孫娘は1週間の滞在中、いろんなお菓子を作ってくれました。プリン、パイ、初お目見えのスノーボールなどなど。毎日のように何かしら出来上がります。一緒にスーパーへ買い物行くと、知らないうちに材料をかごへ放り込んでいるようです。
プリンはいつの間にか冷蔵庫に入っていました。プリンプリンでおいしかったです。スノーボールはどんなものか楽しみでした。ボールで粉をこねて形作るうちにおっぱいの形になります。「おっぱい、おっぱい」と喜んでいました。食べればクッキーみたい。
パイは生地を帯状に伸ばして、三つ編みにします。僕は三つ編みが得意なので一緒に作りました。なぜ得意かというと、空手の稽古用に藁を編んで巻藁を作ったからです。上手にできたので孫娘が目を丸くしていました。
オーブンで焼けば、サクサクのパイが完成です。クロワッサンにはチョコが入っていました。出来立ては熱くて手で持つこともできません。それなのに、孫娘と美しいグランマは、熱い熱いと言いながらもつまんでいます。僕とはいろんな構造が違うようです。
作ることの楽しみを覚えてくれて、おじいちゃんとしては何よりうれしいです。「何が楽しいの?」と聞くと「食べるのが楽しい」と答えます。お菓子は食べてしまえば何も残りませんが、何かしらの達成感は感じるはずです。
ジブリアニメの「君たちはどう生きるか」によって、吉野源三郎さんの小説が見直されているそうです。原作は、裕福なコペル君と働きながら勉強する子供を対比しています。その違いは、生産しているかしないかです。
裕福な子は全てを与えられていますが、貧乏な子はすでに生産しながら生きています。もし、生産することに楽しみを見つけたら、貧乏も悪いことばかりじゃないと思えるのです。コペル君は、そこからコペルニクス的転回に気づきます。
僕は職業を選ぶ時に、物を作る仕事を条件にしました。その選択は大当たり。30年も楽しく蕎麦屋を続けられました。さて、孫娘がどんな生き方をするか。何を生産するか。そのまんま、お菓子屋さんだったりして。