「EXPO2025 大阪・関西万博訪問記」その47〜4月26日編⑨日本館訪問 中編 | 「EXPO2025 大阪・関西万博訪問記」ありのまま生きてこう 自分を磨きながら

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「EXPO2025 大阪・関西万博訪問記」公開中!趣味の鉄道の話題を中心に、旅行記や生まれ育った東大阪、敬愛するロックシンガーソングライター・松阪晶子さんについてなど綴りたいと思います。

みなさんこんにちは。前回からの続きです。


4月13日(日曜日)に開幕した「2025年大阪・関西万博」。6度目となった4月26日(土曜日)の訪問記をお送りしています。



ただいま「日本館」を観覧中。楽しみにしていたパビリオンでした。

人間だけではありません。すべての動物や植物は、あらゆるモノは、そして社会でさえも、ひとつの役目を終える瞬間に何かが受け継がれ、カタチを変えながら新たな役目を獲得する、というつながりの中に存在します。


そんな「いのちといのちのあいだ」に目を向けてみると、この世界は無数の「小さな循環」によって成り立っていることに気づくはずです。日本館公式サイトより。

なかなか、深遠なテーマのように感じるのですが、循環、ということがメインに据えられていることに触れながら、歩を進めています。


さて、次のゾーンへと誘導されます。こちらはplant4。微生物の働きについての展示でした。



ひとくちに微生物、といってもわかりにくいもののように感じるのが正直なところですが、例えば、水槽に置かれたこのプラスチックの丼。



順序に沿って進んで行きますと、この丼が花の模様を残してきれいに分解されているではないですか。「生分解性プラスチック」だそう。

便利なプラスチック製品は大量に世の中に出回っていますが、なにより溶けませんし、魚が飲み込んだりするしと、そういった点で環境破壊を想起してしまうのですが。広く実用化出来るのかはさておき、これはいい素材ですね。



そして、微生物というと菌類。日本人には古くから馴染みあるものです。では、引き続きパビリオン公式サイトの解説から。

⽇本が誇る
隠れた料理⼈、
その名も麹菌

循環を支える微生物の世界を、そっとのぞいてみましょう。そこにいるのは、日本の食文化を支えてきた「麹菌」。おなじみの味の向こうに、歴史と神秘の物語が見えてきます。


グレーの壁をくり抜く形で設置された展示ケースの中に、線香花火のような形をしたオブジェが12個横並びに展示されている。それぞれのオブジェは色も形も異なる。オブジェの下には六角形のグラフのようなものが描かれている。


「日本の味」を作る、麹菌たちのミュージアム

ショーケースにずらりと並ぶ、繊細なオブジェ。線香花火のように見えたり、ひそやかに躍動しているように感じられたりするかもしれません。これらは、私たちの暮らしの中で使われている麹菌が持つさまざまな遺伝的特性、とりわけ「味」に関わりの深い特徴を色やかたちで表現したもの。



麹菌が持つ多様な個性のひとつが、食の恵みとなって日本の文化に根づいているのは、偶然の出会いと、先人たちの叡智の産物。眺めているだけで、たくさんの発見があるはずです。

ここは醤油や味噌を生み出した偉大な麹菌の世界を、美しいアートとして一望できるミュージアム。あの味を作っていたのはこの麹菌 ? そのうまみの正体は ? 大いなる恵みを生むちいさないのちを知ることで、日本の「味」の秘密が見えてきます。 




我々が日々接している麹菌ですが、拡大するとこのような形だったとは。おもしろいもの。

暮らしを変えた「発酵」という名の奇跡
醤油、味噌、日本酒、お酢、みりんなど、和食の代名詞のような食品の多くが、麹菌による「発酵」で作られます。「おいしい」と感じる理由は、麹菌が生み出す酵素のおかげ。

酵素は、でんぷんを甘みのもとになる糖へ、たんぱく質をうまみのもとになるアミノ酸に分解します。この作業がいわゆる「発酵」です。麹菌は「コウジカビ」とも呼ばれるカビの一種ですが、人体に有害な成分を生み出さず、かわりに、米・小麦・豆などからうまみや甘みなど、多彩な風味を引き出してくれます。


「発酵」と「腐敗」のメカニズムは、どちらも微生物による営みで、じつは全く同じもの。

発酵によって「おいしさ」を引き出すプロセスは、「腐らせる」こととは紙一重。先人たちの編み出した食の知恵は、絶妙そのものです。発酵調味料が広く使われる食文化は、自然に寄り添う日本らしい発想の究極的な姿といえるかも知れません。


