「ガチャコンまつり2017」と近江鉄道・信楽高原鉄道を巡る日帰りの旅 その8 | 「EXPO2025 大阪・関西万博訪問記」ありのまま生きてこう 自分を磨きながら

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「EXPO2025 大阪・関西万博訪問記」公開中!趣味の鉄道の話題を中心に、旅行記や生まれ育った東大阪、敬愛するロックシンガーソングライター・松阪晶子さんについてなど綴りたいと思います。

みなさんこんにちは。前回からの続きです。
年に一度の鉄道イベント「ガチャコンまつり2017」をあとに、滋賀・近江平野を走る、近江鉄道の乗り鉄(あわよくば全線完乗!)をしています。

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JR線と接続している「彦根駅(滋賀県彦根市)」をあとに、10分ほどで到着したのがこの「高宮駅(たかみやえき、同)」。

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この駅からは「多賀線(たがせん)」が分岐しています。
わずか2駅の短い支線なのですが、終着の「多賀大社前駅」の近くには、その名の通り古くから有名な「多賀大社」があるという路線です。

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ほどなく出発。田園地帯の中をのんびりと走ります。

では、この多賀線については…

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当ブログでも幾度か取り上げたことがありますが、わたしの旅の愛読書、
「各駅停車全国歴史散歩26 滋賀県」
(京都新聞滋賀本社編 河出書房新社刊 昭和56年8月初版 絶版)
から拾ってみたいと思います。

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宿場と多賀大社の町 高宮・多賀

車で変わる御代参街道
 高宮にくると、もう彦根市だ。ここには、近江鉄道の駅として彦根口・鳥居本などがある。高宮は、十返舎一句の「続東海道中膝栗毛」に登場する宿場だ。麻布織物の集散地でもにぎわった。多賀線との分岐点のため、構内は大きいがいまは使用していない貨物専用線のレールが真っ赤にさびついているさまがこの駅の現状を端的に物語っている。
 電車のゴットン、ガッタンの音を聞いて五分で多賀につく。単線運転で車掌さんもいないワンマン電車の日中の車内は閑散としている。車窓の左右にはビール、タイヤ工場が並び、お多賀さんの参拝客で混雑した駅も、一風変わったキリン係、住友係という担当が生まれる貨物輸送が主力になった。

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さて、空いていることをいいことにまた車内を探索。
こちらの「非常用スイッチ」、こちらも西武時代のままなのでしょうか。
プレートの字体、アナログなスイッチなどにレトロな雰囲気を感じます。

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そうしている間に、終点の「多賀大社駅」(同犬上郡多賀町)に到着。
ですがこの駅の構内…

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この多賀線、短い支線なのにも関わらず、この駅には2線のほかに、降車専用のホームまで設けられています。

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しかし、いまは使用されていないのでしょうか。先ほどの高宮駅を思わせる、草生した構内の情景が印象に残ります。かつては、多賀大社への参拝客が大挙して、この近江鉄道で押し寄せていたのでしょうね。

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無人駅でした。改札を抜けると、ちょうど昼の12時を指したところで、遠くからサイレンの音が聞こえて来ました。

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折り返しまで時間があるので、併設されていた観光案内所をのぞいてみることにします。なかなか、にぎやかな感じもしますが…

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ちょ、これは…なかなか、どきっとさせられるツアー?ですね。

多賀大社周辺に点在する、地獄をテーマにした寺社仏閣を巡って厄除けをするというものだそうですが、パッと見て、あの別府の「地獄巡り」を想起してしまいました。

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駅名にもある「多賀大社」は、駅から少し離れたところにあります。
案内所の方に確認するのですが、歩いて15分くらいです、とのこと。

参拝して、往復して…となると、折り返しに間に合いそうにないので、参拝は残念ながら断念することに。

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その多賀大社を模したものでしょうか、駅舎は立派なものでした。
西武カラーの「湖国バス」のマイクロバスがいいアクセントですね。

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この「多賀大社前駅」の駅前には、大鳥居がどんと鎮座していました。
これはなかなか大きい部類のものですね。

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 多賀駅の前に大きな鳥居が立っている。三つの鳥居のうちの一つ。昔なら鳥居をくぐって参拝したが、このごろならマイカーだから、玄関口を通らない。参道である所にみやげもの店が軒をつらねていた。しかし、国道筋から通じる道路にも新しい店が並び御代参街道(おだいさんかいどう、後述します)の昔から車で参る移り変わりが、店のたたずまいからもよくわかる。

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さて、こちらは駅舎内の観光案内所なのですが…
そして、ちょっと気になる名文句?です。これについても続いてどうぞ。

年間三○○万人の信者
「お伊勢参らばお多賀へ参れ、お伊勢お多賀の子でござる」
と歌われる多賀大社は、伊勢神宮の両親(注釈・伊勢神宮の祭神は天照大御神)に当たる伊邪那岐(いざなぎ)、伊邪那美(いざなみ)の二神をまつっている。(中略)延命長寿と縁結びの神として、いまも文字通りの老若男女が年間三○○万人お参りする。全国の信者は多賀講一二万人、県内の豊講二万五○○○人など、信者は一八万人をくだらない。

