「近鉄全線2日間フリーきっぷ」で巡る近鉄沿線道中記2023〜その10 | 「EXPO2025 大阪・関西万博訪問記」ありのまま生きてこう 自分を磨きながら

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「EXPO2025 大阪・関西万博訪問記」公開中!趣味の鉄道の話題を中心に、旅行記や生まれ育った東大阪、敬愛するロックシンガーソングライター・松阪晶子さんについてなど綴りたいと思います。

みなさまこんにちは。前回からの続きです。

今年6月に限定で発売された「近鉄全線2日間フリーきっぷ」で巡った、近鉄沿線乗り鉄道中記をお送りしています。



旅の第1日目(2023年6月13日)。
「四日市あすなろう鉄道 あすなろう四日市駅(三重県四日市市)」にやって来ました。


折り返しに「内部ゆき」がやって来ました。

発車までしばらくあるというので、邪魔にならぬよう、あれこれ観察したいと思うのですが…



こうして見るとよくわかるのですが、車体の小ささに比して、屋根上のパンタグラフ(集電装置)のなんと大きなこと。西日野にて。

とは言えど、パンタの大きさは一般的な鉄道同様ですので、やはり車体の小振りさが目立ちます。その長さは15.6m、近鉄やJR在来線などの20、21m級と比べても、かなりの小規模。


車体が小さいとなると、必然的に車高も低くなります。

身長175cmのわたしだと、頭上まで延ばした手が容易く扉の鴨居につくほどでした(安全に十分配慮しています)。


今度は、ホーム先端にやって来ました。
近鉄電車の高架下の狭いスペースに、3両編成がぎりぎり停車出来るという味わいある雰囲気。

出発信号機と、ポイントの先に延びるのは細く、さらに普段見慣れているよりもかなり幅の狭い線路です。


我が国では、JR在来線や関東私鉄などが主に採用している「狭軌(1067mm)」が一般的に最も狭い軌道幅として知られていますが、実際はそれよりさらに小規模な規格の軌道幅、車両、設備で運行されている鉄道路線があります。

「四日市あすなろう鉄道」はそのひとつです。


この「四日市あすなろう鉄道」で用いられている軌道幅は「762mm(76cm2mm)」
新幹線や関西私鉄の「標準軌(1435mm)」のおよそ半分という、驚くべき狭い軌道幅です。



先ほど触れた「狭軌(1067mm)」より狭い軌道幅で旅客列車を運行している鉄道を「軽便鉄道(けいびん、けいべんてつどう)」と呼びます(「軽便=手軽に扱えて便利」の意)。

また同義で「ナローゲージ(narrow guage)」とか「特殊狭軌」などとも呼ばれています。この後、下車した日永にて。


先日までお送りしていた「箱根・小田原へ家族旅行」でも、フラグ?として取り上げました↑


ではここで、珍しいこの「軽便鉄道(ナローゲージ)」についてもう少し詳しく。出典①。



表紙になっていたのは「下津井電鉄(岡山県倉敷市)」。瀬戸内海を望む名物路線でした。

「瀬戸大橋開業」を存続の起爆剤に試みたものの、橋が開業した2年後の1990(平成2)年に廃止。平成まで残った稀有な「ナローゲージ」。



「軽便鉄道」は見た目通り、一般的な鉄道よりその規格を小さくすることで、建設費や維持費を抑える、沿線人口が少ないなど、大規模な需要がさほどなかった地域に鉄道を敷設するために考え出された「軽便な規格」の鉄道です。


古くは明治初期の鉱山鉄道にはじまり、以降、雨後の筍のごとく全国各地に路線があったと言いますが、モータリゼーションが進む中、規格が小さいがゆえ輸送力に支障が生じ、早くも昭和30年代から急速にその姿を消しました。




そんな中、1965(昭和40)年に合併で近鉄の一路線となったこの「四日市あすなろう鉄道」。

大手私鉄の一員となったこと、沿線の開発が進んだことから、奇跡的に令和の今日まで生き残った「ナローゲージ」として知られています。


しかし平成半ばに入り、さまざまな事情から路線存廃論議がなされる危機に直面します。

結果、近鉄の経営を離れて官民共有による「第三セクター」として生まれ変わり、全線存続に至りました。2015(平成27)年4月のことです。車両の持ち主は「四日市市」


社名の「四日市あすなろう鉄道」とは「四日市市内の鉄道路線」+「明日へ向かって走る」+「ナローゲージ」を合わせたものなのでした。

絶滅危惧種と言って良い「ナロー」の名前が入った、この路線最大の特徴がひと目でわかるもの。気に入ってゲットした「駅名キーホルダー」600円。


ところで「ナローゲージ(軽便鉄道)」は、いまや国内に3社・4路線しか現存していません。ひとつはこの「四日市あすなろう鉄道 内部・八王子線」


もうひとつは、四日市から10数キロ北上した桑名(くわな)を発着している「三岐鉄道 北勢線(さんぎてつどう ほくせいせん)」



こちらもやはり元々は近鉄路線で、存廃の危機に瀕したものの、古くからその南側を並走する「三岐鉄道」に譲り渡され、営業が続けられています。「西桑名」にて。



そして「黒部峡谷鉄道」
「立山黒部アルペンルート」の基幹ルートとして、また「トロッコ列車」で有名な路線ですがこちらも、軌道幅762mmの「ナローゲージ」。

ですが、観光のほかに発電事業(関西電力の100%子会社)、ダムの管理などに特化しているために、上の二例とは少し趣きは異なります。「黒部峡谷鉄道」ホームページより。


ところでわたしが以前、この路線に乗車したのは2000(平成12)年7月のこと。まだ近鉄時代でした。


ただ会社が変わってからは、車両や設備が大規模にリニューアルされ、装いがまったく変わったと耳にします。同じ場所から定点撮影。

奇跡的に令和の現在まで残った「ナローゲージ」ですが、これは20数年振りの乗り鉄が大変楽しみです。

次回に続きます。
今日はこんなところです。

(出典①「カラーブックス577 軽便鉄道」松本典久著・保育社刊 昭和57年8月発行)