『SAPIO』を買ったら小林よしのり氏がアイヌについて触れており、「アイヌ民族」という概念はもともと、存在せず、北海道各地も千島も樺太も別の部族がいたらしい。確かにアイヌ語についてもどこの「方言」を採用するかで違ってくる。しかし、「アイヌ民族」が作りものであれば、「大和民族」も強引にこしらえた概念だし、ましてや「日本民族」も眉つばものである。
もし、日本が北海道を併合したのが「侵略」だったらどうなのか。和人は本州に撤退すべきなのか。そうなると「侵略」ということばの意味は「不法滞在」のようなもののように解釋されており、だから日本が琉球を併合したことについても「侵略ではない」と主張する意見が出て、一方でチベットについては中国からの独立を支持する人たちが「中国による侵略だ」と言うのだろう。
ロシアはチェチェンの独立を武力で封じながら、グルジアから南オセチアが独立するのを支持している。そこでも自国の分裂を批判しつつ、他国の「地方」を独立させたがる傾向がある。
ロシアはチェチェンの独立を武力で封じながら、グルジアから南オセチアが独立するのを支持している。そこでも自国の分裂を批判しつつ、他国の「地方」を独立させたがる傾向がある。
すると、『機動戦士ガンダム』や『トップをねらえ!』で描かれる未来の地球で国境がなくなり、地球全体が一つの国になるのは、侵略が既成事実となっているだけの話である。この場合、たとえば地球連ぽ言うからの独立を考えるジオンは「連邦がジオンを侵略」と考えるのだろう。ただ、1年戦争に関してはジオンが先に仕掛けており、戦争責任において「どちらが先か」は重要ではない。中国での反日暴動など、明らかに中国人が先である。
小林よしのり氏はアイヌ民族を「アイヌ系日本人」と呼ぶことにしているらしく、それはもっともである。日本にはアイヌ系日本人、ヤマト系日本人、朝鮮系日本人、琉球系日本人がいるわけだ。在日朝鮮人は事実上、朝鮮系日本人であるし、帰化すれば、なおさらである。小林よしのり氏は在日朝鮮人もアイヌも部落も平等に日本の同胞として尊重するというスタンスのようだ。
アイヌ民族の組織・ウタリ協会が小林氏からの取材を拒否しているのはよろしくない。それで小林氏が何か書くと「事実誤認だ」と言うのだろうが、拒否した以上、メディアで勝手に書かれるのは覚悟の上であろう。
アイヌ民族の組織・ウタリ協会が小林氏からの取材を拒否しているのはよろしくない。それで小林氏が何か書くと「事実誤認だ」と言うのだろうが、拒否した以上、メディアで勝手に書かれるのは覚悟の上であろう。
「アイヌ」が作られた概念であれば、「チベット人」も作られた概念であり、今のチベット人は中国国籍であれば「チベット系中国人」である。
ちなみに、中国で「漢語」が最大の言語で、ほかに55の民族がいて、ほぼ、それぞれの言語があると言われるのも作られた概念であり、漢語は大きく分けて7つの「方言」に分かれ、一方で50余りの「少数民族」の言語は、系統を調べれば、トルコ系、チベット系、モンゴル系、トゥングース系、タイ系に分かれている。
例えば、チベット系でも中国では蔵族以外にハニ(哈尼)族、ナシ(納西)族など、15以上の複数の名前の違う民族としてバラバラに分類されている(下の補足参照)。
つまり、中国では漢民族はできるだけ数が多いように分類され、ほかの「少数民族」は一民族当たりの人口ができるだけ少なく見えるように分類されているのだ。
漢語の7つの方言を7言語として、中国内のモンゴル系の「言語」をモンゴル語の方言と見なせば、数も違ってくる。
ちなみに、中国で「漢語」が最大の言語で、ほかに55の民族がいて、ほぼ、それぞれの言語があると言われるのも作られた概念であり、漢語は大きく分けて7つの「方言」に分かれ、一方で50余りの「少数民族」の言語は、系統を調べれば、トルコ系、チベット系、モンゴル系、トゥングース系、タイ系に分かれている。
例えば、チベット系でも中国では蔵族以外にハニ(哈尼)族、ナシ(納西)族など、15以上の複数の名前の違う民族としてバラバラに分類されている(下の補足参照)。
つまり、中国では漢民族はできるだけ数が多いように分類され、ほかの「少数民族」は一民族当たりの人口ができるだけ少なく見えるように分類されているのだ。
漢語の7つの方言を7言語として、中国内のモンゴル系の「言語」をモンゴル語の方言と見なせば、数も違ってくる。
アイヌも琉球も、アイヌ内部、琉球内部の「統一」の過程では戦争があり、敗れた側にとっては「侵略」だったはずだ。ちょうど、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)や坂上田村麻呂が「熊襲」や「蝦夷」から見て「侵略者」であったように。その敗者の歴史観は歴史から封印されてしまう。
「国」や「国連」の評価は必要か
アイヌは確かに先住民族である。
ただ、それを日本政府に求めてもらうとか、国連に認めてもらうといった考えは、殿様がほめてくれないなら将軍様にお願いするような、権威づけを欲しがる考えである。上へ、上へとお願いして、お墨付きを求める考えは、石原知事がやっている東京への五輪誘致や、あちこちでやっている世界遺産申請の乱發と同じで、自信がない人たちが権威による評価を求めている姿である。
政府や裁判所や国連から「先住民族」と認められたら、それを「葵の御紋」にして、何か得することでもあるのだろうか。
アイヌは確かに先住民族である。
