今月はじめ、宮城・岩手両県にまたがるJR線の未乗区間を乗り鉄した際の様子をシリーズでお送りしています。

気仙沼線(けせんぬません)の柳津駅(宮城県登米市津山町)から乗り込んだ同線のBRT(Bus Rail Transit、バス高速輸送システム)で、途中の「本吉駅(もとよしえき、同気仙沼市)」に到着。ここで途中下車します。
また、雨が強くなって来たように感じます。

本吉駅駅舎です。駅前は広く取られており、鉄道代替として運行されているこのBRTもここで十分、向きを変えることが出来るほどでした。

この本吉駅ですが、太平洋岸を走る気仙沼線の中でも、少し内陸に入ったところに位置している駅です。鉄路があった頃、また、気仙沼市と合併する前には、本吉町の中心駅としての役割を果たしていたとのこと。

駅舎に入ってみます。乗車して来たBRTはほどなく気仙沼へ向けて出発して行きました。次の便まで、駅の周辺を散策してみることにしました。
そういえば、まだ昼食を摂っていませんでした。
幸い、駅前にデイリーヤマザキのお店があったので、そこで昼食を確保することが出来ました。よかったです。

昼食を駅舎内で頂きました。
「きっぷ売場」と、かつてこの駅に列車が発着していた頃の様子そのままになっているようですが、営業日、営業時間は限られているようです。
実質、鉄道の代替えとして運行されているBRT、ここまでの車中でも通学で高校生がたくさん乗り込んで来たりしていたので、こういった窓口営業は必須なのですね。

改札を入りますと、かつての駅施設が、かなり原型に近い形で残存しているようです。


階段は、構内踏切があった時代のものでしょうか。
「もとよし」と、ホーム上には駅名標もそのまま残されています。

それでは、残された旧・本吉駅の様子をご覧頂きたいと思います。



気仙沼方面の列車が発着していた線路、ホーム。
レールのみが撤去され、線路内の標識などはそのまま残っています。


こちらは、先ほどからやって来た柳津・前谷地・小牛田方面へ向かっていた列車が発着していたホーム跡。

こちらもレールは撤去され、背の高い草で先は覆われていました。
もう列車は来ないのかと、一抹の寂しさのようなものを感じます。


かつては、このシーズンなどには海水浴客が利用していたのでしょうね。




ホーム上には「本吉」と、駅名標が残されてはいるのもの、そこかしこに草が生えている光景を見るにつけ、運転休止から6年あまりという年月を感じさせられます。

今度はホームの反対側、つまり気仙沼方面への列車が発着していたホームを
観察してみます。


色褪せたベンチがそのまま残されています。


ここから駅名標がはっきりと見えました。まだ新しいようにも感じます。

一方、ホームの柳津・前谷地方を見てみますと…

ホームは途中で途切れ、その先はアスファルトで舗装された道路です。

その境界は、ちょうどこのような感じでした。


この駅から柳津・前谷地方面の線路は「BRT専用道路」として整備されています。実はこの駅だけとは言わず、かつての線路跡を、このように専用道路として改良し、一般道と合わせてBRTは運行されています。
柳津駅を出る際に、このBRTを「JR全線完乗の範疇に納めるか否かと思案した」という話を先日の記事で述べたのですが、そうした判断は、この「かつての線路跡を活用している」という点で、より強く確信しました。

ところで、このBRT・本吉駅には、このように専用の乗り場が設けられているのですが、ここへやって来たのは地道経由でした。

よくよく見ますと、乗り場へのアプローチ部分には仮設の柵が設けられています。これでは使用出来ないですね。

駅の待合室には、BRT専用道の舗装修繕工事…という、この告知がありました。普段はこの本吉駅への進入には専用道を使用しているようですが、まだまだ発展途上な様子がわかります。

柳津駅同様、待合に掲げられていた時刻表や運賃表などは、鉄道のものと相違のないものでした。気仙沼まではもうすぐのところです。

各駅(各停留所)には、このように「バス接近」のモニター案内も設けられているなど、BRTというのは便利なシステムだと感じます。

先ほど、BRTに乗車する前、柳津駅の案内所で頂いた時刻表ですが…
BRTが運行されている、柳津~本吉~気仙沼間でも、この先の気仙沼までの区間ではその本数は倍になっています。つまり、本吉~気仙沼間折り返しの便が設定されている、ということがこの時刻表からわかるのですが…

ここから乗車するのは、その気仙沼からの折り返し便でした。
少し遅れていたようで、運転士さんは大変だと思われます。


近代的なBRTに取って替わられた、もう鉄路の来ない「本吉駅」。
複雑な気持ちで、この本吉を後にした次第です。

ここから気仙沼までは30分ほど、引き続いて太平洋岸に沿って走ります。
次回に続きます。
今日はこんなところです。