みなさんこんにちは。
昨春、大津市歴史博物館で開催された「江若鉄道(こうじゃくてつどう)の思い出展」を観覧しています。

さて、この企画展の「目玉」というのはこの「大ジオラマ」でした。
かつて始発駅だった「浜大津駅(はまおおつえき、滋賀県大津市)」の、昭和40年代前半を模したもので、メインの「江若鉄道」以外のものも実に忠実に再現されていました(方角は「左が北」です)。
このアングルからですと全景がよくわかります。
画面左奥が「江若鉄道の浜大津駅」、左下は、京都市内中心部の「三条駅(さんじょうえき、京都市東山区)」へと結んでいた「京阪電車京津線(けいしんせん)」の「浜大津駅」、上下に走っているのは、びわ湖湖岸の市街地を走る「京阪電車石山坂本線(いしやまさかもとせん)」です。
狭い場所に、さまざまな路線が輻輳していたことがわかります。

ジオラマには、もちろん「京阪電車」も再現されていました。ということで、こちらについても細見していきたいと思います。
こちらは、先ほどの全景画面では右下部分の様子。
「石山坂本線」で「坂本駅(さかもとえき、滋賀県大津市)」方面から「浜大津駅」を望んだアングルです。

電車は「2両編成」です。これは、現在も変わりません。

沿線の「食堂」などのお店も再現されています。時代背景を感じるものもあり、興味深いですね。

この区間は「路面電車」となっていて、幅の広い道路の中央を電車が走っています。奥にも、電車が2両見えますが・・・

ジオラマ中央付近へとやって来ました。
ここで画面左右に走る「石山坂本線」と、下から来た「京津線」とが平面交差しています。
「江若鉄道」の駅は右側で、列車は踏切を越えて左方向へと線路を延ばしていました。

「京阪電車浜大津駅」です。
ただ、画像左側から坂本方面からやって来た「石山坂本線」の列車(左下に映っている列車)は配線の都合上、この駅には入線出来ません。
それでは、果たしてどのようにして駅に入るのか…?
(これについては次回取りあげたいと思います)。

さて、この「浜大津駅」を見てみます。いまや懐かしい「ひらかたパーク・大菊人形」の掲示があります。

当時の写真を見つけました。
駅舎前の街灯に記されている「京都へ急行20分」の広告どおり、この駅から京都市内中心部の「三条駅」へは20分で到達することが出来ました。
「三条駅」では同じ構内で大阪方面からの「京阪本線」と接続しており、この「京津線急行」を介してここ「浜大津駅」で「江若鉄道」の列車とも連絡していて、「大阪~びわ湖・湖西間の連絡輸送」がなされていました。
(出典 「京阪電車開業五十周年記念誌 鉄路五十年」 昭和35年12月発行 P587)

比較的小さな駅ですが、構内には「喫茶室」や「観光案内所」などが設けられていて、多くの乗降客で賑わったそうです。

違った角度から。ホーム先端部は「行き止まり構造」になっています。

この「浜大津駅」から出発するのが「京津線」です。
「路面電車」の形態で、京都・滋賀県境の「逢坂山(おおさかやま)」を急勾配で越え、京都へ向かっていました。
現在は、途中の「御陵駅(みささぎえき、京都市山科区)」から「京都市地下鉄東西線」となっており、観光名所「嵐山」に近い「太秦天神川駅(うずまさてんじんがわえき、京都市右京区)」まで乗り入れを行っています。
都合、「嵐山近辺とびわ湖が直通」ということになっていて、両方向の行き来に便利な「フリー乗車券」も発売されるなど、あらたな観光ルートになりつつあるようです。



再びジオラマへ。駅前を、実に悠々と走っています。

そのうちの1両、箱型の車体が特徴のこの車両についてピックアップしたいと思います。
「72」という車両番号が記載されていますが、この「京津線」で「普通列車用」として製造、使用されて来た「70型」という形式の車両です。
戦時中の「昭和18(1943)年」に竣工した車両なのですが、もともとは老朽化した大正期の車両を廃棄、あたらしい車体を新造し、従来の電動機や台車をそれに流用したものです。
その後「昭和42(1967)年」に廃車となったのですが、そのうちの1両(まさにこの「72号車」)が「車庫内の入換車両」として転用され、現在も「寝屋川車両工場・車両基地」(大阪府寝屋川市)で実際に稼動している、ということが特筆されます。
さらにこの「72号車」の電動機、台車の出自をひもといてみますと、なんと「明治43(1910)年4月」の「京阪電車創業時」に使用されていた「1型車両」に使用されていたもので、ゆうに100年を超えてなお、現役で活用されている「稀有な例」です。
この「72号車」についてはこちらもどうぞ↓
当ブログ
「SANZEN-HIROBAを訪ねて その14」(2014年5月30日アップ)
京阪電車「ファミリーレールフェア2014」訪問記(2014年10月23日アップ)
気が遠くなりそうな話です…
次回に続きます。
今日はこんなところです。