みなさんこんにちは。
「夏を探す企画」から、話題は「くずはモール」の「SANZEN-HIROBA」へ戻ります。
京阪電鉄が所蔵している、貴重な「HOゲージ模型車両」の期間限定展示を拝見
しています。

今日は、こちらのガラスケースの車両について取り上げたいと思います。

まずはこちら、「こわび」と記された立派な銘板(もとい、「戦前」のものなので「びわこ」と呼称しますが)。
昭和9(1934)年に登場した、「大阪~大津直通運転用」に製造された、「日本初の
連接車」、愛称「びわこ号」こと「60型」の客用扉横に取り付けられた銘板です。

「京阪電車」は、長らく「大阪と京都」を結ぶ「京阪本線」と、「京都と大津」を結ぶ
「京津線・石山坂本線」が存在しています。
いずれも「軌道幅」と「架線電圧」はかつては同じ「1435mm・600ボルト」だったので、
「大阪と大津・びわ湖」を直通させるという計画は「おのずから出て来たもの」だとも
言えます。
ところが、「都市間高速鉄道」である「京阪本線」と、「路面電車規格・急勾配や急カーブが連続」する「京津線」とは路線の趣向が全く異なるものであり、従来の車
両では「直通運転」は困難が想定されました。
その中で、「京阪本線での高速運転」と、「京津線での路面電車規格」の双方に対応出来る装備を兼ね備えた「60型」が新造された、という訳です。
どうしてそこまで「大阪~びわ湖間の直通運転」にこだわったのか、というところですが、昭和30年代頃までは「びわ湖」は関西の「一大レジャー地」であり、「夏」は「水泳場」、「冬」は「スキー」などと言ったように、通年で多数の観光客が期待出来るスポットだったので、なおのこと「大阪からの直通列車」の需要が見込めたようです。
「びわこ号」こと「60型」については、過去に詳しく取り上げておりますのでこちらもご参照ください↓
当ブログ
「京阪電車開業100周年記念 「ファミリーレールフェア2010」訪問記 その3」
(2010年10月22日アップ)↓

さて、続いては「600系(3代目)」です。
昭和59(1984)年に登場した、「京津線・石山坂本線初」の「冷房車」です。
現在は、専ら「石山坂本線専用」として使用されています。

現車の写真もありました。
本来であれば、この車両の塗装色は「緑色濃淡」なのですが、かつて、「京津線・石山坂本線」の旧型車両の一部には「京阪特急色」に塗装されたものもありまして、これはそれを「復刻塗装」した際のものです。
現在も、この両線で主力車両として活躍しています。
「600系(3代目)」についてはこちらもご参照ください↓
当ブログ
「SANZEN-HIROBAを訪ねて その32」(2014年7月12日アップ)

画像がブレブレで申し訳ございません。続いては「80形」です。
「京津線」の「路面電車区間」(プラットホームが低い区間)の老朽化した普通用車両
を置き換える目的で、昭和36(1961)年から45(1970)年までの間に製造された車両
です。
特徴は、先述の「路面電車区間」の「低いプラットホームの駅」では、客用扉下の「ステップ」が自動で昇降し、「通常の高さのプラットホームの駅」では「ステップ」は収納
される、といったところでしょうか。
また、「京阪電車の車両」としては極めて珍しい、全車が「近鉄電車傘下」の「近畿車輛製」で、車両デザインも「近畿車輛」の若手スタッフによるものだったそうです。

この車両も、現車の写真もありました。
と言っても、「製造から間もない頃の姿」と思われます。
この写真の頃、すなわち登場当初は「1両での運行」で、「集電装置(架線から電気を受ける装置)」は「トロリーポール」(屋根上にある「長い棒」のことを指す)という、「電気鉄道」が始まって以来の極めて「原始的な方法」でした
(現在の鉄道車両では「パンタグラフ」が主流な集電装置です)。
ちなみに、「トロリーポール」での集電方法は、「高速運転での区間」には向かない「路面電車」での採用がほとんどで、「京津線・石山坂本線」の「トロリーポール方式の廃止→パンタグラフ採用」は、日本でも「かなり遅い時期」の昭和45(1970)年でした。
ちなみに「日本の一般鉄道で最後までトロリーポール集電方式が使用されていた」のは、奇遇にも「京阪グループ」の「京福電鉄(現在の叡山電鉄)叡山本線・鞍馬線」で、こちらの「パンタグラフ化」は「京津線・石山坂本線」よりさらに遅い、昭和53(1978)年でした。
「80形」は「パンタグラフ化」と同時に「2両連結」となり、平成に入ってからは「冷房改造」も施され、平成9(1997)年10月の「京津線一部区間廃止=京都市地下鉄東西線開業」の際に全車廃車となりました。
「80形」についてはこちらもご参照ください↓
当ブログ
「京阪電車開業100周年記念 「大津線感謝祭」訪問記 その3」
(2010年11月8日アップ)
「SANZEN-HIROBAを訪ねて その4」(2014年5月8日アップ)
次回に続きます。
今日はこんなところです。