東野圭吾さんの「危険なビーナス」を読みました。ブックオフの棚で見つけた時は、題名に覚えがありました。リストを見ると読んでいません。記憶が弱ってきたので、こんな時のために蔵書リストが作ってあるのです。
うっかり同じ本を買ってきたことが何度かあります。まあ、覚えていないんですから、もう一度読んでも何ら問題はありません。読み進めるうちに筋書きを思い出すことはあります。それもまた、趣のある読書と思えば落ち込むこともないでしょう、
歳を取ることによって、いろんなところに衰えを感じます。とりわけ運動能力と記憶力です。運動能力の衰えは、何十年も前から始まっているので諦めはついています。でも、記憶力の低下は諦めきれずに抗っているところです。
円周率は少しずつ増やしています。ただいま小数点以下三百桁。いつも自慢して言いふらしていますが、誰も確かめようとはしません。だから、千桁といっても一万桁といってもバレないと思います。どうしようかな。
この頃は、太極拳の套路(とうろ)と呼ばれる、型の漢字を覚えることに挑戦しています。起勢(ちいしい)とか雲手(ゆんしょう)なら、呼び方が違うだけなので楽勝です。二十四式しかないと思えば、何とかなりそうに思えます。
ところが、攬雀尾(らんちゅえうぇい)とか、搬攔捶(ばんらんちゅい)になると、もうお手上げです。見たこともない漢字が並びます。昔ならいざ知らず、何度書いて覚えようとしても、次の日になるとさっぱり。
認知症のクリスティーン・ブライデンさんが「下り坂の旅を楽しむ」と語ります。認知症が進むごとに、できなくなることが増えることを、下り坂と表現しました。確かに、下り坂は楽に歩けます。上手いことを考えるものです。
諦めたり、抗ったり、下り坂の人生を楽しむつもりです。ちなみに、「危険なビーナス」はテレビドラマで見た記憶でした。本は読んでいません。筋書きを覚えていないので十分楽しめました。下り坂は悪いことばかりじゃない。