美しい妻の友人Aちゃんが遊びに来ました。永く務めた仕事から離れて、次は何をやろうかと探している最中とか。辞めた理由は同僚の嫌がらせ。辛い話のはずなのに、おもしろおかしく話してくれます。僕らは笑い転げながら聞き役を。
同僚Xさんは、会議でAちゃんの提案をことごとく否定。それなのに、Aちゃんのいない場では、自分の案のようにAちゃんの提案を並べる。まるで、半沢直樹の悪役を見ているような。聞いている僕らは、臨場感に浸ります。
その日のおもてなしは手巻き寿司です。話し手のAちゃんは食べるよりもしゃべる方が先に立ち、聞き役の僕らもおもしろ過ぎて手が止まります。なかなか箸が進まないのはご愛嬌。楽しい食卓は延々と続きます。
Aちゃんのおもしろ話は、夫の〇〇さんの逸話にも及びます。〇〇さんが入院した日、採血をした看護師Cさんが失敗して血が吹き出した。失敗を重ねるCさんの話を、「今日のCさん」と称してAちゃんに話すとか。
手術後、目を覚ました〇〇さんの第一声は「Cさんはいないだろうな」見舞いのご両親はちんぷんかんぷん、Aちゃんだけ吹き出したそうな。〇〇さんの心配は、大事な手術にCさんが関わっていないかということだったのです。
職場の嫌がらせにしても、〇〇さんの手術にしても、人生を揺るがす大事件です。そんな辛い話を、Aちゃんは笑い飛ばしながら語ってくれます。Aちゃんの心の豊かさが伝わってきて、僕ら夫婦は頬が緩むばかり。
Aちゃんは書道が好きなので、それを生業にする策を練っているとか。漢字に猫のイラストを添えてデザイン化するのはどうか。似顔絵師のように、相手の印象を文字にする大道芸はどうか。聞いているだけで楽しくなってきます。
そんな中で、「仕事にこだわらず、趣味に生きるのはどう?」と勧めてみました。ただいま僕は3000連休中。極端な実例ですが、選択肢の幅は広がるはずです。最右翼ならぬ最左翼として、Aちゃんの心の隅に留めてもらえれば。