『水戸黄門』の徳川光圀の地位で重要なのは「副将軍」でなく「中納言」
『水戸黄門』で水戸光圀(徳川光圀)の権威を象徴する地位は「副将軍」が有名だが、実質的には2代目水戸藩主、または朝廷から与えられた「中納言」である。

徳川家の将軍家としての地位も朝廷が征夷大将軍に任命した結果であり、その将軍の権威は大政奉還のときの西郷隆盛、大久保利通に対しては威力を失っていた。西郷にとって真の主君は島津斉彬までであって徳川慶喜ではなかった。だから西郷、大久保たちは「錦の御旗」のような天皇の権威で幕府を倒そうとしなのである。

ある意味で日本は武家政権が変わるだけで、天皇家は南北朝があったくらいでほぼ一貫して変わっていない。『水戸黄門』や『暴れん坊将軍』の世界は「権力の腐敗を正すのはそれより上の権力だけで、庶民は無力」ということを言っているドラマである。こういう作品をこのんでいる限り、日本国民は自ら政治を動かすことはできず、つねに「陳情」か「批判」をするだけになってしまうのだろう。

民衆の力で権力者をひきずりおろし、新しい権力体制を作るフランス革命や中国の王朝交代のようなことは日本ではなかった。

前後一覧
2010年1/15