みなさんこんにちは。前回からの続きです。

3年振りに、今年は現地開催となった鉄道イベント「きんてつ鉄道まつり」。
会場の「五位堂検修車庫(奈良県香芝市)」の訪問記をお送りしています。

引き続き、会場内をうろうろとしているところです。事前予約制ということですが、人の多さはコロナ禍以前のようで、賑わいを感じます。
さて、こちらのグラウンドではクイズ大会が行われているようなのですが…

この方!近鉄の名物広報、福原さんではないですか。さまざまなメディアに出られていて、とかく話しがおもしろい方です。


以前の記事でも取り上げたことがありましたが
中川家の二人が司会の、NHKで放送されている「鉄オタ選手権」。2017(平成29)年放送。
ひとつの鉄道会社をピックアップして、マニアックな視点で掘り下げるという、毎回楽しみに拝見している、バラエティ番組です。

こちらの回にも登場されていました。
聞き耳を立てていますと、定年退職したので、もう元広報なんです、と言われていたのですが、今後もイベントごとでお話しを聞けるのを楽しみにしたいと思います。

中川家礼二さんいわく「我々とはずぶずぶの関係」なのだそうで。それも気になります(笑)

さて、再び正面入り口に戻って来ました。
いちばん目立つ場所に展示されているこの車両のことを、すっかり後回しにしていました。

丸っこい顔つきにやわらかい印象を受けます。

こちらで、屋根をかけられて大切に保存されているのは「1形電車」。
形式通り、現在の近鉄電車の母体となっている「大阪電気軌道(大軌)」が1914(大正3)年4 月に開業した際、製造された車両です。

例によって?じっくり観察してみるのですが、車両前面に取り付けられている、この波打った大きな網が、実に目を引きます。
「救助網(カウキャッチャー)」と呼ばれるもので、誤って線路上に侵入した人や物を救い上げるという役割がありました。

大軌もさることながら、明治後半から次々と開業した在阪五私鉄の多くは、路面電車規格としてその歴史ははじまりました。それゆえの装備ですが、今日ではなかなかイメージがつかない光景です。


そういったことで車両も、すでに開業していた市内電車を思わせるもの。集電装置は、屋根上の棒から電気を採るトロリーポールという、電車のそれでは、原始的な方法です。
これは、そのポールを引く紐を固定する装置。


この時に開業した大軌の路線は「近鉄奈良線」に当たります。大阪・奈良間を直線で結ぶべく府県境にそびえる「生駒山(いこまやま)」を当時としては長大なトンネルで抜ける、近代的な路線だったと言います。

側面へ。開業当時は1両編成で、客用扉は3枚。
ここに来てわかるのですが、木目が美しい車両です。車内はどのようなものなのでしょうか。

そういったことでここからは、手元の、
「ヤマケイ私鉄ハンドブック13 近鉄(廣田尚敬写真・吉川文夫解説・山と渓谷社発行 1984年7月)」から拾ってみることにします。

書籍が発行された約40年前、この由来ある車両は、沿線の「あやめ池遊園地(奈良市)」で保存されていたようです。すでに、もう閉園してしまいました。

車内の様子。車側同様に、車内も木製でした。
どことなく、暖かみを感じさせられます。

驚いたのが、座席と客用扉とのこの仕切り。
まるで、これは芸術作品です。おしゃれな。
さらにこの車両、最大の特徴というのがこの、丸みを帯びた正面の5枚窓。

車内、運転台を床下から天井を望む。この部分も、さながらアールデコ様式のようです。

日本に電気鉄道が次々と登場した黎明期の、貴重な遺産だと感じます。
しかし、5枚窓然り、なにからなにまで「繊細な芸術作品」を思わせるものです。

戦後も、昭和30年代後半まで活躍を続けたとのこと。このような電車に、一度は乗ってみたかったものだと思える、魅力的なものです。出典同。
次回に続きます。
今日はこんなところです。