
今日からも、先日に引き続き「京阪電車の常設鉄道展示施設」、「SANZEN-HIROBA(さんぜんひろば)」(大阪府枚方市、京阪電車樟葉駅前「くずはモール」内)で行われている「期間限定展示」について取り上げたいと思います。

今回の展示は、列車に掲出されている「ヘッドマーク類」についてでした。

京阪では、「臨時列車」としての案内、「沿線のイベント」などに応じてさまざまな種類のヘッドマークが掲出されているのですが、先頭車両にはこのようにあまねく「ヘッドマーク差しの金具」が設けられています。
「二つの金具」が設けられていることがわかりますが、京阪の場合、この金具の位置について、向かって左側のものを「本標側(ほんひょうがわ)」、右側のものを「副標側(ふくひょうがわ)」と呼んでいます。

こちらは「副標側」への「ヘッドマーク掲出」。


一方、こちらは「本標側」への「ヘッドマーク掲出」。

また、「本標・副標側」ともにヘッドマークが掲出されることもあります。
俗に「二枚看板」とも呼ばれるもので、比較的珍しい事例です(この列車では、中央に「特急鳩マーク」も掲出されているので「三枚看板」と呼ぶ向きもあるようです)。
ところで、この「ヘッドマーク取り付け金具の位置」を「本標・副標」と呼称していることについては理由があります。

出典 「月刊とれいん 2013年1月号 No.457 京阪電気鉄道」P19より。
車両は、昭和44年に製造開始となった「関西初の通勤冷房車」こと「2400系」。
「京橋駅京都方面ホーム」から撮影したもので、左側に「複々線化工事に伴う仮設の車止め」が見えるので、おそらく「昭和44~45年頃の撮影」だと推測されます。
車両を見ますと、向かって左側、「本標側」に赤いヘッドマークが掲出されていまして、よく観察してみますと「大阪淀屋橋 急 京都三条」という文字が確認出来ます。
先般も触れましたが、冒頭取り上げました「ヘッドマーク」は「臨時列車」や「沿線イベント」などにまつわるものなのですが、この写真のそれは「種別・行先」が掲出されている、という差異があります。
この当時は、現在みられる「列車の行先表示器」が登場する前のことだったので、これら「列車の種別・行先」はすべてこのように「看板」で掲出されていたのですが、この「列車の種別・行先」を示した看板のことを京阪では「本標」と呼称し、原則的に「正面向かって左側」に掲出していました。

そして、それ以外の看板(先ほど来触れております「イベント等」のもの)は「本標に準じるもの」として「副標」と呼称され、向かって右側へ掲出されることになっていました。
「本標」こと「種別・行先看板」の使用は、「行先表示器の設置」が進んだこともあり「京阪線(京阪本線・鴨東線・交野線・宇治線の総称)」では「平成2(1990)年」の「2400系の車体改修工事に伴う行先表示器の設置」を以って廃止され使用されなくなったのですが、このような経緯から、取り付け金具の位置について「本標側・副標側」という呼称方法が現在でも引き継がれている、という訳です。
その「副標」については、現在に至るまでさまざまな種類のものが登場し、ファンからは写真撮影の格好の的となっているようです。

今回の展示は、その「副標」と呼ばれるものが中心でした。
さっそく拝見して行きたいと思います。

まず、最初の三枚はすべて「交野線(かたのせん)」にまつわるものでした。
「交野線」は、「枚方市駅(ひらかたしえき、大阪府枚方市)」から分岐、生駒山系のふもとに近い「私市駅(きさいちえき、大阪府交野市)」へと向かう支線です。
昭和の終わり頃までは田園風景が広がるローカル線だったのですが、近年では開発が急速に進み、大阪・京都への通勤・通学路線となっています。
「七夕station」という文字が見えますが、実はこの「交野線沿線」は古くから「七夕伝説」が有名なところで、沿線にはその名も「天野川(あまのがわ)」や「機物神社(はたものじんじゃ)」といった名所が点在しています。

こちらは「快速急行 ひこぼし号」に掲出されていたヘッドマーク。
通勤・通学客が多い「交野線」なのですが、これは大阪方面への利用をにらんで設定された「大阪方面から帰路の交野線直通列車」に付けられていた名称です。
(ちなみに朝ラッシュ時、「交野線から大阪方面へと向かう直通列車」には「おりひめ号」と命名されていて、「名称を対にする」というしゃれた試みがなされていました)

ところで、この「七夕station」なるイベント、毎年七夕の時期に京阪各駅では「笹」と「短冊」が設けられ、「利用客が気軽に笹に願いをかけることが出来る」というものです。七夕を過ぎると、各駅から集められた笹と短冊を先ほど触れた「機物神社」へと奉納するという念の入れようで、毎年人気を博しているイベントでもあります。
「七夕station」についてはこちらもどうぞ↓
当ブログ
「星に願いを~七夕 station 2014 」(2014年7月7日アップ)
「今年の七夕点描」 その4~「平成OSAKA天の川伝説2015」
(2015年7月12日アップ)
「おりひめ・ひこぼし号」についてはこちらもどうぞ↓
当ブログ
「SANZEN-HIROBAを訪ねて その29」(2014年6月30日アップ)
次回に続きます。
今日はこんなところです。