なるほど、酒や味噌、醤油やみりんに焼酎…我々日本人の身の回りの食べ物は、微生物あっての食生活、食文化なのだということをあらためて痛感します。

昔の人々の知恵があってのことですが、もしこれらの働きを見つけられず、微生物由来の食品がなければ。日本の食文化はまったく異なるものになっていたでしょうね。感謝です。


では、微生物のプラントから先へ進みます。
「循環」のあいだで、水と対話するひととき
通路を抜け、その先を見上げると、視界いっぱいに大空が広がります。そこは日本館の中庭。

目の前には、太陽の光をたたえた巨大な水盤が現れます。生ごみから出発し、微生物の驚くべきチカラで生成されながら、Plant Areaをあなたとともに旅した水。浄化された水は、次のいのちのはじまりでもあります。


ごみさえ、恵みに変える。清らかな水に、限りないいのちの可能性を映して

円形の中庭に現れる、光をたたえた巨大な水盤。微生物のチカラを借りて純水に近いレベルまで浄化された水の、澄みきった姿です。


太陽と風にきらめく水面は、いのちを祝福しているかのよう。たたずんでいるだけで、澄み渡る水に心も癒やされるような、日本館の中心的な空間です。

ここにはただ、水盤があるばかり。
空へと抜ける円形の中庭は、循環の中心が持つ求心力を表し、あえて「空虚」に。あらゆる意味から自由になって、まっさらな水と向き合う場所になっています。


日没後には照明が灯され、揺らぐ光の演出によって、水面はまるで呼吸するようにも見えるはず。周囲を見渡せば、整然と立ち並ぶCLTの壁面と、循環を表した日本館全体の姿がそびえ立ちます。円でゆるやかにつながる人と人、それぞれのありかたを、水はただ穏やかに見守ってくれます。

中庭から空を見上げますと、見事になんにもありません。そして、あれだけにぎやかな会場の中にも関わらず、静寂の一帯。ほっとします。



ところで、この池を取り囲むように長い列が出来ているではないですか。

実はこれ、今回の大阪・関西万博の目玉のひとつ「火星の隕石」を観るためのもの。わたしももちろん並びますが。


火星にもかつて海は存在した?
2000年、南極・昭和基地から約350km離れた、やまと山脈で発見されたひとつの石。それは火星からの隕石でした。解析によって判明したさまざまな情報はいのちの起源を明らかにし、人類の未来予想図すら変えていくかもしれない。

現存する世界最大級の「火星の石」。その圧倒的な存在感に、あなたは何を感じるでしょう ?


発見! 火星でも水は循環する

白い壁に囲まれた空間。
左手の壁には大きな円形の黒いエリアがあり、その中には小さな白い点がランダムに配置されている。突き当たりの壁には、黒い展示ケースがはめこまれており、両手で持てるくらいの大きさの石が置かれている。




驚いたことに、壁面には10個ほどの破片が埋め込まれていて、触って良いとのこと。わたしの好きなやつです(^_^;)

石といえば石ですし、岩といえば岩…そのようなものなのかも知れません。先の千里万博ではアメリカ館に「月の石」が展示され、大人気だったのは有名な話しですが、しかしながら触れるだとは。貴重な体験をさせて頂けました。



さらにその奥に、これの母体が展示されていました。火星から隕石として飛来したものです。

所々に平面的で比較的平滑な黒い部分があり、それ以外の部分はぼこぼこして少し黄緑がかった濃いグレーのような色。重量はおよそ13kg、大きさはラグビーボールとほぼ同じ。一般に広く公開されるのは、日本館が初めてです。

火星由来の隕石がこの大きさのまま存在しているのは極めて珍しいケースといわれています。


落下地点が、地表の7割に及ぶ海ではなく氷に覆われた南極大陸だったこと、日本の観測隊の活動領域だったために発見・回収できたことなど奇跡のような偶然が重なり、私たちの前に出現します。

地球ではない星で生まれた石の、色、質感。はるかな宇宙の旅路を間近で感じられるよう、壁面には、直に触れることのできる10個の隕石のかけらも展示されます。



いやしかし、すごいものを目の前にしてるんやなあということには違いありません。こういった機会は、万博くらいしかありませんから。


次回に続きます。

今日はこんなところです。