ある12月の日曜日、姫路市立動物園のカラカル・クルンちゃんに会いに行ってきました。

 

 

今年の10月から11月の間に、木箱ベッドを増築してもらったクルンちゃん。カラカル舎前の掲示にもあるとおり「高いところが大好き」で、一番右上の箱が定位置になっています。

 

日曜日ということで、人通りは多め。加えてこの日は姫路城前の大手前公園で何やらイベントが行われていて、コスプレをしたお客さんが動物園にも流れてきていました。個性的な服の人々も、カラカル舎前で足を止めます。「次のコスプレはカラカルかな」なんて、もっと知名度が上がるといいな。

 

カラカル舎よりも人だかりができていたのが、同じ並びにあるホンドタヌキ舎とホンドギツネ舎です。

柵のキワキワまでタヌキやキツネが来て佇んでくれる設計になっていて、みんな「かわいい~!」と写真を撮っていきます。自撮りで一緒に写る、なんてことも可能みたいです。

 

カラカルのクルンちゃんだって負けていません。カラカルを気に入ったのか、しばらく見入っているカップル客も! 推しを気に入ってくれる他のお客さんを見るのは嬉しいですね。

 

 

14時ごろ、クルンはいったん定位置から地面に降りてきました。丸太や人工芝で爪を研ぎます。クルンは顔つきが強そうな割にはシルエットがシュッと細め。福山市立動物園にいるお母さんのカーラさんをすごくワイルドにした感じです。顔立ちと体色の濃さは、お父さんの故・カール氏似。

 

以前はものすごくお父さん似だな、という印象だったクルンですが、夏ぐらいからカーラさんの面影も見えはじめました。比率6:4ぐらい。あと、その日の気分や状況によっても違うと思いますが、威嚇が減った気がします。この日、3時間半ほど見ていても2回しか「シャー」されませんでしたよ。

 

再び定位置でまどろんでいたクルンですが、退勤の時刻が近づくと動き出し、瞳がつぶらになります。カーラさんはアクアマリンのような青い瞳ですが、クルンは時にゴールドのような輝きを放つ瞳です(美化しすぎだろうか)。

 

ロフト部分と同じ高さの空中廊下に出て伸びをしたり、毛づくろいをしたり。大きな落ち葉かネズミを模したおもちゃか何かをバシッと叩いて「ブルルルル」とうなり声を上げます。

 

16時半ごろ、バックヤードに担当飼育員さんがやって来て、ご退勤。と思いきや、ドアが開いても定位置の箱におさまってしまってなかなか出てきません。私がご退勤の様子を動画におさめようと柵に張りついて構えているからか、と思ったので動画撮影を諦めます。

 

カラカル舎から少々離れて見守っていると、クルンはおもむろに動き出し、動き始めると素早く、寝室にお帰りになりました。しっぽかどこかが挟まりかけたのか、閉まりかけたドアが開いたので覗いてみました。お肉に豪快にかぶりつくクルンが見え、再びドアが閉まりました。今日も一日おつかれさまでした。

 

↑クルンの父・故カール氏

 

先日、福山市立動物園のカラカル・カール氏が亡くなり、その面影を残すクルンちゃんに会いに行こう、という思いがありました。確かに2頭の顔のパーツは似ているけれど、放つオーラは全然違う。展示の仕方の違いもあるのかもしれませんが、クルンのほうが野性的です。

 

クルンは亡くなったカール氏の代わりにはなれないし、カール氏がクルンの代わりになることもできない。それがかけがえのなさなのだろうな。

 

今や日本の動物園では4園4頭がいるのみとなった中型ネコ科のカラカル(2021年にまとめた国内カラカルリストはこちら)。クルンがおそらく最年少で現在9歳です。日本カラカル界を背負って立つ女。今後カラカルが導入されなかったら、ラストカラカルになるかもしれない。でもそんなことは気にも留めないで、マイペースかつワイルドに生きていてほしいです!