くさまです。
今年度委員長を務める、横浜市会温暖化対策・環境創造・資源循環委員会の台湾視察から昨日戻りました。
北九州市議会の報道もあり、様々話もありましたが、本当に行ってよかったです。
特に、2026年横浜花博誘致を目指す横浜市にとってみれば、共産党さんも含む超党派で、実際の花博を視る機会は恐らく委員会視察しかできませんので、今回、委員会として11月3日から開催中の台中花博を視察できたことは大変有意義だったと思います。
僕としてみれば、トルコのアンタルヤ花博、そしてオランダのフロリアードに次ぐ、3か国目の花博視察でしたが、トルコやオランダの取り組みを把握し、横浜における議論も経たうえで、台湾で2回目の開催となる台中花博を実際視察して、より多くの問題や参考点を感じることができました。
台中花博は后里・外浦・豊原という3つのエリアに別れていますが、今回僕らは、30ヘクタールのメイン会場である后里馬場森林会場に行きました。
このブログでは、僕が特に感じたポイントで台中花博を紹介したいと思います。
まず1つ目は花博のテーマ設定と伝え方です。オランダの国際園芸家協会でオストロム会長と話した時も、また、今回意見交換させていただいたケビンチャン・AIPH展覧会委員長との話の中でも、いかに花博のテーマ設定をし、それを実行していくかが大きなポイントだと思いました。
地元台湾出身のAIPH展覧会委員長、ケビン・チャン氏
今回の台中花博のテーマ・スローガンは「花現GNP-Rediscover Green, Nature and People」ということで、「人類が生産を追求する中で同時に大地を愛し、歩みを緩め自然に親しみ、心の扉を開いて開花の音に耳を澄ませるような、幸せな生活の創造を目指す」というものでした。
来場予定の800万人の全ての人が、このテーマを十分理解し、共感してやってくるとは到底思えませんし、それは難しいことですが、このテーマのエッセンスをいかに会場で気づいてもらえるかが重要です。
特に今回は会場が3つに別れていますが、その別れた理由は開催地に絶滅危惧種のタイワンヤマネコの生息が認められ、会場をそこから外さなければならなかったからです。
そして、台中市や台湾政府のタイワンヤマネコ保護のための会場変更の決定をAIPHは高く評価し、台中国際花博から、台中世界花博に、ランクは同じb1ですが、格上げされました。なので、台中花博は2010年台北花博よりも国際ランクは上という評価になります。
この経緯は、今回のテーマを来場者に理解させるためには絶好のもので、かつ、会場内でも「発見館」というかたちでうまく伝えています。
発見館、タイワンヤマネコのはく製 全体生息数は約500頭。
デジタル技術の活用も重要なポイント
生息地や保護政策を庭園で再現。
大会マスコットもタイワンヤマネコファミリー。(と、馬)
また、タイワンヤマネコとともに、タイワンサクラマスや原生林、また、台湾の先住民などの展示も分かりやすく行うことで、「花や緑がきれい」だけではなく、より今回の花博テーマを感じることができるつくりになっています。
原生林のイメージ
地元のタイワンサクラマス 自然との共生を感じる。
先住民をテーマとした庭園展示も多数。
先住民をテーマとしたオブジェやパフォーマンス会場「原生秘境」。
生態系保全が1つのテーマになるので、各国の展示も、元はえている木などを活かしてつくるという設定になっています。テーマ設定が徹底していると、より深みをもってみることができます。
色はそんなに鮮やかではないが、なんかくる。
スペインも斬新。
日本庭園も周りは日本庭園っぽくない木々に覆われ、これまたいい。
オランダもただの風車+チューリップのようなものではない。
ここを訪れた小学生や中学生の感想文には「花がきれいで楽しかった」よりも「自然をもっと大切にしよう」「もっと環境問題に関心を持ちたい」という表現のほうが多いのではないでしょうか。
昨年の都市緑化よこはまフェアの議論の際も、単なるプランター祭りにしてはいけないという趣旨の発言を繰り返ししましたが、横浜での開催の際も、この点は大きくこだわっていかなければなりません。
今回は訪問することができませんでしたが、外埔会場は台湾の農業がテーマになっています。また、后里会場でも、ファーマーズマーケットが開かれていました。
漢字わかりやすい。
台湾の果物直売。
本当の市場みたい。花も売ってました。
アンタルヤでは視れなかった風景です。
横浜花博基本構想のテーマは「幸せを創る明日の風景 Scenery of The Future for Happiness」~日本・横浜が創る 明日の豊かさを深める環境社会 というものですが、今の段階だと、正直なんでも表現できるテーマ設定です。
政策・総務・財政委員会でも昨年議論しましたが、台中でもやはりタイワンヤマネコを中心にその土地のストーリーが全体のテーマと融和して花博が展開されています。
米軍基地だった横浜の上瀬谷から僕らは世界に、そして子供たちに何を発信していくのか。
基本構想からの深ぼりは台湾でも、またどの国でもしているし、逆に本来しなければならないことだと思いますので、ここは本当に大切にしていきたいです。
あと2回、台中花博については報告をさせていただきますが、次回は花博と市場形成、またその次は会場マネジメントについて書きたいと思います。