってくれた山だ。

気持ち良く登れた。ここまで来て良かった、と感謝した。

写真では判然としないがKAKU先輩が滑り降りる。

続いてKAWAさん。

木々の間を少しだけ滑ることができた。

滑り下り、この場所で休憩した。

KAKU先輩に旭川名品「ビタミンカステラ」を頂いた。

随分と懐かしい味がした。幼少時のオヤツとしては高価なものだった

貧しい生活を懐かしんだ。

このくらいの山歩きが良いのだろう。

「今日も良い一日だった。満足だったね」とシートに凭れるKAKU先輩の

言葉にKAWAさんも私も笑顔で応えた。

そして帰りの車中では「晩酌談議」。冷酒もいいけれども「熱燗」で

今夜は締めようと思う。

矢代亜紀はもういないけど「舟歌」と「炙ったイカ」が宛でいいのだ。