「近鉄全線2日間フリーきっぷ」で巡る近鉄沿線道中記〜その56 | 「EXPO2025 大阪・関西万博訪問記」ありのまま生きてこう 自分を磨きながら

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「EXPO2025 大阪・関西万博訪問記」公開中!趣味の鉄道の話題を中心に、旅行記や生まれ育った東大阪、敬愛するロックシンガーソングライター・松阪晶子さんについてなど綴りたいと思います。

みなさんこんにちは。前回からの続きです。

今年6月に限定で発売された「近鉄全線2日間フリーきっぷ」で巡った、近鉄沿線乗り鉄道中記をお送りしています。



旅の第2日目(2023年6月14日)。

大阪・奈良を分かつ「生駒山」を奈良側から登る「近鉄生駒ケーブル」で、山頂の「生駒山上駅(奈良県生駒市)」に向かっています。グーグル地図より。



「宝山寺線」「山上線」という2路線で構成されている、このケーブルカー。


乗り換え駅の「宝山寺駅(同)」を出ると、すぐに薄暗く、ひんやりとしたトンネルに進入。すでに生駒の中腹、標高は300mを超えたところ。さらに上半分の300mを登って行きます。



ほどなく「梅屋敷駅(同)」に到着。
ケーブルカーとしては珍しい中間駅ですが、この駅、なかなかに興味深いものが車窓からも窺えました。


駅の宝山寺方には踏切があるのですが、よくよく観察すると、なんと簡易なつくりの踏み板!このようなものは、身近であまり見たことがありません。もちろん、クルマは通れません。


さらに、踏切自体にも遮断棒が見当たりません。


列車が接近すると、警報機だけが作動するという「第3種踏切」と呼ばれるもの。
いや、大阪近郊では珍しいものです。出典①。

遮断器がないということは、保安度は高くはありません。列車や人の往来が多くないところ、例えば、旅先の地方では見かけるものですが。


まわりに人家のようなものはまったくありませんので、降りる人も殆どないからでしょうか。ゆえ「山上線」の各駅は、それに沿う登山道でしかアクセス出来ないそうです。

いわゆる「秘境駅」になるのでしょうが、これが大阪(それもおらが街)に接するようなところにあったとは。今度は降りてみたいですね。


背景には、奈良側の大和盆地が広がります。景色は見入るほどに抜群です。奈良と京都の境あたりになりましょうか。


ところで、これの脇に気になる看板も見つけました。「生駒聖天(宝山寺)」へ案内を促しているもの。



あれ、宝山寺というと、先ほどまでうろうろしていたしていた「宝山寺駅」がその名の通り、最寄り駅のはずなのですが。


料理旅館やみやげ物屋が並ぶ本来の参道はくだんの「宝山寺駅」を出たところから延びているのですが、山を背にした本堂や奥の院、大師堂などは、登りかけたこちらの方が近いという。



線香の煙たなびく本堂。40年ほど前の出典ですが、令和の現在とは、雰囲気は同じなのだなと気づきます。お参りという大切な習慣というのは、時代が変わっても同じもの。出典②。


「梅屋敷駅」を出発。間断なく勾配が続く中、下り列車との行き違い地点に。動画でどうぞ↑



開け放しの窓からは、すこぶるいい風が入って来ます。見渡して一面はさらに緑濃く、すっかり旅気分になるのですが、行き違い中間地点のここで、起点の宝山寺から0.5km。

たった500m進んだだけですが、普段乗っているような感じとまったく異なる、実にゆったりとした時間の進み具合です。


下り列車、相棒の「スイート」とすれ違い。
バースデーケーキを模したものだそうですが、いちごのショートケーキでしょうか。好物なんですが(苦笑)しかし、本当に派手です。



行き違いの後も、草生した線路をさらに登って行きます。ここからは303パーミル(1000m進むごとに303m登る勾配)。

山を登り降りするのが本分のケーブルカーとしても、全国的にもかなりの部類の勾配に差し掛かりました。



続いて「霞ヶ丘駅(同)」に到着。

先ほど、通過した中間の行き違い地点をはさんで「梅屋敷駅」と対になるように設置されている駅ですが、やはりこちらにも人家の類はまったく見当たらず。



いちおう、日中は40分おきに上下列車はやっては来るのですが。
多客時に運行の「直行」なるノンストップ便は、通過扱いになる旨の案内が目につきます。


奥の大和盆地、その景色の見え方がこの短い時間でありながら、広々と変わったように思えます。生駒の山は、早くも7・8合目あたりです。


次回に続きます。

今日はこんなところです。


(出典①「一般社団法人 日本民営鉄道協会」ホームページ)

(出典②「カラーブックス637 近鉄線各駅停車1奈良・生駒線」徳永慶太郎著・保育社発行 昭和59年4月)