みなさんこんにちは。前回からの続きです。
久々の家族旅行で、3月なかばに「箱根・小田原」を訪れた道中記をお送りしています。
あれこれ語りながらになりますが、宜しければどうぞお付き合いください。
前置きが長くなったのですが、いよいよ登山電車に乗り込むことにします。
列の先頭に並んでいましたので、容易く座れました。2000形という車両、運転台の真後ろにです。ちびっ子は目を輝かせています✨
それでは、最初の停車駅「塔ノ沢」に向かって13時26分、発車。出典①。
車掌さんの居る最後尾ですので、後方の展望をどうぞ↑「いまは最後尾」なんです!
しかし、のっけからすごい急坂を登って行きます。まるでケーブルカーに乗っているかのような錯覚を覚えるほどです。
先日の記事でも触れたのですが、箱根湯本駅を出てすぐのところからはじまる急勾配を登っています。いや、これは車中楽しみです。
次の「塔ノ沢駅(同)」を発車。
ゆっくりと、山深い道のりを進んで行きます。
それでは、この登山電車については…
旅日記では毎度登場するわたしの愛読書、全国47都道府県をテーマにしたシリーズもの、
「各駅停車全国歴史散歩15 神奈川県」(神奈川新聞社編 昭和55年2月初版発行 河出書房新社刊)から拾ってみることにします。
塔ノ沢駅を過ぎて間もなく「出山の鉄橋」を通過する。早川の渓流を見下ろすながめはまさに一幅の山水画。しゃべり疲れた観光客の目があたりの景色を追う。

ここで列車は「出山信号場」に到着。「信号所」というので駅ではなく、扉は開きません。


しばらく停車する中で、まわりの風景を観察していますと…先ほど通り過ぎた「出山の鉄橋」が眼下に見えました。

地図ですと、このような角度になりましょうか。鉄橋を渡りトンネルを抜けている間にも、かなりの勾配を登って来たことがわかるのですが、ここは登山電車では有名な「スイッチバック」。出典①。続きます。
次の大平台駅をはさんで前後に登山電車の目玉「スイッチバック」が三ヵ所ある。建設工事は"比類なき数々の困難を克服"(「箱根登山鉄道九十年史」)して完成したと言われているがこのスイッチバックもその克服手段の一つ。
急坂は登山電車の宿命だが、箱根湯本駅から強羅駅の8.9kmのうち半分の4.2kmが、1000分の80(80パーミル)という急勾配。

そのためいったん頭から信号所に突っ込んだ電車は、そのままバックするような形で進み、次の急坂をうなりを一段と高めて登って行く。
このスイッチバックのとき、運転手はかけ足で前向きになった方の運転席へ。ふだん都会では見慣れないのんびりした光景に、乗客の顔にほほえみが浮かぶ一瞬でもある。(後略)

これを、具体的に見てみましょう。箱根湯本からは、右側の線路でここまでやって来ました。
しかし、そのままでは登れないような急勾配がこの先にはあるために、平らに整地された、この「出山信号場」信号所にいったん停車。

列車の進行方向を替えて、左側の線路へ転線。そして、次の勾配を登って行く…という線路の敷き方を「スイッチバック方式」と呼びます。
このように、列車の進行方向を実に3回も変えながら、丹念に山を登り降りして行きます。
こんな風に直線でショートカットしたらええやん、などと思うのですが、そのようなことが出来ない急勾配が連続するという、この登山電車です。地図を見るだけでは、わからぬもの。
ちなみに、1000分の80勾配というのはどれくらいのものか。毎度おなじみ「フリー百科事典Wikipedia#箱根登山鉄道鉄道線」より。
先ほど通過した、箱根湯本駅を発車した直後のガードの様子。車両の前後の高さが、実に1m近く異なるというほどの勾配がそれ。すごい…

続いて「大平台駅(同)」に到着。①。
行き止まりになっていますが、ここも「スイッチバック」です。
このあたり、趣味的には大変興味深い線路の敷き方がなされています。強羅ゆきに乗っているわたしたちは、赤矢印のように進みます。グーグル地図より。
(出典①「Tourist map箱根観光地図」箱根DMA発行)