本日、3月26日にいよいよ「JR線ダイヤ改正」が実施されました。

26日付 「朝日大阪夕刊」 1面より。
「北海道新幹線開業」が一番の話題になっている今回の改正ですが、ここではその「ダイヤ改正により関西から姿を消す列車」について取り上げています。

今回取り上げる列車はこちら、「新幹線」や「特急列車」でもなく、ごくありふれた「快速列車」です。この列車になぜ注目するのかといいますと、この「快速列車の運転区間」というのが「JR西日本とJR東海にまたがっている」ためです(「大垣~米原間」は「JR東海」、米原以西は「JR西日本」の管轄)。
長距離を結ぶ「新幹線」や「寝台特急」の場合ですと、必然的に「異なるJR会社間の運転」がなされることは合点が行きます。ただし、そうではない一般の「快速列車」が「JR会社間をまたいで設定されている」という事例は近年希少な存在になっていました。

「米原駅」は「東海道新幹線」や「東海道本線」、「北陸本線」などが発着しています。
昔から「交通の要衝」としての役割を果たしている駅なのですが、そういった事情からか「JR発足」(昭和62年4月)以降は「JR西日本とJR東海の境界駅」となり現在に至っています。


実は、この「大垣駅(岐阜県大垣市)」から京都・大阪方面へ直通する列車は「旧・国鉄時代」から少なからず存在していました(今回の「ダイヤ改正」までは「早朝に大垣発」・「夜間帯に大垣着」の列車が「1日3往復」、設定されていました)。
かつては「管轄の違い」こそあれど、同じ「国鉄」でしたのでこのような列車が設定されていたようですが、先ほど触れた「JR発足」以降は「各会社エリアの事情に特化した地域輸送」が行われるようになり、「複数の会社間をまたぐ一般の列車」は年月を経るごとに整理されて行きました。
そんな中、残っていた「JR西日本とJR東海にまたがる快速列車」もこの「ダイヤ改正」で廃止(正確にいうと「米原駅をはさんでの別列車化」)されることになりました。そういうことで、この「大垣ゆき快速列車」の見納めをして参りました。

夕刻の「大阪駅」です。時刻は「午後7時前」、一日3本運転されているくだんの「大垣ゆき快速列車」の「2本目」の発車時刻が近づきました。

発車は「8番のりば」からでした。
「12両」という長い編成ですが、「大垣駅」まで行くのは「前方4両のみ」です(後方の8両は「米原止まり」)。

ほどなく列車が入って来ました。ごく普通の、夕方のラッシュの光景です。

ちなみに、この「大垣ゆき快速列車」はすべて「JR西日本車両」で運転されているのですが、これと逆のパターンで運転されていて、やはり今回の改正で廃止になる「大阪駅発着の『特急 しなの号』」はすべて「JR東海車両」でした。
一般的に「自社の車両が異なる会社の路線に乗り入れる」という場合には、「乗り入れた先の会社に走行距離に応じた車両使用料を支払う」ことになっています。
ただ、実際に金銭のやりとりをすることは極力行わず、「異なる会社から自社に乗り入れて来る列車」と走行距離を調整し、互いにイーブンになるようにしています。
この場合では…
【JR東海】「特急 しなの号」がJR西日本の「米原~大阪間」に乗り入れる
【JR西日本】「快速列車」がJR東海の「米原~大垣間」に乗り入れる
ということで、互いの「車両使用料」(つまりは「自社の車両を他社の路線で走行させてもらう」ことによる)を可能な限り調整(「相殺」とも表現出来る)していたことがわかります。
ただ、このような事例はさまざまな手間がかかるようで、「自社の車両は自社エリア内で運転を完結させたい」というケースが多いようです(「民鉄~地下鉄間」などでの「相互直通運転」などでは逆に多くの事例が見られます)。

それはさておき、繰り返しになりますがこの列車の場合には「京阪神地区」と「中京地区」という異なるエリアにまたがって運行されるので、興味深い差異があったりします。

例えば、「運転される路線の名称」においては同じ「東海道本線」なのにも関わらず「大垣~米原間」では「東海道線」、その先の「米原以西」では「琵琶湖線・JR京都線・JR神戸線」…となっていたり、「車内広告」では、「使用される車両がJR西日本のものなので、JR東海の路線で走っているのに内容が関西のものだったり」…ということがあったりして、なかなか興味深いものがあります。

長年にわたって「二社間」で運転されて来たこの列車、さまざまな観点から見るにつけ感慨深いものがありました。
3回にわたり、おつきあいくださりありがとうございました。
今日はこんなところです。