鉄道コレクション 「近畿日本鉄道(近鉄)900系 冷房車2両セット」を手元にあれこれ語る | 「EXPO2025 大阪・関西万博訪問記」ありのまま生きてこう 自分を磨きながら

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「EXPO2025 大阪・関西万博訪問記」公開中!趣味の鉄道の話題を中心に、旅行記や生まれ育った東大阪、敬愛するロックシンガーソングライター・松阪晶子さんについてなど綴りたいと思います。

みなさんこんにちは。今日の話題です。

先日より、トミーテックから発売されている鉄道模型シリーズ「鉄道コレクション」の新製品について取り上げています。
 
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そういうことで、先月末に発売されたこの「近畿日本鉄道(近鉄)900系 冷房車2両セット」についてあれこれ観察したいと思うのですが、調べてみますと実はおらが街・東大阪に関連することもあるようです。今日もよろしければどうぞおつきあいください。
 
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2両セットの内容です。900系、902号車と951号車という組み合わせです。
 
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同じ先頭車両ではあるのですが、正面貫通扉の幌つき(朱色、左側)・幌なしの差で顔相がだいぶ異なるという印象を受けます。こまめな増解結が多い近鉄では編成の中に運転台付きの車両が複数、組み込まれるケースが多く見られます。
 
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運転台側の側面です。この朱色とベージュ塗装の組み合わせは、近鉄電車が走る地元に住むわたしとしては幼いころから見慣れたものです。また客用扉などの幅に比して、履いている台車がひときわ大型に感じられます。
 
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近鉄の車両は系列の近畿車輛(本社工場・大阪府東大阪市)で製造されているのですが、こちらの台車はその近畿車輛が、スイスの鉄道車両メーカーと技術提携して開発したというシュリーレン式台車と呼ばれるものです。
昭和30年代前半にはすでに実用化されていた高性能台車で、改良されながら現在でも近鉄電車の多くの車両で見られます。
 
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続いてこちらは連結面側。下枠交差型と呼ばれるパンタグラフが設置されている左側の車両、その妻面(つまめん、運転台と反対側の連結部分)部の複雑な配線も、しっかりと再現されています。
 
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ところでパッケージ裏面の解説を読んでみますと、この900系という形式について、
 
 奈良線の輸送力増強、近代化のために1961年に登場
 奈良線初の4扉、車体幅2800mm
 
というくだりがありました。では、そのあたりの経過について簡単に探ってみたいと思います。
 
近鉄奈良線は、布施駅(ふせえき、大阪府東大阪市)と近鉄奈良駅(奈良市)とを結ぶ路線で、大阪・奈良間の主要な鉄道路線のひとつです。列車の運転系統としては大阪難波駅(おおさかなんばえき、大阪市中央区)から近鉄奈良駅の間が近鉄奈良線とされているのですが、大阪難波駅から先では阪神電車に乗り入れ、尼崎・神戸三宮方面への直通列車が設定されるなど、近鉄路線網でも重要な幹線として位置づけられているものです。
 
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大阪周辺の地図、中央の赤線が近鉄奈良線。途中で生駒山を越えている。
 
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さらに、府県境を拡大したもの。朱色は奈良線、新生駒トンネル。黄色はけいはんな線、二代目・生駒トンネル。
大阪側(石切、いしきり)は東大阪市、奈良側(生駒)は生駒市が所在地。
 
さまざまな鉄道会社の合併を繰り返して誕生した現在の近鉄の一母体、大阪電気軌道(大軌)の手によって大正期に開業したのですが、大阪・奈良間を高速、直線で結ぶべく、府県境にそびえる生駒山(いこまやま)を当時としては破格の長大なトンネルで抜けていました。
 
現在まで存在した、生駒山を貫く鉄道トンネルは3つが挙げられます。年代順に、
 
  初代・生駒トンネル(大正3年開通、全長3.388m)
  新生駒トンネル(昭和39年開通、全長3.494m)
  二代目・生駒トンネル(昭和61年開通、全長4.737m) です。
 
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新生駒トンネルを抜け、難波へと向かう快速急行。
初代・生駒トンネルの大阪側開口部はこの左奥付近に存在していた。石切にて。
 
難工事の末、完成した初代・生駒トンネルだったのですが、大正期の規格であるがゆえに車両やトンネルを含む建築限界が小型で、急速に増大する輸送需要に追いつかなくなったため、その南側に新生駒トンネルをあらたに掘削、昭和39(1964)年の完成を以って新トンネルの使用を開始し、奈良線全線で大型車両の運用が可能になったのですが、その3年前に登場したのがこの900系で、奈良線の車両規格は以降、この形式を基準にすることになったという経緯があったそうです(登場から新生駒トンネル開通までの間は、奈良線の大阪側区間で使用されていたとのこと)。
 
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二代目・生駒トンネルの大阪側開口部。この先、目の前にそびえる生駒山を越えて奈良県に至る。
近鉄けいはんな線 新石切~生駒間にて。
ちなみに二代目・生駒トンネルは、奈良線の北側を走る近鉄けいはんな線のもので、奈良側(生駒側)の数百メートルで初代・生駒トンネルの廃線跡を使用し建設されたものです。
 
二代目・生駒トンネル(けいはんな線生駒トンネル)についてはこちらもどうぞ↓
当ブログ
「近鉄けいはんな線 開業30周年を迎えて~その4」(2016年10月14日アップ)
 
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現在の奈良線の礎を築いた存在だったという、この900系でした。
また、自分の住む地元にまつわるトンネルにも、その出自の一由来があったことに驚きです(ただし、同じ市内でもいちばん東側の石切にはあまり行かないところなのですが…)。
 
おつきあいくださりありがとうございました。
今日はこんなところです。