この多賀講は、甲賀の薬売りたちが延命長寿の神徳を絵解きしながら全国を売り歩いたことから、多賀の名が知られ、組織的な講に発展した。
代参ブームの江戸時代には火災にあい、その都度再建されて今日に及んでいるが、本殿と拝殿は昭和七年の再建と新しい。(中略)

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病気治すお多賀杓子
 多賀大社のお守りが「お多賀杓子」である。おたまじゃくしの語源となったこのお守りは、養老年間、天皇が病いにかかり、斎火で強飯をたき、神山の̪シデの木でつくった杓子を添えて祈願したところ、病いが治った故事からだ。無病息災のお守りがちょうど頭でっかちの「オタマジャクシ」にそっくりなため、なまってオタマジャクシと。(中略)

 近江鉄道高宮ー多賀間は大正三年、開通するとともに参拝客はどっとふえ電車は満員のこみ合いだった。この参拝の足もわずか十余年前からクルマ社会の流れに巻き込まれ、玄関口を変えるほどだ。しかし、御代参街道に沿って敷設された近江鉄道のルーツをたどりながらのお多賀さん参りは、スゴロクの上がりのような満足を与えるのだった。(P174-175)

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この「多賀大社詣で」は、江戸時代に全国的に大流行した「お伊勢参り」と同様に(多賀大社の祭神が「伊勢神宮の祭神(天照大御神)の両親」に当たるということもあってでしょうか)、ご利益を得ようと多くの人々がここに参拝して来たようです(ですが、この「多賀駅」とした大正3(1914)年に開業したこの駅が「多賀大社前駅」と改称されたのは、意外にも最近の平成10(1998)年とのこと)。

では、庶民の夢だったその「お多賀参り」についてさらに探ってみます。

お多賀参りの街道筋
 お伊勢さんとお多賀さん参りのため全国から集まってきた参拝客が通る道を御代参街道(おだいさんかいどう)と呼んだ。いまでいうグループで金を出し合い、年番で伊勢参拝する伊勢講は代参さんの名残である。その代参はお伊勢さんの両親をまつる多賀大社にも行った。江戸時代から全国に流行した伊勢から多賀までの代参の道は滋賀県内で三重県境に近い土山(つちやま、現在の甲賀市土山町)から峠を越えて、日野、八日市、小幡(おばた、現在の東近江市五箇荘付近)から中山道へはいる道をとった。この道が御代参街道である。別に市場道ともいい、商人の道でもあった。近江鉄道は湖東平野に御代参街道のあとをなぞるように、明治三三年、全線開通した。
(後略 P160)

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さて、駅舎横の観光案内所を続いて拝見しています。

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あれ、どこかで見たことのある?「多賀町出身!」とありますが…

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現在、パ・リーグ首位を快走している「東北楽天ゴールデンイーグルス」のエース、則本昂大(のりもと・たかひろ)投手の出身地が、ここ多賀町なのだそうです。今年は、ホークス戦でもさんざんやられています(笑)

その則本投手、今年はまさに「記録ラッシュ」で、登板する試合での「二桁奪三振の連続記録」が殊に注目されています。ここに飾ってあった京都新聞の記事は、その「7試合連続」の試合のものでした。

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この記録、何がすごいのかというと、トルネード投法で一世を風靡し、平成初期のパ・リーグの強打者たちからバッタバッタと三振を奪った、「ドクターK」と呼ばれたあの野茂英雄さん(当時、近鉄)を上回る記録だから(だと、当時野茂さんをリアルタイムで見ていたわたしは思っています)。

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読売大阪朝刊 平成29年6月2日(左)・9日(右)付け スポーツ面より。

結局、この「連続二桁奪三振記録」は今月8日、対DeNA戦の「8戦連続」で途切れたのですが、いずれにしてもこれは容易には破られないであろう、大変な記録だと思われます。
今年はホークスがいくら連勝してもイーグルスが負けないので、一向に差が縮まらないのは、この則本投手の活躍ということも間違いないでしょうね。

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今年はWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)大会にも出場し、一気に「地元の英雄」に上りつめた則本投手、ちなみに現在は「プロ野球滋賀県人会副会長」も務めているのだそうです(会長はソフトバンク・松田宣浩選手、草津市出身)。
ちなみに、「県人会」はどのような活動をしているのか、気になりますが…

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さて、ホームに停車している折り返しの高宮ゆきです。
すでにその扉は開放されていました。

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ちょっと早いのですが、陽射しが暑いので冷房の効いた車内で待機することにしました。暑くなる時期になると、こういった瞬間はたまりませんね。

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いや、なかなか奥の深い「多賀町」という印象を深く受けました。
機会を設けて、今度はゆっくりと訪問してみたいと思います。

再び、高宮駅へと戻って来ました。
次回に続きます。
今日はこんなところです。