みなさんこんにちは。
いまはなき「江若鉄道」、昨年に開催された「回想展」を観覧しています。

先日から取り上げています、この「企画展の目玉」の「大ジオラマ」を細見しているのですが、さまざまなところで気になるものがたくさんあります。
そのひとつが、この「浜大津交差点」の角に立つ「広告塔」でした。

いや、このデザインは懐かしいですね。
「ナショナル」、かつての「松下電器」(現在の「パナソニック」)の広告です。現在では撤去されているものですが、実際にこの場所に設置されていて「大きな目印」(「浜大津交差点の名物」とも)となっていたそうです。
ところで、前回の記事でこの「浜大津駅」に乗り入れている「京阪電車石山坂本線(いしやまさかもとせん)」が、構造上広場の端にある駅へと進入が出来ない…ということについて触れました。
ここで「実際はどのように発着していたのか」について述べたいと思います。

「駅前広場」です。
中央付近に「ポイント(分岐器)」がありますが、前回の記事で取り上げた「行き止まり式ホームの浜大津駅」は、左下へ分岐した奥にあります(もう片方へと分岐している線路は「石山坂本線」)。その線路を、反対側の画像奥へとたどって行きますと…

もうひとつの「駅」があります。

駅の看板には「浜大津駅(東口)」と記載があります。
ということは、「浜大津駅はふたつ存在していた」ということになるのですが…

この当時の「駅構内図」を見つけました。
上がその「浜大津駅(東口)」、その下が「浜大津駅」です。
※出典 「京阪電車開業五十周年記念誌 「鉄路五十年」
(京阪電気鉄道株式会社発行 昭和35年12月 P509)
左上から右下に走っているのが「石山坂本線」と「浜大津駅(東口)」。
左下から右上に走っているのが「京津線」と「浜大津駅」 です。
なぜ、ふたつの駅が設けられたのか…というところですが、
理由は「それぞれの路線が別の会社だったため」です。
「石山坂本線」は「大津電車軌道(おおつでんしゃきどう)」により「大正2(1913)年に、「京津線」は「京津電気軌道(けいしんでんききどう)」により「大正元(1912年)」に開業したのですが、「浜大津駅」はそれぞれ別の場所に設けられました。
その後これら二社は「京阪電車」と合併し「同会社」となったのですが、駅の位置はそのまま存置された、という訳です。
ただし、「ふたつの駅が存在する」ということはさまざまな手間があったようで(「京津線から石山坂本線への直通列車は、それぞれの駅に入線し、客扱いと方向転換をしないといけなかった」、「直通列車を利用せず、それぞれの路線を乗り継ごうとすると『浜大津駅~浜大津東口駅』の徒歩連絡が必要だった」…など)、「びわ湖国体」の開催にともなう駅前再開発計画に合わせ、「昭和56(1981)年」に両駅を統合、現在の位置に移設されました。


ふたつの駅が統合された後の「浜大津駅」の様子です。
かつて「江若鉄道」の駅があった場所には「屋根付きの橋上広場」があり、「浜大津駅(東口)」より少し北側に「現・浜大津駅」が設けられています。

「統合直前」と思われる写真もありました。
手前が「浜大津駅」、向こうが「浜大津駅(東口)」ですが、後者から下車した乗客が
「浜大津駅」から発車する「京津線」に乗り継ぐため、いったん改札を出て徒歩で移動していることがわかります。このような手間があったため、「駅統合」が進められました。
※出典 京阪電車創業80周年記念誌 「過去が咲いている今 京阪この十年」
(京阪電気鉄道株式会社発行 平成2年7月 P100-101)

「浜大津(東口)駅」です。
狭いホームが上下1本ずつ並んでいて簡素な感じを受けますが、「定期券売り場」や「観光案内所」、「売店」などの設備は、画像奥で右方向へと分岐している先の「京津線・浜大津駅」に集約されていたようです。

この「浜大津駅(東口)」へのアプローチには、結構な急カーブで至っていたようです。通過しているのは「日本初の連接車」、「びわこ号」こと「60型」車両です。

このあたりは「浜大津駅」の敷地の外れ付近になるのですが、画像右側の「江若鉄道」の線路も終端となっていました。
この先はどうなっているのか・・・それはまた次回ということにさせて頂きます(汗)

さて、この付近には重厚な洋風建築の建物があります。
「旧・大津公会堂」(現在は「大津市社会教育会館」)です。
現在もこの位置に経っており、「石山坂本線」の列車内からも眺めることが出来ます。「昭和9(1934)年」建築だとのこと。以前から気になっていた建物でした。

最後に、この「大ジオラマ」を作成された「西村雅幸氏」のコメントがありました。
拝察しますと、完成までかなりの時間、労力を重ねられたのだな…と感じます。沿線の建物なども当時のまま復元されているようですので、拝見している者としては、その熱意に頭が下がります。
次回に続きます。
今日はこんなところです。