「SANZEN-HIROBA(さんぜんひろば)」(大阪府枚方市、京阪電車樟葉駅前「くずはモール」内)で行われていた京阪電車の「歴代ヘッドマーク展示」を拝見しています。

今日はこちらのショーケース展示から取り上げたいと思います
(中央の「Bianca LAKE BIWA」のヘッドマークについては、前回取り上げました)。
その際の記事はこちら↓
「SANZEN-HIROBAを訪ねて その66」(2016年5月15日アップ)

「比良」と大きく記されたヘッドマーク。
「緑濃い山々」と「青い空」のイラストが印象的ですが、「比良」とは、びわ湖の東岸に広がる「比良山系(ひらさんけい)」を指します。
「比良山系」は昭和40年代までにかけて、京都・大阪から日帰りで赴くことの出来る「一大観光地」として人気を博していました。スキー場「びわこバレイ」をはじめ、湖岸には「水泳場」も多数あるなど年中通して観光需要が高く、これら方面からの観光客輸送を想定して設定されたのがこの「比良号」でした。
具体的には…
「大阪→(京阪特急)→京都→(京津線急行)→浜大津→(江若鉄道・江若バス)→比良周辺」
というルートが推奨されており、接続する各列車にこの「比良ヘッドマーク」が掲出されていました(昭和40年代後半まで使用されていたようです)。
現在、「比良山系へのアクセス」は「JR湖西線(こせいせん)」が主な役目を果たしていますが、これが開業した「昭和47(1972)年」までは京阪系列の「江若鉄道(こうじゃくてつどう)」(昭和44年鉄道路線廃止。以降は「江若バス」となり現在に至る)が輸送を一手に引き受けており、このヘッドマークはその「全盛期の貴重な記録」ともいえます。

続いてはこちら、「さくらExpress2011」ヘッドマーク。
文字通り「さくら」の季節に運行されていた「臨時特急」に掲出されていたものです。
これと同様に、秋季には「もみじExpress」などと銘打たれた列車も設定されていましたが、やはり「観桜・紅葉狩りの観光客輸送」を意識したものです。
この流れからか、近年においてはこれら観光客輸送に特化した「快速特急 洛楽(らくらく)」が設定されることとなり(今年春のダイヤ変更からは「土・休日に通年設定」となる)、いっそうの輸送強化が図られている京阪特急です。

続いてはこちらを見て参ります。
ここまで取り上げた、「沿線の観光地」、「イベント」などを告知する「イラスト中心のヘッドマーク」とは異なるものですが、これは「行先表示板」と呼ばれるもので、字のごとく「列車の行先・種別(急行、普通…など)」を示すものです。

こちらは「角板(かくばん)」と呼ばれるもので、「白地に行先のみ表示したものは普通列車専用」でした。つまり、これは「普通 宇治行き」ということになります。

こちらは、「三条駅(さんじょうえき、京都市東山区)と中書島駅(ちゅうしょじまえき、京都市伏見区)とを行き来する普通列車」で使用されていたものです。
ちなみにこれら二つとも、裏面には異なる行先表示がなされており、主に「終着駅で裏返しにする」という方法で使用されていました。

こちらは「丸板(まるばん)」と呼ばれていたものです。
「急行・準急などの優等列車」には、この形状のデザインが使用されていました。
この三種類の「行先表示板」は「昭和30年代中盤~昭和40年代中盤」の間に使用されていたものと思われるのですが、時期によってさまざまなものが存在しており、これらが現在の「行先表示器」(種別や行先が幕式のもの)に取って替わられるまでは、あまたある種類の表示板を眺めるだけでも楽しいものでした。
ちなみに、京阪でこの「行先表示板」が廃止されたのは「京阪線(京阪本線・鴨東線・交野線・宇治線の総称)」では「平成2(1990)年」、「大津線(京津線・石山坂本線の総称)」では「平成9(1997)」年です。
「思えば遠く昔…」という感を受けますが、現在でも「行先表示器」が故障した際などを想定し、「行先方向板」はいまなお「非常用」として備えられているそうです。
次回に続きます。
今日はこんなところです。