ただ、それを日本政府に求めてもらうとか、国連に認めてもらうといった考えは、殿様がほめてくれないなら将軍様にお願いするような、権威づけを欲しがる考えである。上へ、上へとお願いして、お墨付きを求める考えは、石原知事がやっている東京への五輪誘致や、あちこちでやっている世界遺産申請の乱發と同じで、自信がない人たちが権威による評価を求めている姿である。
政府や裁判所や国連から「先住民族」と認められたら、それを「葵の御紋」にして、何か得することでもあるのだろうか。
アイヌが自ら先住民族と想い、その見解に絶対の自信を持つのなら、そう想っていればいいし、社会がそう見なしていれば、それが「事実」となる。
永田町や霞が関の人たちが認めるか、認めないかは、一時的なもので、個人の見解の違いの集まりにすぎない。政権が交代すれば政府の見解も変わるのが普通だ(何度政権が変わっても村山談話に執着する日本の政府も思慮が足りないが、福田康夫前首相が辞めたことで北朝鮮が日本との合意を白紙にしたのも予想できたことである→世界各国は北朝鮮のトップが交代しようと核に関する合意は継承してほしいと言っている)。
永田町や霞が関の人たちが認めるか、認めないかは、一時的なもので、個人の見解の違いの集まりにすぎない。政権が交代すれば政府の見解も変わるのが普通だ(何度政権が変わっても村山談話に執着する日本の政府も思慮が足りないが、福田康夫前首相が辞めたことで北朝鮮が日本との合意を白紙にしたのも予想できたことである→世界各国は北朝鮮のトップが交代しようと核に関する合意は継承してほしいと言っている)。
文化勲章など、「国」からの評価を拒否する人がいるが、そういう人は自分が功労者であることも、アイヌが先住民族であることも、「国」から評価してもらわなくてもいいのだろう。
では、その「国」とは何か。たまたま、そのとき、永田町と霞が関で仕事をしている人たちだけが「国」ではない。日本国とは日本国民の集合体に全体のことであり、世代とともに変化している。
アイヌが先住民族だと「国」から認めてもらいたいなら、先住民族であることを周りの日本人に認めてもらって、それに相違する人を増やせばいいだけのことだ。
「国」の評価がないと嘆く人は、自分が「国」の一部だという自覚がないのだろうか。
では、その「国」とは何か。たまたま、そのとき、永田町と霞が関で仕事をしている人たちだけが「国」ではない。日本国とは日本国民の集合体に全体のことであり、世代とともに変化している。
アイヌが先住民族だと「国」から認めてもらいたいなら、先住民族であることを周りの日本人に認めてもらって、それに相違する人を増やせばいいだけのことだ。
「国」の評価がないと嘆く人は、自分が「国」の一部だという自覚がないのだろうか。
アイヌ語起源の地名は片假名で書こう
千島列島南部のクナシリ、ハボマイ、シコタン、エトロフはアイヌ語の地名であり、慣用の漢字はもとの意味と関係ない。「国後」は中国大陸で「国后」、または台湾などで「國後」となり、Guohou という似ても似つかぬ發音になる。北海道のアイヌ語地名は片假名で書いたほうがいい。
似た例として、例えば台湾の「高雄」は本来、*Takau のような地名で、シナ語音譯で「打狗」Dagou [takou] であったが、台湾が「大日本帝國臺灣地方」だったときに大和民族が「高雄」と表記、漢民族がこれを Gaoxiong と読み、Wade 式の Kaohsiung が世界で通称になってしまった。
満洲の「葛根廟」Gegen-miao もモンゴル語の gegeen(гэгээн:高貴な)から来ているが、日本人が漢字を「かっこんびょう」と読むと名前の意味がわからなくなる。
千島列島南部のクナシリ、ハボマイ、シコタン、エトロフはアイヌ語の地名であり、慣用の漢字はもとの意味と関係ない。「国後」は中国大陸で「国后」、または台湾などで「國後」となり、Guohou という似ても似つかぬ發音になる。北海道のアイヌ語地名は片假名で書いたほうがいい。
似た例として、例えば台湾の「高雄」は本来、*Takau のような地名で、シナ語音譯で「打狗」Dagou [takou] であったが、台湾が「大日本帝國臺灣地方」だったときに大和民族が「高雄」と表記、漢民族がこれを Gaoxiong と読み、Wade 式の Kaohsiung が世界で通称になってしまった。
満洲の「葛根廟」Gegen-miao もモンゴル語の gegeen(гэгээн:高貴な)から来ているが、日本人が漢字を「かっこんびょう」と読むと名前の意味がわからなくなる。
チベットについて補足
日本ではチベットを地図で示す場合、西蔵自治区だけが枠で圍まれ、あるいはほかと別の色になるが、本来は青海省や四川省西武もチベット民族居住区である。
だから、チベットが独立する場合、これらのチベット自治区外との分断をどうするかが問題になる。
これは沖縄が独立する場合、奄美大島が鹿児島県に含まれているので、奄美を鹿児島から切り離して道連れに沖縄国の一部にするかどうかという、問題とも似ている。
日本ではチベットを地図で示す場合、西蔵自治区だけが枠で圍まれ、あるいはほかと別の色になるが、本来は青海省や四川省西武もチベット民族居住区である。
だから、チベットが独立する場合、これらのチベット自治区外との分断をどうするかが問題になる。
これは沖縄が独立する場合、奄美大島が鹿児島県に含まれているので、奄美を鹿児島から切り離して道連れに沖縄国の一部にするかどうかという、問題とも似ている。