みなさんこんにちは。今日の話題です。


昨年10月から放送がはじまった、NHK朝の連続テレビ小説「舞いあがれ!」。
長崎・五島列島とともに、おらが街・東大阪がその舞台になっていた作品です。

3月31日に最終回を迎えたこのドラマ、気づいたこと、印象的だったことなどを毎週、取り上げて述べてみようという企みを、第1週からお送りしていました。
前週は第25週「未来を信じて」編。前後編はこちら↑
読売大阪朝刊特別版「よみほっと」2023(令和5)年3月26日付け 9面より。

それでは、第26週(最終週)「私たちの翼」編を3回に分け、振り返ることにいたします。
半年にわたった放送も、ついにフィナーレ。果たして、どのような結末になるのでしょうか。


主人公・梅津舞(福原遥さん)が歌人で夫の貴司(赤楚衛二さん)を、彼を短歌の道に導いた恩人・詩人の八木(ピース又吉直樹さん)が居る、フランス・パリへと送り出す…というところからはじまった、最終週でした。
貴司は、短歌をまったく詠めなくなるという、深刻なスランプに陥っていたのでした。


舞らが運営する企画会社「こんねくと」が業務提携したのは、近未来の乗り物「空飛ぶクルマ」の開発を進める「アビキル」。
舞が大学時代、情熱を注いだ人力飛行機サークル「なにわバードマン」の先輩・刈谷(高杉真宙さん)と玉本(細川岳さん)らが立ち上げたベンチャー企業でした。

先週、そして最終週は、まさにこの「アビキル」での専門的でメカニックな、開発シーンが中心に描かれました。さながら、ドキュメンタリーのように感じます。

さまざまな課題をひとつずつ解決しながら開発が進む中、飛行試験のデータを解析するという重要なタスクが浮き上がって来ます。
ただそれをこなせる、数字を解析出来る専門的な知識を持つメンバーがなかなか見つからず…



「心当たりがある」と舞が連れて来たのは、舞や刈谷らがかつて在籍した、浪速大学の学生で航空宇宙工学を専攻しているという、森重朝陽(渡邉葵さん)。



ひと目機体を見ただけで、その専門的な特徴を見抜く彼。

「惑星探索ドローンの研究をしている」という朝陽君。それならば機械工学には詳しいはず。
実は朝陽君は、実に久々の登場でした。

リーマンショックの影響でパイロットの内定を一年延期になり、長崎・五島列島の祖母・祥子(高畑淳子さん)の元に身を寄せていた舞。
その頃役場が試験的にはじめた、都会での生活に馴染めない子どもたちを五島で受け入れるという事業で、祥子の自宅にやって来たのが朝陽君(幼少期・又野暁仁さん)なのでした。


当時、航空学校を卒業したばかりの舞。学んだ知識や技術を失わぬように、管制交信のイメージトレーニングを欠かさなかったのですが…

舞のイメトレを、容易く諳んじていたのが他ならぬ朝陽君なのでした。
母の美知留(辻本みず希さん)曰く、興味関心あることには大変な記憶力を発揮するのだと。
気難しい朝陽も祥子や舞、当時、全国を放浪していた貴司らと知り合うことで、少しずつ心を拓きつつある描写がありました。彼も、空が大好きな少年なのでした。2009年。第12週より。

朝陽君も「空飛ぶクルマ」プロジェクトに協力してくれることに。余談ですがこの服、よく似ています。



開発が進むに連れて、次は屋外での飛行試験をするという段階に。

試験飛行の許可を貰うことも大変ではあるものの、型式証明(かたしきしょうめい)の取得をするためには遥かに大変なことだと、刈谷。



玉本らの説明で理解出来たのですが、なかなか難しいことのよう。人を乗せ、さらに空を飛ぶことですから、なおさらなのでしょうが…

そこで、またも舞が「アビキル」に招聘したのは、国内最大手の重工業メーカー・菱崎重工の部長、荒金(鶴見辰吾さん)。



これまで節目節目で登場した、主要な人物が次々再登場します。最終週ならではです。

荒金は、中小企業が航空機産業に参入するためのセミナーを通じて、舞や、母のめぐみ(永作博美さん)と面識がありました。
先代社長で舞の父・浩太(高橋克典さん)が急逝した直後のこと。第17週より。

荒金は、自分が新人時代に長崎に赴任した頃、上司だった浩太に大変世話になったと話していたのですが、その頃すでに、オール日本製の航空機を作るのだと、意気投合していたという言及をしていました。

頃合い良く?と言ってはなんなのですが、このような記事を見つけました。朝日大阪朝刊 2023年3月30日付け 3面(総合面)より。

菱崎重工のモデルになったであろう、三菱重工業が開発を進めていた「スペースジェット」。
「国産初のジェット旅客機」として期待されていましたが、さまざまな課題をクリア出来ずに開発が中止になったことは、これまでの報道にもあったのですが、経済産業省がその経緯を検証する方針…というもの。

開発を断念せざるを得なかった理由のひとつというのが、その「型式証明」なるもの。
詳しいことはともかくですが、国家レベルで進められていた事業が中止に追い込まれたほどのこと、ということがわかります。とかく、これをクリアするには相当にハードルの高いことのようです。

この時に荒金は、経営危機からようやく脱出しつつあった「株式会社IWAKURA」に、将来的に航空機部品製造に特化するつもりはないか、と社長を継いだばかりのめぐみに話しをしていました。

高い品質を求められる航空機部品。東大阪の町工場が持つ高い技術力を集結させられれば、実現もそう遠い話しではない、と。
ただこの時は、それに特化することはないとめぐみは荒金に返していました。
それから10年ほど経過したのが、最終週のこの世界線。「IWAKURA」では出来なかったことを舞の「こんねくと」が、そして「アビキル」が実現しようとしている。
それも、町工場の技術を結集して、です。

これは荒金のみならず、同士だった浩太にとって夢の実現への道のり、と言えましょうか。
朝陽君と荒金さん、舞がつないだふたりの人脈が、ここに来て活かされることになりました。

しかし、舞らが運営する「こんねくと」という企画会社は、コンサルタントやプロデュースの域にまで達していることがわかります。
顧客が求める、専門的技術を持つ人物を紹介するということも、立派な仕事内容のひとつなのだろうなと。人脈を持つだけでなく、それを双方向につなげることはなかなか出来ないことなのだろうなと、感じた次第です。

ところが、最終週はじまりのこの場面は、最初の緊急事態宣言が発令された頃。2020(令和2)年春のことでした。

開発を一日でも早く進めたい刈谷は、秋に有人フライトを実現させたいと意気込むのですが…



思えばこれは、3年前のことです。確かに、この頃は確かにそうでした。

計画の変更を余儀なくされ、気落ちする刈谷。舞は、このような言葉をかけます。


先ほどの朝陽君が、祖母・祥子の自宅にやって来た頃。

パイロットの内定が一年延期になり、不安ばかりだった舞に、このような労いの言葉をかけていた祥子。大事なことです。


しかし、身体の負担がきつくなったことから、東大阪でめぐみと暮らすことになった祥子。


ことあるごとに、舞に労いや、激励をして来た祥子。先の見えないコロナ禍が重なり、仲間が居る住み慣れた五島に帰りたいと、元気をなくしてついに本音を吐露してしまいます。

次回に続きます。
今日はこんなところです。