みなさんこんにちは。前回からの続きです。
「大阪府立図書館(大阪府東大阪市)」1階のロビーで、本日まで行われる「鉄道車輛の塗色の魅力とその変遷ー大阪府立図書館の近郊を走る近鉄・大阪メトロ車輛を中心にー」という、企画展示を拝見しに来た際の様子をお送りしています。

数々の近鉄電車の写真や「スタフ」と呼ばれる、独特な運転士用時刻表など貴重な展示が続くのですが、こちらの展示もまた実に目を惹くものでした。

こちらは近鉄特急、殊に運転室内で使用されていたという運転関係機器類。ライトブルー色で統一されているのがその特徴とのことですが、どんなものがあるのでしょうか。

まずは、こちらは車内放送機器。車内放送用のマイクとアンプなどですが、気になるのはこれほどのものをよく揃えられたなあという感を受けます。

その隣に展示されているのは、車内放送用チャイムの増幅器(手前)とドアスイッチ(奥)。やはり、水色で統一されています。

「近鉄特急の車内チャイム」は現在では自動放送で流れるようになっていまして、駅ごとにメロディが異なり、かつてはその音源がCD化されるほどの種類の多さが大きな特徴です。
こちらは自動放送化される以前のもので「♪チャラララ、ラン~チャラララ、ラン♪」という、全車両で統一されたメロディが鳴るものです。
ここでは実際にそのメロディは聞けませんが、それを思い出すと懐かしい気分になります。

続いて、その隣にあるのは「行先表示器」の「指令器」。

先頭車両の中央部に設けられた行先を表示する表示器に、その表示を指令するための機器です。ダイヤルを随意の駅名に合わせると幕が回って、その駅名が表示される仕組みになっています。
広大な路線網を誇る近鉄特急、さすがに多方面の駅名の設定が見られます。
おなじみ「難波」や「上本町」、「名古屋」「鳥羽」「賢島」などの表記を見つけるのですが、その中には「生駒(奈良県生駒市)」や「天理(同天理市)」、「白子(三重県鈴鹿市)」など、普段はなかなか見られない駅のコマも設定されているのが興味深いものです。

同じ展示スペースには、駅名を大きく記したプラスチック製の「行先板」もありました。こちらは「鳥羽(三重県鳥羽市)」。

先ほどの行先表示器を設置していない車両の場合では、こちらの行先板を差し替えていました。先ほども触れましたが、近鉄特急にはさまざまな行き先が設定されているので、こちらにも多くの種類があったことが窺えます。
右下にある「56.6」というのは「昭和56年6月に使用開始された」ということの表記でしょうか。

こちらは「ブレーキ弁」と「ブレーキハンドル」のセット。
左下は「レバーサー」と呼ばれる、編成の進む方向を切り替えるためのハンドルです。こちらもまた貴重なものです。

「運転室に入れる」ということはそうそうありませんので、当然、こういった機器類を間近で見られる機会というのは貴重です。思っていたよりも大きいのものなのだなと感じます。

ハンドルを左へ押すとブレーキは緩解し、右へ引くと逆にブレーキがかかる仕組みになっています。「抜き取り」「非常」「直通」「弛」などと、ブレーキの利き方の表記もなされているのも興味深いものです。

展示されているショーケースの反対側に回ってみますと、ブレーキハンドルを差し込むブレーキ弁の裏側には「18401」の文字を発見。
「大阪万博」を控えた昭和44(1969)年から製造された「18400系」という形式で使用されていたもののようです。
こういったものを見つけるのも楽しいものです。

他にも、こちらは車内で掲示されている車番板。
車内の端っこを観察していると必ず見つけることの出来るものです。

それから、こちらにも思わず目が行ってしまいます。

黄色の5桁の数字が記されたプレートは「車外番号板」。
赤色のものは、妻面(つまめん、車両の端部)に取り付けられた「自重板(じじゅうばん、じじゅういた)」と呼ばれるものです。

「自重板」の方は、取り付けられているその車両の「形式」「定員」「自重」を示したもの。赤色のものは「通勤車両」で使用されていたものです。
これらの表記の上には、近鉄の社章もあしらわれています。

そして、こちらは「車外番号板」。廃車になった車両から切り抜かれた「ナンバープレート」です。「12000系」という、昭和43(1967)年から大量に製造が開始され「近鉄特急」の標準車体となった車両だと言います。
こうして拝見しますと、迫力があります。
いや、しかし貴重な鉄道部品の数々…思わず圧倒されてしまいます。
次回に続きます。
今日はこんなところです。