開業100周年を迎えた「近鉄生駒線・旧東信貴鋼索線」を巡り信貴山へ その19 | 「EXPO2025 大阪・関西万博訪問記」ありのまま生きてこう 自分を磨きながら

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「EXPO2025 大阪・関西万博訪問記」公開中!趣味の鉄道の話題を中心に、旅行記や生まれ育った東大阪、敬愛するロックシンガーソングライター・松阪晶子さんについてなど綴りたいと思います。

みなさんこんにちは。前回からの続きです。

今年5月で開業から100周年を迎えた「近鉄生駒線・旧東信貴鋼索線」。


大阪・奈良府県境を成し、古くから霊峰として崇められていた「信貴山(しぎさん)」へ向かった鉄道網にまつわる歴史に触れるべく、現地を巡った訪問記をお送りしています。



ただいま「近鉄生駒線(いこません)信貴山下駅(奈良県生駒郡三郷町)」。
前身の「信貴生駒電鉄」が建設した「生駒線」と信貴山へ登る「東信貴鋼索線」、その麓側の接続駅でした。



開業以来70年あまり、信貴山を登り下りしていたケーブルカー。その車両が、この駅前に保存されています。
これを見に来るのが目的のひとつでした。


1983(昭和58)年8月の廃止後、近隣の小学校で大切に保存されていたのですが、この度、クラウドファンディングやふるさと納税を活用して、馴染みのこの駅前に戻って来たのでした。
「さとふる」ホームページより。


それでは、早速美しく整備された車両を拝見することにします。こちらは麓側の運転台。箱型に、金太郎塗りのかわいらしい顔つきです。




そして、山側の運転台。顔つきが異なるのが特徴的です。窓が大きく取られているので、明るい車内だったのではないかと感じます。


側面から。やはりケーブルカー、展示台も傾斜がつけられています。しかし、他のそれよりはどことなく、角度は緩いようにも思われます。


ところで、わたしにとってケーブルカーというと、馴染みがあるのは初詣の時にいつも乗る「京阪電車 石清水八幡宮参道ケーブル」。「八幡宮口(京都府八幡市)」にて。



こちらももちろん山に登るのですが、駅を出ると結構な急勾配です。車両もそれに合わせて前と後ではかなり段差があるので、ケーブルカーと一口に言っても、それぞれでかなり差異があるのだなと感じた次第です。余談でした。



休日を中心に、車内を見学することが出来るということですが、この日は平日。フェンス外からの観察になりますが、それでも十分です。


しかし、箱型の車体に、あちこちに打ち付けられているリベット。いかにも古い車両という感じで、これは趣味的にはたまりません。

ちなみに製造は1933(昭和8)年、大阪・藤永田(ふじながた)造船所(→三井造船→現在の三井E&Sホールディングス)という、戦前・戦中に主に軍艦を建造していたメーカーによるものだとのこと。


先頭側の側面窓(右側)には二本の保護棒。
戸袋(とぶくろ、扉を収納するスペース)の二重窓になっているので、走行中のガラス破損を防ぐためのものですが、最近の車両では見られないもの。扉脇の手すりも味わいがあります。




床下も興味深いですね。ケーブルカーの床下などそうそう見られる機会はありませんし…



円形状のバッファ(衝緩具)があるのも昔ながらです。万が一、他の車両と接触せざるを得ない場合、これで衝突の衝撃を和らげる役割を果たします。今日のような保安装置がなかった頃の車両装備ならではです。


詳しい路線解説もありました。




わたしの寄り道ばかりの話しより、こちらを読んで頂いた方がよほどわかりやすい(笑)

廃線後は「信貴山下駅」のある「三郷町」が設備や車両を譲り受け、活用して来た…というくだり。「信貴山参拝」という、昔からの歴史を大切にされて来た、その取り組みのひとつだったことがわかりました。


気になるのは、廃線跡の現況です。
「信貴山下駅」には、このケーブルカー車両と解体された相棒の、車両器具の展示。


駅を出発してからしばらくの廃線跡は、生活道路に転用。急勾配は急勾配なのですが、人が歩けてクルマも走れる道へと化しています。


道路の先は県立高校の敷地になり、そこから山上の「信貴山駅(同)」までは「遊歩道」になっているのだとのこと。廃線から40年弱経過しますが、きちんと整備されているのですね。


貴重な、戦前から活躍したケーブルカー車両。

かつて自身が行き来した馴染みの場所に戻り、さらに屋根もつけられてと、保存車両としては

最高な条件に思います。

大切に保存されてほしいと感じるところです。



それでは、ケーブルカーが通った道のりをたどりながら、いよいよ「信貴山」へ登ることにします。歩きではありませんが(笑)


次回に続きます。

今日はこんなところです。