みなさんこんにちは。前回からの続きです。
今年6月に限定で発売された「近鉄全線2日間フリーきっぷ」で巡った、近鉄沿線乗り鉄道中記をお送りしています。
さて、この「西日野駅」が終点となっているのに線名は「八王子線」と実態と異なることになっているのは、かつてはこの先に存在していた「伊勢八王子駅」に由来していた…というところまで触れました。西日野駅前の案内板より。
この先の「西日野〜伊勢八王子駅間」は、1976(昭和51)年春に区間廃止されたというのですが、それについてはこちらの「四日市の昭和の鉄道」という、市立博物館が編纂した書籍に詳しくありました。ちょっと力をお借りします。

「八王子線」と、それから分岐する「内部線」が発着しているのは「近鉄四日市駅」です。
これは「四日市あすなろう鉄道」となった現在も同じですが、1974(昭和49)年6月の「名古屋駅」「湯の山線」高架化までは、このように地上駅に各路線が揃っていました。

気になるのが、改札を入ったところに並んでいるこの2編成の電車。
表紙から。左が「八王子ゆき」、右が「名古屋線」の列車。さながら大人と子どものよう。
決して遠近法ではないものです、というのは冗談として、ナローゲージという、軌道幅や車両規格がひときわ小さい「内部・八王子線」の特徴がひと目でわかるもの。しかし、すごい。
「日永駅」で「内部線」と分岐し、列車はこの「西日野駅」へ至ります。グーグル地図より。
そこにあったのが「旧・西日野駅」。
一面一線の駅ですが、実にローカル線らしい長閑な雰囲気です。昭和30年代でしょうか。
西に進行方向を変えた「八王子線」は、ここから「天白川(てんぱくがわ)」に沿っていました。
廃止区間、唯一の中間駅だった「室山駅」。
こちらも一面一線ですが、廃止区間にある四郷(よごう)地区の中心にあり、にぎわっていたようでした。川すれすれの駅と線路です。
そんな中の、1974(昭和49)年7月25日未明。「八王子線」の運命を左右する事態が起こります。
次回に続きます。
今日はこんなところです。
(出典「むかしのくらし読本4 四日市の昭和の鉄道」四日市市立博物館編・発行 2018年1月)