みなさんこんにちは。今日の話題です。

京阪電車では昨日、3月19日(土曜日)に3年振りに「ダイヤ変更」が実施されましたが、看板列車の「京阪特急」に関して大きな変更が加えられたことが大きな点として挙げられます。その「新ダイヤ」について、私見からその概要を考察してみたいと思います。

京阪電車主要駅で配布されている「ダイヤ変更」についてのリーフレットです。
冒頭でも触れましたが「京阪線ダイヤ変更」は「平成25(2013)年3月」以来、3年振りのものです。
さて、今回の「ダイヤ変更の目玉」のひとつは「特急列車のスピードアップ」です。

「ダイヤ変更前」では「京阪特急」が運転されている「淀屋橋駅(よどやばしえき、大阪市中央区)~出町柳駅(でまちやなぎえき、京都市左京区)」の所要時間は日中、「56分」を要しています。
「線路の敷設形態」や「輸送状況の差異」など、一概に比較が出来ないことを承知で述べるのですが、「京阪間の旅客輸送」でライバルとなっている「JR京都線」や「阪急京都線」(この2線は直線区間が多く、スピードを出しやすい)と比べ、京阪では沿線にカーブが多く存在しているため、最優等列車の「特急」においても所要時間ではこれら2社には大きく水を空けられているのが現状です。
そういった構図は戦争直後からはじまっていましたが、「所要時間でのハンデキャップ」を補うために「テレビカー」(昭和29年から。国内では昭和26年の「京成電鉄」に次ぐ。前回のダイヤ変更時、平成25年3月に全廃)、「二階建てダブルデッカー」(平成7年12月から)の導入など、さまざまな面でのサービス強化で対抗策を講じるとともに、長年実施して来た「特急のノンストップ運転」を「平成11(2000)年」から廃止し、中間駅への特急停車を図るなどの「輸送改善」に取り組む姿勢を取って来た京阪ですが、今回の「ダイヤ変更」では「特急のスピードアップ」に重点を置いたダイヤ見直しが行われています。

具体的には、上の記載にありますように「淀屋橋~出町柳間」での所要時間を最大4分(下り・大阪方面への場合)短縮、また「特急が停車しない駅からの特急への乗り継ぎ」も考慮したダイヤになっているようです。

もうひとつの目玉は「京阪間ノンストップ 快速特急 洛楽(らくらく)号の定期運転化」です。
「京阪特急」は「昭和25(1950)年」に「天満橋駅(てんまばしえき、大阪市中央区)~三条駅(さんじょうえき、京都市東山区)」間で「一日2往復」が朝夕に運転されたのがはじまりです。
現在の「通勤特急」のような扱いだったようですが、京阪間は「ノンストップ運転」が行われ翌年には日中の運転も開始、現在まで「看板列車」の地位にあります。
その「ノンストップ運転」が最大のセールスポイントだった「京阪特急」ですが、沿線を取り巻く輸送状況の変化などを受け、平成に入りついに「中間駅停車」が行われることとなりました。具体的にはこのような経過でした。
「平日朝ラッシュ時、一部の下り大阪方面ゆき特急が中書島駅(ちゅうしょじまえき、京都市伏見区)に停車」※平成7(1995)年
↓
「平日朝ラッシュ時、上記の特急が枚方市駅(ひらかたしえき、大阪府枚方市)に追加停車」※平成9(1997)年
↓
「特急全列車が中書島、丹波橋駅に停車」
(この時点で「京阪間ノンストップ運転」は全廃)※平成12(2000)年
↓
「特急全列車が枚方市、樟葉駅に追加停車」※平成15(2003)年
ということで、「京阪特急」は「京都~大阪間の直通客輸送」というこれまでの役割以外にも「枚方市・樟葉・中書島・丹波橋」といった「途中主要駅への旅客輸送」とを兼務する姿へと変貌しました。
ただ、日中、京阪間を結ぶ優等列車(ゆうとうれっしゃ、特急や急行など)が「特急」のみとなったことで、もともとの「京阪間直通客輸送」のみならず「途中主要駅からの旅客輸送」とが交錯し、「京阪特急」は終日にわたり混雑が散見されることが多くなっています。
本題に戻るのですが、その「快速特急 洛楽の定期運転化」(休日ダイヤのみ)という
のは、まさにこの「2つの状況の改善」を図ったものではないかと思われます。
いわゆる「遠近分離(えんきんぶんり)」と呼ばれる輸送形態です。

「洛楽号」の運転時刻を見てみますと、「上り(京都方面)は午前に大阪発」。

「下り(大阪方面)は午後に京都発」となっています。

「午前の上り(京都方面)」時刻表の一部から抜粋。
「淀屋橋10:00発」の「快速特急 洛楽号」の前には「特急(9:50発)」、「快速急行(9:54発)」が運転されていて、「ノンストップ運転の洛楽号に乗車出来ない途中駅からの乗客」の利便を図っています。
また、帰路については…

「出町柳16:32発」の「洛楽号」の前後にやはり「特急」と「快速急行」が運転されるという形態になっています。
「ノンストップ時代」から「京阪特急」は、並行する「JR」や「阪急」と比較すると「観光客の利用が多い」とされて来ました。これは、特に京都方の特急停車駅(「七条、祇園四条、三条駅」)のすぐ近隣に著名な観光名所が点在している、ということに由来するものと思われるのですが、「ノンストップ特急の定期便復活」というものは、「観光需要の復活(需要の掘り起こし)」という時流があるのかなと推測されます(いまはやりの「インバウンド」需要もあるかも知れません)。
また、昨年9月にはこのようなプレスリリースもありました。

「京阪特急に座席指定車両(仮称・京阪特急プレミアムカー)導入」
(平成27年9月30日)というものです。

「二階建てダブルデッカー」を連結している編成に「座席指定車両」を組み込み、インターネット回線を活用して携帯電話で「座席指定券」を発行、「途中駅からの乗車でも必ず着席出来る」という趣旨です。
最近、他の民鉄(殊に首都圏)でもこのような「着席保証型の列車」の導入事例、あるいは導入計画を見聞するのですが、「別料金が発生しても着席したいという潜在的な需要」が大きくなり、このように具現化されて来たように感じます。

また、他社の「通勤・通学客をターゲットにしたもの」とは少し趣旨が異なり、終日この「プレミアムカー」の運転がなされる、ということで「ラッシュ時の着席保証」だけでなく「観光客輸送も目的にしたもの」であると伺えます。
今回の「ダイヤ変更」でのスピードアップ、そして「ノンストップ快速特急 洛楽号」の定期運転化、これは来年度の「京阪特急プレミアムカー導入への礎石」ではないかと推測され、今後の動向が注目されます。
次回は、特急以外の変更点について考察してみたいと思います。
今日はこんなところです。