
先日、先行発売された人気の鉄道模型シリーズ「鉄道コレクション 京阪電車2600系A・Bセット」(トミーテック)をいろいろと細見してみようかという企画なのですが、本題に入る前にこの「2600系」という形式について実車をみながらあれこれと取り上げています。

昭和53(1978)年から登場したこの「2600系」、すでに登場から40年近い年月を経ているのですが、ここからは平成20年代に入って以降、個人的に記憶に残っている「2600系の一場面」についてさらに掘り下げてみたいと思います。

鮮やかな、印象に残るデザインの「直通通勤快急 おりひめ」ヘッドマークを掲出した「2600系」。枚方市5番線にて。

京阪本線の中間地点でもある「枚方市駅(ひらかたしえき、大阪府枚方市)」からは、南東方向の生駒山地へ向かって「交野線(かたのせん)」という路線が分岐しています。長年、沿線でのどかな田園風景が広がるという風景があちこちで見られたのですが、昭和末頃から平成初期にかけては急激に沿線の開発が進み、現在ではすっかり「通勤・通学路線」と化しています。
それと時を同じくして上の地図、右上から下へと走っている「JR学研都市線(片町線)」で全線電化(平成元年)、新型車両207系の投入(平成3年以降)、「JR東西線」の開業・直通運転の開始(平成6年)と近代化が一気に進行して来たことで、交野線は大阪方面への輸送でこれと競合することになりました。

「JRに対抗する」ということから、その「交野線」と「京阪本線(大阪方面)」との直通の優等列車を設定するということになり、朝ラッシュ時に「交野線→京阪本線(中之島線)」、夕方(のちに夜間帯)に「京阪本線(中之島線)→交野線」という、大阪市内への通勤・通学需要に特化した列車が設定されることになりました。
この「本線と交野線との直通列車」についての経過を、毎度おなじみWikipediaから拾って掘り下げてみますと…
平成15(2003)年9月~
朝ラッシュ時 K特急「おりひめ」 私市→淀屋橋間
夕ラッシュ時 準急「ひこぼし」 天満橋→私市間
平成20(2008)年10月~(中之島線開業にともなう)
朝ラッシュ時 通勤快急「おりひめ」 私市→中之島間
夜間帯(午後10時台以降発) 快速急行「ひこぼし」 中之島→私市間
平成25(2013)年3月
京阪線ダイヤ変更により全廃
と、およそ10年にわたって「おりひめ」・「ひこぼし」の設定がなされていました。

ところで、「交野線」は現在でも「ホーム長さが最大で5両編成の列車しか入線出来ない」という設備です。当時、5両編成を組める車両というのがこの「2600系」や、先々代の特急専用車であった「1900系」に限られていたことから、「おりひめ」・「ひこぼし」には「2600系が充当される」というのが、このように日常の光景でした。


今回、取り上げているこの「おりひめ」は「通勤快急」としての設定です。
平成20(2008)年10月に開業した「中之島線」、その終着駅である「中之島駅(なかのしまえき、大阪市北区)」へと結んでいました。

場面は変わり、複々線区間を中之島へと急ぐ2600系の「おりひめ」。
千林~森小路間にて。

こちらは、先ほどの「おりひめ」の次便です。
正面向かって左側が固定窓タイプの先頭車両が充当されていました。
先ほども触れたのですが、平成15(2003)年に設定されたこの「おりひめ」・「ひこぼし」はわずか10年ほどで、姿を消してしまいました。支線からの直通列車ということで交野線沿線からの期待が大きかったようなのですが、廃止の要因としては、
・最も混雑する時間帯の運転に関わらず、交野線各駅のホーム長さが最大
5両編成分しかなく、枚方市での増結も困難であったため本線でも5両編
成でしか運転出来ず、混雑が著しかったため
・ダイヤ関係上、直通列車の本数が多く設定出来ず、競合関係にある「JR
学研都市線(片町線)」との輸送力の差があまりにも大きく開いたため
・朝ラッシュ時のダイヤ見直しで、従来は枚方市を通過していた特急が停
車することとなり、枚方市での乗り換えが必要になるものの、大阪方面
への列車本数が増加し利便性が向上したため
・平成19(2007)年7月から「ワンマン運転」が交野線で開始となり、
ワンマン対応が出来る4両編成で使用車両が統一されたため
などが理由としてあるようです。
以降、交野線直通列車は臨時列車をのぞいてなくなり、現在では終日、線内折り返し運転のみとなりました。いまや懐かしくもある、8年ほど前の様子です。
次回に続きます。
今日はこんなところです。