「RE_PRAY」宮城1日目 感想 | 木漏れ日の海

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フィギュアスケートの羽生選手を応援しています。
プログラムの感想を中心に語ります。

「RE_PRAY」宮城1日目をCS放送で見た。

 

この日の演技は、「破滅への使者」が以前放送されていて、その完成度の高さに目を見張っていたので、公演全体を見れるのを楽しみにしていた。

 

全体を通して、ものすごい完成度。

「RE_PRAY」という公演の極致があったような気がする。

 

極限まで張り詰めた集中。

世界観への没入。表現。

 

SNSで「公演全体を通してゾーンに入っていた」というコメントを以前、目にしたけど、まさにそんな感じだった。

 

ここからはプログラムごとの感想を。

 

まずは「いつか終わる夢-original-」。

 

この時点で、スケートにキレがあるような気がした。

フィジカルと技術がピタッと高みにある。

 

プログラムの世界観も、この「RE_PRAY」というICE STORYを表現していて、最初から高い集中力で引き込まれた。

 

「鶏と蛇と豚」

実は、「RE_PRAY」を見たのが少し久しぶりで。

おそらく2カ月ぶりぐらいに見たので、このプログラムとも2カ月ぶり。

 

そのせいかは分からないけれど、なんだか今まで見知っていた「鶏と蛇と豚」とは、まるで違うプログラムのような印象を受けた。

この宮城公演で、このプログラムの完成形を見たような気がする。

 

「Hope&Legacy」

このプログラムも、今回は一段と輪郭がくっきりとして見えた。

「RE_PRAY」の中での「Hope&Legacy」として、表現したいことが出し切れていたような。

ここでもフィジカルと表現が高い次元で融合していた。

 

「Megalovania」

冒頭から、何かが憑依していた。

羽生結弦ではなく、完全に別の何者かになっているかのよう。

 

「RE_PRAY」 OFFICIAL PLAYER’S GUIDEを読んだ後に見ると、このプログラムの位置づけが浮かび上がる。

 

羽生君自身が生み出した「RE_PRAY」。

その価値をまざまざと見せつけられて、素晴らしさにゾクゾクした。

 

そして、6分間練習。

横浜公演の時とはまた違う雰囲気をまとっていた。

横浜のときはノーミスにかける気迫を感じて、競技時代の6分間練習のようだと思ったけど、今回は「RE_PRAY」の演目の1つとして溶け込んでいるように思えた。

 

それでも、気迫はすごい。

その迫力は、競技時代を彷彿とさせた。

 

ジャンプもピタッと決まる。

とても美しい4回転ジャンプがこんなに沢山見られるなんて、と感激。

 

そして、いよいよ始まる「破滅への使者」。

 

パーフェクトという結果を知って見ているのだけど、手に汗を握った。

このプログラムが破綻なく完成するようにと祈りながら見ていた。

(これを生で見た方たちは、どんな気持ちだっただろう)

 

冒頭からジャンプが完璧。

今までの羽生君のジャンプの中でも、とりわけ美しいジャンプたちが決まっていく。

 

プログラムの表現にも緩急がある。

決してジャンプだけに集中しているわけではない。

 

終盤の5連続ジャンプもきれいに決まる。

最後のトリプルアクセルがピタッと決まったときの歓声がすごかった。

競技時代を通しても、片手で数えられそうな完成度のプログラムとなった。

 

それにしても、羽生君は自分に厳しいなとひしひしと感じた。

 

羽生結弦に対して一番厳しいのは、羽生結弦。

それだけ、羽生結弦に期待しているのだろうし、その期待に応えるポテンシャルがあるからだろう。

 

ずっと、そういうふうにしてきたがゆえに、スケートがこれだけの高みに至ったのだろう。

 

ここから、後半。

 

「いつか終わる夢;RE」

このプログラム、深みが増していたように思う。

 

後悔と悲しみのなかで、なんとかして希望を見出そうとする。

そんなイメージを受けた。

 

どことなく、「Danny Boy」の世界観につながるところもあるような気がした。

 

3月の「notte stellata」で滑った「Danny Boy」。

それがあったことで、羽生君のスケートにまた1つ深みが加わったような。

 

こうして、新しいプログラムを生み出す度に、そのスケートが深化していくのだろう。

羽生君のスケートは、一本の道として全てがつながっている。

そんな気がした。

 

「天と地のレクイエム」

宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ。

この地で、「天と地のレクイエム」が滑られる時が来た。

 

もちろん、今回は「RE_PRAY」という物語の中のプログラムとしてあるのだから、そういう見方をする必要があるわけではないのだろうけど。。

 

浮かび上がる灯篭たち。

こんなにもたくさんあったのだと、改めて思う。

 

プログラムの終盤、オレンジ色の四角い枠の中で羽生君がスピンをする。

それが、オレンジの四角の中に、かけがえのない命がやどっている、すなわち「灯篭の一つひとつが、かけがえのない命」ということを暗示しているように思える。

 

あの灯篭たちはどこへ行ってしまったのだろう。

流れゆく命たちは。

そんなことを思う。

 

「あの夏へ」

「RE_PRAY」 OFFICIAL PLAYER’S GUIDEを読んでからこのプログラムを見ると、感慨深い。

埼玉初日を現地で見た時、「天と地のレクイエム」から「あの夏へ」という流れに震えたのだけど、この流れが必然だったように思える。

 

自然による浄化と、祈りのプログラム。

どこかに悲しみをまとっている。

 

そして、宮城の地で滑られた「あの夏へ」には、故郷への愛情がこもっているように感じた。

 

最後のプログラム、「春よ、来い」。

今回は、このプログラムから人間・羽生結弦を感じた。

羽生君の素や、ストレートな思いがこもっているような気がした。

 

「エンディング」

ついにここまで来た。

 

冒頭、両足のエッジを氷にピタッとつけながら、自由自在に移動する。

この足もとの技術、すごいのではないだろうか。

 

このプログラムの途中から玉が1つずつ出現して、滑っている羽生君にピタッとついていく。

最後は3つの玉になって、天に上がっていく。

 

この3つの玉は、何を表現しているのだろうと、ずっと気になっていた。

その秘密は、「RE_PRAY」 OFFICIAL PLAYER’S GUIDEで明かされた。

そうだったのか。全然気がつかなかった。

 

だけど、その秘密を知ってからエンディングを見ると、確かに、そのタイミングで出現している。

そして、天に上っていったということは、役目を終えたということなのだろうか。

 

今回で、全ての「RE_PRAY」を見ることができた。

 

埼玉から始まり、佐賀、横浜を経て宮城まで。

全部で8公演。

 

どの公演も素晴らしく、その時その時の魂が込められている。

改めて、完走、おめでとうございます。